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第十一章 図書館にて

放課後に図書室へ向かうと、見慣れた金色の頭が奥の席に見えた。


「殿下?図書室に何を」

「リーナこそ何を」

「調べ物があって」

「どんな」

「難民キャンプの疫病対策に使えそうな古い治癒魔法の記録を探していて、でも司書の方に聞いたら特殊な棚にあるらしくて場所がわからなくて」


「ここだ」


殿下がすっと立ち上がり、迷いなく棚の一つに向かった。少し高い位置の棚を指して、


「三冊ある。これと、これと、これ」


と言った。


「……なぜ知っているんですか」

「以前調べたことがある」

「殿下が疫病対策の治癒魔法を?」

「王子だからな。知っておくべきことは多い」


殿下が三冊を取り出してテーブルに並べた。私は恐る恐るその中の一冊を開いた。確かに、探していた内容が詳しく書いてある。


「……ありがとうございます」

「どこが目的のページか」

「え」

「どこを調べたい」

「えっと、水辺の集落での感染拡大の予防法で——」

「ここだ」


殿下がページをめくり、的確に目的の箇所を開いた。私は思わず覗き込んで、殿下と同時に同じ行を目で追った。


距離が、近い。


「ここの記述が参考になる。続きは次の章の——」


「殿下」

「なんだ」

「近いです」


殿下が顔を向けた。碧色の瞳が目の前にある。


「……そうか?」

「目が痛いです」

「図書室で?」

「どこでも目が痛いです」


殿下が少し笑って、ゆっくりと一歩引いた。でも本は開いたまま私の前に置いていった。


「ここから調べると早い」

「……ありがとうございます」

「うん」


殿下は自分の席に戻り、また本を開いた。私も本に目を向けた。

でも三行読んだところで、顔が火照ってきた。


「……」


うう。キラキラは心臓に悪い。あまり近づかないようにしなければ…!

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