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第十五章 卒業式の舞踏会

卒業式、舞踏会当日。


アルテア様が選んでくれた水色の絹のドレスを纏った。

薄い水色に白い刺繍が施された一着で、裾に向かって色が淡くなっていく。白を帯びたピンクの髪を今日は丁寧に結い上げてもらい、細い銀のピンで留めた。耳には小さな白い石のイヤリング。

鏡を見たとき、エルが「まるで本当のお嬢様みたいです」と言って目を潤ませた。


「……どう?」

「似合っているわ」


アルテア様は今夜、深い紺色のドレスを着ていた。

肩の部分に細かな銀の刺繍が施され、銀色の髪は緩くまとめ上げられて、白金の細いピンが散りばめられている。首元には一粒の澄んだ青い石のペンダント。会場に入った瞬間、周囲の視線がアルテア様に集まったのがわかった。


王城の大広間は、この一年で何度か足を踏み入れたことがあるが、舞踏会の夜の装いは別格だった。天井から幾つものシャンデリアが吊り下げられ、無数の蝋燭の光が石の壁に反射して、会場全体が金色に輝いていた。貴族たちのドレスや装身具が光を受けて煌めき、音楽が低く流れている。足元の白い大理石の床には蝋燭の光が映り込み、まるで光の上を歩いているようだった。


クロード殿下は私を見つけて真っすぐに歩いてきた。紺色の礼服に金の飾緒、白い手袋。その金色の髪と碧色の瞳が、シャンデリアの光の中でいつもより一層輝いていた。眩しい。本当に目が痛い。


「リーナ」

「殿下」

「一年経った」

「……経ちましたね」

「返事を聞かせてもらえるか」

「……殿下は、一年間、王命を使いませんでした」

「ああ」

「待つと言って、本当に待っていました」

「約束したから」


私は正面から殿下を見た。


「一つだけ条件があります」

「なんだ」

「アルテア様の友人であることを、最優先にさせてください。アルテア様が私を必要としたとき、いつでも駆けつけさせてください」

「もちろんだ」

「殿下のことは、まだ目が痛いです」

「慣れさせる」

「慣れません」

「慣れる」

「……」


私の顔がまた熱くなっていく。


「そんな顔をしているぞ」

「どんな顔ですか」

「可愛い顔」

「目が痛いと言っている人にそんなことを言わないでください」

「言う」

「……っ」

「返事は?」


私は深呼吸をした。


「……謹んで、お受けします」

「ありがとう」


殿下が手を差し出した。白い手袋をはめた大きな手が、私の前に差し出される。


「目が痛くても、踊ってくれるか」

「……一曲だけです」

「一曲から始めよう」


手を取った瞬間、また顔が熱くなった。


会場の端を、私はちらりと見た。アルテア様がそこにいた。深紺のドレスが蝋燭の光に映えて、銀色の髪が輝いている。その隣に、レイナート様が立っていた。深い緑のマントを外した礼服姿で、アルテア様に何か静かに語りかけていた。


アルテア様の耳が、遠目にもわかるほど赤くなっていた。口元が、ほんの少し——ほんの少しだけ、緩んでいた。


私は心の中で両手を挙げて万歳をした。

推しが幸せそうだ。それだけで、十分だった。

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