3.「ふぇっ?!」
言い忘れてましたが、本作品はまだ、メインヒロインが出て来てません。今回で登場しますのでご安心ください。
では、読もうとしてくれてありがとうございます!
テスト前日の放課後。俺と時雨は楓山の家に勉強会をしにきたわけだが、どういうわけか、知らない女の子が一人暮らしの楓山の家にいる。
「えっとね、この子は 七種 七葉ちゃん。高校での初めての友達でね、女子一人だと心細いから来てもらったんだけど…だめかな?」
「無理してここに置いてもらわなくても大丈夫ですよ。お邪魔なら出ていきますので。」
かなりできた子っぽいぞ。みた感じ悪い子ではなさそうだ。
「いや、問題ないよ。君が居てくれるだけで頭の悪い子一人の成績がよくなるかもしれないからね。」
「うぅぅ…。」
「まぁまぁ楓山!俺が力になってやるから元気出せよ!」
楓山は隅っこでしゅんとしてるが無視し、七種さんに質問をしてみた。勉強が出来そうな子だから助かる。
「七種さんは勉強できる方なのかな?」
「いえ、恥ずかしいんですけどいつも赤点スレスレなんです…。」
どうやら見当違いだったようだ。
「んじゃ、早速始めますか。」
俺の言葉を合図にみんなそれぞれ勉強の準備にとりかかる。
ちなみに席は四角いテーブルの対辺に時雨と楓山。反対側に俺と七種さん。
この席配置には俺の優しい気遣いが込められている。
それぞれ準備をし終えると成績が良いものたち(主に俺と時雨)が教え始める。
「楓山、そこはここにこんな感じでこうして公式を当てはめれば簡単に出来るんだぜ!」
「えっと…こうして…こうやって…この公式を消せば…。」
「いやいや!消さない消さない!当てはめるの!」
「ど、どうやって?」
言ってしまおう。楓山の勉強能力は壊滅的だった。
「七種さん、あいつらみたいにここにはこの公式を使うんだ。」
「え?公式を消せばいいんですか?」
「…。」
これは長期戦になりそうだ。
「うぅ〜!わかんないよぉ〜。」
「紅葉ちゃん。大丈夫?」
七種さんは楓山よりは理解力があり、数学以外はさほど問題はなさそうだが、なぜ赤点スレスレなのだろうか。
「ちょっと休憩にするか。」
「そうしようか!俺もちょっと疲れたよ。」
時雨。お前は凄いよ。ずっと教えてたんだな。敬意を払ってなんか買って来てやるよ。
「ちょっとコンビニに行ってくる。」
「あ、私もいきます。」
「んじゃ、楓山と時雨は留守番な。」
「おい!ちょっとまってくれよ!」
いや、待たない。頑張れ。俺は応援してるぞ。
なんか楓山が不機嫌そうだが、まぁ、良いだろう。後ろのアホがなんとかしてくれるさ。
後ろでアホがなにか喚いているのを背に、俺と七種さんはコンビニに向かった。
「七種さんって…」
「あの!」
「ん?」
「同級生なので、『さん』付けしなくても大丈夫ですよ。」
「んじゃ、七種、俺に対しても敬語じゃなくていいよ。後呼び方も…って俺自己紹介してなかったな。」
ここで自己紹介してなかったことを思い出し、七種に当たり障りのない自己紹介を行なった。
「それじゃあ、柏木くん、でいい?」
「あぁ、大丈夫だ。」
俺と七種はこれをきっかけに打ち解け合うことができた。
「…七種ってモテる?」
「ううん、そんなことないと思うけど。どうかした?」
「いや、お前結構目立つんだなって。」
七種は疑問符を頭の上に浮かばせているが、なぜこんな事を切り出したかというと、さっきから俺たちは目立っている。横を通る人たちの視線が俺たちに向けられている。『俺たち』ではなく、『七種』が目立っていると言ったほうが適切なのかもしれない。
無理もない。今の今まで気づかなかったが、七種はかなり可愛い部類に入るのだろう。
茶色がかった髪の毛。髪型はセミロングと言っただろうか。肩につくぐらい伸ばしている。前髪から覗く大きい目が女の子らしさを出している。それに、でるとこはでていて締まるとこは締まっている。なんて言うか、『かわいい』の一言に尽きる。
「あの、なにか付いてますか?」
めちゃくちゃ有難なセリフが聞こえて俺は我に帰った。さっきからずっと七種を見てたのか。変態かよ…。
「いや、七種ってかわいいんだなって思ってさ。」
「ふぇっ?!」
なにそれ、なんの鳴き声?
わかりましたか?
本作品のメインヒロインは「七種 七葉」です!
読んでくれてありがとうございます!
感想等お待ちしております。