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魔王来訪

「お座りください」


 流石に外で話すわけにはいかないので、客間に招いた。初めて自分以外の魔王に会うので緊張する。


「えーと……それでスーラリオさんは何しに来たんですか?」


 戦闘になるかもしれないから警戒しておこう。


「話をしに来たんだ」

「話……ですか?」

「ああ」


 何だかこの人めっちゃ圧あるんですけど……。本当に話をしに来ただけなのか?この人は魔王だ。何か良からぬことでも企んでいるんじゃ?


「ガルトーヴァとスーラで同盟を結びたいと思っている」


 同盟だって?本当かよ。結ぶ、結ぶとも。同じ魔王仲間の国と同盟を結べるなんて、正直かなり心強い。

 そう思い、俺が返事をしようと口を開いた瞬間だった。


「何を企んでいるんですか?」


 リオサが口を出す。


「あなたの国は我らガルトーヴァよりも遥かに大きい国のはずです。そんな国が同盟を申し出るなんて、何か企んでいるとしか思えないのですが?」


 リオサがスーラリオをにらみつける。

 やめてよリオサ!俺は魔王と何か怖いから戦いたくないよ!


「えーと……そんなに大きな国なの?」


 俺がそう聞くとリオサが答える。


「はい。土地はガルトーヴァの10倍以上。人口はガルトーヴァの200倍以上はいると思われます。兵士もかなりの量いると聞いています」


 この魔王、めっちゃ凄くない?って思ったけど、数字を聞くと大きく感じた。でも冷静に考えてみると、ガルトーヴァ小さいし、人口たったの4人だけじゃん。あんまり大きく感じないけど……魔王の国にしては大きい部類に入ったりするのか……まあ、自国と比べたら間違いなく大きい国なんだけどね。


「同盟を結びたい理由をお聞かせ下さい」


 理由次第では断ろう。


「ガルトーヴァが勇者を退けたからだ」


 なるほど。勇者を退けたってのはやっぱり凄い事なのか。


「勇者が襲撃してきた時に助けてほしい、というわけですね?」

「ああ、そういう事だ」


 まあ、同盟を結ぶのは悪くないと思う。俺たちより大きい国だし、何かと助けてくれそうな気がする。何かあったときに魔王として相談も出来るし。あり……か?

 とりあえず三人で話してから、後日返事にしよう。


「今決めるのは難しそうなので、返事は後日でもよろしいですか?」

「ああ、構わない」


 スーラリオが帰るために立ち上がる。


「それでは、二日後にまた来る。その時までに決めておいてくれ。良い返事を期待している」


 スーラリオはそう言うと帰っていった。




「それで、皆はどう思う?」


 客間で皆で向かい合って話し合う。


「そうですね……私は同盟に賛成です。スーラは魔王が統治する国の中では大きい方で、何かと役に立ちそうです」


 リオサは賛成派っと。さっきの会話からして反対するかなって思ってたけど。


「俺は、なんでもいーや。魔王様に任せるぜ」


 まあ、レオはそうだよな。あまりこういう事に興味なさそうだ。さっきの会談中も欠伸してたしね。


「えっとえっと、ウチも賛成っス!」


 俺はちょっとだけ悩む。また勇者と戦わなければいけない、というのと相手が魔王だからだ。恐らくスーラと勇者が激突する時は大きな戦闘になる。人を殺さないといけないような戦闘に……だけど俺は人を殺したくない。どうするか……


「魔王様は悩んでおられるようですね」


 リオサが聞いてくる。


「まあ、ね。相手は魔王だしね。悪い奴かもしれないだろ?」


 そう俺が言うと、ナモが口を開く。


「スーラリオ様はいい魔王っスよ!」


 え?そうなの?


「ナモはスーラリオを知ってるのですか?」

「はいっス! ウチはここに来るだいぶ前にスーラにも配下希望者として行ったんスよ! 配下希望をしたのはここに来たのと同じ理由でスーラリオ様も勇者を生きたまま解放したからっス!」


 俺以外に居たんだ。勇者を生きたまま解放した人が。


「まあ、確かに。私もスーラの悪い噂は聞いたことがないです」

「スーラリオ様は国民からも人気があるっス!」


 あれ?でもナモがここにいるって事は……


「ナモはスーラの兵士に何でならなかったの?」

「幼すぎるって落とされたっス……」


 見た目がキュート過ぎたか。


「それじゃ同盟決定、っていう事でいいかな?」

「っス!」

「はい」

「りょーかい」


 俺たちはスーラと同盟を結ぶ事にした。




「返事は決まったか?」


 あの日から二日が経った。再び客間で、スーラリオと向かい合う。今日は配下を連れてきている。


「はい。同盟を結びましょう」

「そうか。感謝する」


 スーラリオが配下に目配せする。

 なんだ?そう思いながら見ていると――


「これは同盟を結んだ記念だ。受け取ってくれ」


 スーラリオがそう言うと配下が2Lのペットボトルが6本くらい入りそうな見た目は空にしか見えない袋から次々と食糧を出した。

 なんだ今のは!?驚いている様子の俺を見てリオサが言う。


「アイテムボックスです。魔王様」


 あー、アイテムボックスか。転生系の小説とかでよく見る奴だ。


「この城の周りには畑が無い。それを見て食べ物に困っているのでは? と思ってな。スーラは食べ物の備蓄がかなりあるんだ」

「ありがとうございます! でもこちらからは何も送るものがなくて……」

「いや、問題ない。何かあれば助けを求める。お互いに助け合っていこう。同盟を結んだのだからな」


 なんていい奴なんだ……!


「これからはスーラリオと呼んでくれ。そして、これは魔王としての助言だ。魔王がそんな話し方をするな。舐めて見られるぞ」


 舐められる、か。確かにそうだな。


「わかった。助言、感謝するよスーラリオ。俺の事もユリウスと呼んでくれ」

「ふむ。それでいいぞユリウス」


 スーラリオはそう言うと立ち上がる。


「それではな。私は帰るとするよ」

「あぁ」

「また来るぞ。ユリウス」


 そう言ってスーラリオは帰っていった。

 初めての同盟、初めての魔王仲間。今日は最高にいい1日だ。

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