第11話 吉村りんご
吉村りんごは、俺が小学校や中学校の時の、同級生である。小学校の4年生の頃までは、一緒に遊んだ時もあったが、5年生になると、お互いに、同性の友達と遊ぶようになり、だんだん、仲が良くなくなっていき、中学生の時には、吉村とは、挨拶や、業務連絡、ほんのちょっとの世間話をするだけの関係になってしまった。しかし、高校生の時には、高校への通学路の途中に、吉村の家がある、神社があるため、たまに、吉村に会って挨拶はしていた。
俺は、吉村に返事をした後、ここから「じゃあね」と言ってここから去ろうとしたが、その瞬間、田島先輩の提案を思い出した。ここで、吉村と話せば、とりあえず、提案を達成する事ができると思い、俺は、吉村との話を継続しようとした。
だけども、吉村とどんな話をすればいいのか?そう考えて、立ち尽くしている内に、吉村の方から、話を振ってくれた。「清水君は、今、何やっているの?」それに対して、「今は、新聞配達の仕事をやっているよ。」と答えた。休職していることは言わなかった。俺は、「そっちこそどうなの?」と、話を繋いだ。「私は、大学に通っているよ。」そう吉村が言った後、「そういえば、吉村の家業って神社の神主だったよなあ。ってことは神主を養成する大学に通っているの?」と切り返した。その瞬間、吉村は少し困った顔をして、「いや、私は神主にならない。普通の大学に行って、普通に就職するよ。」と応答した。あれ?なんかまずいこと聞いちゃったかなあ?と感じ、しばらく、何も喋らなかった。けれども、このまま話を終わらすわけにもいかないので、吉村の詮索はやめて、「いやー。吉村と話すのは久しぶりだなあ。」と個人的な感想を言った。吉村は、笑顔になり、「そうだね。私も、小中学校の時の友達と話すのは、久しぶりだよ。」と返してくれた。俺は、意外に思った。「あれ?吉村って友達とよく会っているイメージがあるんだけど?」すると、今度は、悲しそうな表情で、「ううん。中学校の卒業式以降は、清水君ぐらいしか会ってないよ。高校も、中学校の友達がいない所にいったし・・・」と答えた。気まずい雰囲気が、2人を襲った。




