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百合は眺めるものじゃないんですか? ~NTRダメ絶対な世界で×××の才能に目覚めた私がNTRっちゃうわけにはいかない!~  作者: ヱ川陸


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第5話 続:最高な夢と、最悪な一日の続き。

 通学路での私への女性からの熱視線・男性からの冷視線……やわらかくしてその表現だけど、手出しこそされなくても大変な目にあった通学路より。

 

 この朝の人がまばらな通学路でさえ、男女の各々の視線の性格の違いはあっても必要以上に注目を集めてしまったことを考えれば──



「おはようござ……っ!?」



 私の通う学校では風紀委員会と生徒会合同で朝の挨拶運動が行われていて、数人の各学年の生徒と監督役の教師が挨拶と身だしなみチェックを兼ねて校門前に立っている。


 さっきのようなことが校門前でも起きるわけで……。


 そして風紀委員会の腕章を付けたボブヘアー気味な女子生徒と私の目が合った瞬間、その女子生徒は私相手に絶句することに。


 次第に目が見開き、呼吸が荒くなっていき、全体的に落ち着きがなくなっていく様子からその女子生徒に異変が起きているのはわかった。



「お、おはようございまーす」



 それでも私は苦笑気味に私も挨拶を返した、いつもやってることだから問題ないはず──なのに。



「はぁっ……」



 私が声をかけたその女子生徒は膝から崩れ落ちて地面にぺたりと座り込んでしまう。


 ついには俯きながら体をびくびくと痙攣させるまでに……やっぱりただごとじゃない。


 通学路のことを思うと今回も私のせいかも? とか悠長なことを考えている場合じゃない!



「あの……大丈夫ですか?」



 私はかがんで彼女に接近する、そして立ち上がるのを促せるように手を伸ばした、その時だった。



「へっ!? あっ……」



 私の心配する声に反応して顔をあげたかと思うと──ついにその女子生徒は白目を向いて失神した。


 さすがになにごとかと風紀委員や生徒会役員に担当教師が、失神した女子生徒に意識を向けたことでこちらへと駆け寄ってくる。

 

 私も彼・彼女たちに助力を頼もうと声をあげた、それが多分いけなかった。





「あの! この人急に意識がなくなって!」





 私に対する反応は男女で大きく二分される。


 男子は苦渋の顔を浮かべたまま立ち止まってしまい、人によっては顔を背けた・逃げ出すものもいた。


 女子に関しては挙動がおかしくなり、立ち尽くすもの・座りこんでしまうもの・そして──



「すすすすす好きで──あ」



 私にタックルよろしく凄い勢いで抱き着こうとするモーションを見せた女子生徒は私に触れた途端に一瞬で意識を失った。


 結果校門前には──私への嫌悪を隠さずに立ち尽くす男子生徒・熱に冒されたようにぼうっと私の方をみている、座りこんで自分の身体を抱き寄せる、倒れ込んでアスファルトに伏せる女子生徒……などで溢れることになった。


 地獄絵図以外のなにものでもない……っ!

 

 その中で唯一なんとか動けたのが挨拶運動を監督する女性教師だけで、震える手で連絡用と思しきトランシーバーを取り出した。



『緊急緊急:コードF、異能対策課の救援求……む』



 その通信を最後に女性教師も力尽きて地面に突っ伏した。


 私の脳内ではここから離れない方がいいのか・通学してくる生徒を考えるならここから離れた方がいいのか……思考もはたらかず、わけもわからず呆気にとられるしかなく。


 それから一分と経たず多くの足音が近づいてくると思うと──



『コードF了解、該当人物を確保します』



 赤色の全身防護服の集団、中でもタブレットを持った人やトランシーバーを持つ人や大盾を持つ人がそれぞれいて物々しい空気が漂っていた。


 うちの一人がトランシーバーでどこかに連絡しながら私に近づいてくる。



「XX──ディジアック値:三〇〇〇オーバー、XYヘイト値:三〇〇〇オーバー!」


「対異能シールド展開!」



 よく聞き取れないけど全身防護服の一人が何かしらの数字を叫ぶと同時に、別の人が両掌を私に向けるようにして叫ぶ。



「っ!? なにこれ!?」



 すると緑がかった透明の膜のようなもので私が包まれる。


 何かが身体に張り付いた感じが一瞬だけ、そのあとは普通に呼吸も出来るし苦しくもない。


 

「下十条ユリさん、ご同行ください」



 さっきトランシーバーで連絡していた一人が私に話かける。


 これは……もちろん素直に従った方がいいやつだよね。

 


「…………はい」



 そうして私は透明な膜に包まれ・全身防護服の集団に囲まれ学校敷地内に入っていく。


 この間にも別の全身防護服の集団がタンカや車いすなどを持ってきて校門前の生徒たちの救援を行いはじめているのをちらり見た。


 意識を失った人たちに何もないことを祈りつつ、今の私がどんな状態なのか不安を募らせながらも同行という名の事実上の連行をされていった。


 ……これ警察沙汰になったりするのかなぁ。


 普通に考えれば多くの人を昏倒させた容疑があるわけで、意図してないとしても・それが証明できるかは別としても関係性は否定できないよね……。




 

 連れられた先は保健室だった、私も何度かお世話になった気がする何の変哲もない保健室に昇降口を介さず校舎外に面した入り口から土足で入っていく。


 私が保健室内に入った途端に校舎外に面した窓の金属製の防火シャッターが勢いよく降りる……そんな設備があったことも驚きだけど、もしかするとここは私を隔離する場所なのかもしれない。



「シールド状態で各数値検出無し。シールド正常に機能しています」


「防護服解除!」


「「はっ!」」



 数えれば十人からなる赤い防護服集団の防護服から空気が抜ける音が響くと思うと、防護服から脱皮するように人が飛び出した。

 

 全身が見えてくると……全員が人間ではなくて亜人種も混ざってるみたいだ。


 それでも私の性別に配慮してくれたのか、全員女性で固められている。



「ええと、下十条ユリさん」


「は、はい」



 その中でもメガネをかけた白衣の銀髪な女性が私に話かけてくる。


 先ほどの緊迫した様子と打って変わって、出来るだけ優しい声音にするのを意識してくれている気がした。



「急なことに驚いたかもしれません。大丈夫です、私たちはあなたに危害を加えません」


「は、はい……」



 確かに私を囲って連行したぐらいで手を出されてはいない、物理的な拘束の類もされていなければ、今も全身を包まれている緑の膜も不快感すらない。



「申し遅れました。政府異能対策課の魔耶(まや)三十四チームの尾久おくです」



 それっぽい手帳を見せて証明する尾久さん。


 異能対策課……たしか元異界出身とその血族などに現れる”異能力者”に対応する組織とかネットで見たような……。



「突発的に発現したであろうあなたの異能を抑制するべく手荒な対応となりました、申し訳ありません」


「い、いえ」



 謝られたらそう返すしかない。

 

 それにまだいまいち私の今の状況と異能対策課が動いた状況が結びつかず、なにがなんだかわからない。


 私から異能が発せられたのが本当なら、それは異界にいた影響で異能を使えるようになった人間が祖先にいるor私が人間ではなかったor突発的に異能に目覚めた……とかの可能性が出てくるわけで。


 今では人間だけでなく亜人種も機械生命体もいるようなこの世界だけど、私に関してはおじいちゃんおばあちゃんの世代もちゃんと人間種のはずで私も純粋に人間のはずで……。



「プライバシー侵害に抵触しえますが、緊急時のため下十条ユリさんの現状把握の”サーチ”にご協力ください」



 全人類の脳内に埋め込まれたナノマシンを介してリアルタイムでデータの解析・収集が行われている現代。


 通常時は本人から能動的なデータ開示は出来るようになっているものの、相手のデータを覗き見る・明かす形になる”サーチ”はプライバシー上だったり情報保護などの観点から法的に問題が生じる。


 例外的に緊急時・災害時などは”サーチ”の異能を持つ能力者による同意を得ての開示のみ許可されている…………みたいなことらしい、その同意書的なものを読むことになった。


 データの範囲は身体データから生まれてからの記憶データにも及ぶためまさに赤裸々具合、恥ずかしくないといえばウソになるけど今回が”緊急時”でただごとじゃないことはわかっているつもりで。



「……協力します」



 そりゃ協力するしかないよね。



「ご協力、感謝します。それでは──」


「”サーチ”!」



 サーチの異能担当のポニーテ―ルでウマ耳っぽいケモ要素の入った女性は先ほどの何かしらの数値を言っていたタブレット使いの方らしい、私に手のひらを向けてそう宣言するように言い放った。


 サーチは一瞬だったようで、判明したデータは先ほどまで私と話してくれていた白衣の銀髪メガネな女性が取り出した小さい端末の方に送られてきたらしい。



「下十条ユリさん、今から明かす情報は公開されることもなく私たちが口外することもありません」


「はい……」



 プライバシーに配慮的なことを言ってくれているが、いったい何を聞かされるのかと私は戦々恐々するしかなかった。




「下十条ユリさん、あなたには現在”サキュバス”の異能が発現しています」



 

 …………?



「サキュ……バス?」 


<カクヨムでも連載中>

わりとおおごとです。

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