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男の意地

 見上げるほどに巨大なゴーレム。

 おおよそ5メートルはあるだろうか。

 土から作り出されたその巨体は見た目どおりがっしりとしており、見ているだけでも威圧感を発している。

 

 それが・・・・・・10体。

 

 以前1体でも必死に倒したことを考えれば単純に考えても10倍の労力がかかるのである。

 

 そして、もう一つ気になるのは


 

「無詠唱・・・・・・ですか? いえ、違いますね」

 

 

 詠唱が、無かった。

 だから一瞬無詠唱と考えたが、そうではない事に思い当たる。

 無詠唱は、単純に詠唱を行なわない高等技術であるが魔法名は必ず必要になる。

 

 本当は僕も風式で使うような後述詠唱ではなく、無詠唱で出来れば一番良いのだが、なかなかそうもいかない。

 無詠唱は、ある意味その魔術に関して最大の理解、極端な言い方をすれば極めたと言っていいほどだ。

 

 だから、例えば僕が無詠唱を使わない、使えないのは実力不足だ。

 それを補う為に後述詠唱をしているんだけど・・・・・・なんというか、あれだ。

 単純に無詠唱を使えばいいじゃない、と言うのは

 


 家庭教師? 塾? 普通に勉強してればいらないでしょ?

 東大? 行けばいいじゃん。何であきらめるの?

 

 

 と、まあ現代的に言うとそういうことだ。

 出来れば苦労はしない、と言えばわかってもらえるだろうか。


 

 

 話がずれてしまった。

 つまり、無詠唱といえども魔法名は必ず発するひつようがある。

 ということはだ、この魔術は何か別の方法で使われた、と言うことになるのだけれど。

 

 

 それってつまり、より相手がやばいって事だよね・・・・・・



「なあ、アンタ」



 ゴーレム達の奥から声を発するのはアクターさん。

 遠くで見づらいが、表情を見れば困惑しているようにも思える。

 

「・・・・・・いや、なんでもない。決勝まで来たんだ。つまらない試合にさせないでくれよ」


 そう言い放つと、右手を僕の方に向ける。

 ただそれだけで、鈍重そうなゴーレム達はいっせいに僕の方へと走ってきた。

 

 走るごとに地面が揺れることから、相当な重みがある。

 以前よりも、ずっと質量が高いのだろうなとどこか冷静に判断しながら剣を抜く。



「正直言って、対応手段は少ないです」

 

 以前も思ったが、僕はこういった高防御で複数居る相手にめっぽう弱い。

 何せ、火力が高い技がないからだ。範囲技も。

 

 厳密に居れば一度限り、とか頭に付くがそれじゃ後が怖い。

 

 ステイシス、を使いたいところだけれど

 

「・・・・・・やっぱり、響きますね」

 

 

 ステイシスは使えない。

 使うと死んでしまうかもしれないからだ。

 

(一日一度。それ以上に使った場合、世界の代償を受けても知らんぞ)

 

 であれば、もう手段は一つしかない。

 

「限界、強化」

 

 びきりと、身体が軋み始める。

 細かい痛みが全身を走り始め、限界を知らせ始める。

 

 無条件で、影響がない強化なんてない。

 負荷を掛けている以上、必ずどこかしらひずみが出る。

 

 

 四肢ならまだいい。

 全身強化している以上、どこに負荷が掛かってくるかは、半分運だ。

 

 だからこそ、進むんだ。

 僕は剣を掲げる。

 

 

 僕だって、見た目はともかくとして。


 

「絶対に、倒します」

 


 

 負けて悔しいと思う気持ちもリベンジしてやると言う気持ちはあるんだぞ!

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