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妬むもの

 その後、図書館の探索の結果オススメの本を教えてもらったが、ドレディアさんの探し求めていた本は見つからなかった。

 また来た時に探すとしよう。少しでも助けになりたいし。

 

 本を読みながら色々解説をしてもらい、知識も深まりつつあったが同時に日が沈み、夜も深まりつつあった。

 まだ夕暮れだが、外は茜色から段々と色を濃くしつつあり、もう少し立てば夜の帳が下りるだろう。

 お礼を言って今日は切り上げることにした。

 

「それではごきげんよう。明日の昼過ぎ、この場所でお待ちしてますわ」

 

「ありがとうございました。お気をつけて」

 

「……ふふ、心配されるなんて久しぶりですわ。ありがとう、ヒストリカさんもお気をつけて」

 

 そう言ってドレディアさんと図書館の前で別れる。

 いやあ凄い人だった。

 わかりやすく教えてもらったが、中々に強引な人だった。

 悪い人じゃないのは確かなので、色々とお世話になってしまったが。

 ……とはいえ、密着されるのは少し困ってしまう。

 その、集中が出来ない時がある。

 まあ、その密着具合は僕のことを女だと思っているからなのだけれど。

 そんな若干の罪悪感と自己嫌悪に陥りながらも寮へ帰宅する。

 

「なあ、アンタ」

 

 と、声を掛けられる。

 振り向くと、そこには一人の男。

 高校生くらいの、金髪をした男がこちらを睨んでいた。

 

「ロシェットさんと仲良く話してたよなあ……どういう関係?」

 

「? いえ、ドレディアさんとは今日が初対面ですが、色々と良くしていただいて。後色々な事を教えてもらっただけですが」

 

 ピリピリとした空気を感じる。

 何故かわからないが、これは敵意、だろうか。

 うーん、まだ来たばかりでよろしくない事はしていないはずなのだけれど。

 恋慕、にしては一応今の僕はへこむことに女性、のはず、うん、バレてないはず。

 

「名前で読んでんじゃねえよ! お前みたいな女が気安く話しかけていい相手じゃねえんだ、いいか、身の程をしれ。ロシェットさんに近づくな。これは警告だ」

 

 総一方的にまくし立てると彼は去っていった。

 突然の暴風雨に僕はぽかんと立ち尽くしていた。

 

「なん、だったんでしょうか」

 

 正直言って突然の出来事すぎて今だよく理解が及んでいないが。

 

「脅迫、でいいんでしょうか」

 

 この世界に警察はいるのだろうか。

 正直揉め事は勘弁していただきたい所ではあるが

 

「ドレディアさんに近づくな、か」

 

 穏当に考えるなら離れたほうがいいのかもしれない。

 争いごとはごめんだし、恨まれるのも当然嫌だ。

 

 でも、僕はドレディアさんと友だちになった。

 初めて合う僕に、色々教えてもらった。

 何より

 

「友達が、少ない……ですか」

 

 ドレディアさんの性格で友達が少ない筈はない。

 と、なれば同じ事をきっとあの男は繰り返しているのではないだろうか。

 それは、ダメだ。

 ドレディアさんにとっても、そして、あの男にとっても。

 

 静かに僕は決意を秘めたのだった。

 まずは明日、ドレディアさんとあって魔術を覚えなければ。

 最初の一歩は今日、彼女のお陰で進むことが出来たのだ。

 

 次の一歩を、明日踏み出すのだ。

短いのでもう一話投稿します。

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