仲間探し②
それを聞いた奴隷商人は何かを考え始めた。
「奴隷の首輪を外せるのは主だけ……」
奴隷商人はぼそぼそ一人で何かを喋っている。
俺の方を見る。何かを決めたみたいだ。
「この奴隷は銅貨5枚でお売りします」
理由は分からないけど値下げしてくれるらしい。
「急にどうして……?」
俺がそう聞くと、奴隷商人は俺の目を見ながら言った。
「あなたは奴隷を大切に扱ってくれそうだと思ったからです。」
「奴隷も生きているので感情はあります。最低な主人に買われ、悲しい最後を迎えた奴隷を私は知っています。私が売っている奴隷にはそんな最後を迎えてほしくないのです」
こんな事言ってるけど、この人って奴隷商人だよな?奴隷商人ってあんまり良いイメージないけど……。
そんな事を考えていると
「きれいなことを言っていますが、あなたは奴隷売買でお金を稼いでいるのではないですか?」
リオサが圧のある言い方をする。元奴隷なのもあって奴隷商人に思うところがあるのかもしれない。
「はい。私は奴隷商人ですので」
ピリッとした空気が流れる。
こえー……けど、ここは
「えーっと……それじゃ買うって感じでいいですか?」
空気を変えるために口を開く
奴隷商人なんだし奴隷売買をするのは仕方ない、この人も食べていくために必死なんだし。それに、ここで奴隷商売に対して文句を言っても何も変わらないし、時間の無駄だ。
「いいよね?リオサ」
俺はリオサの目を見ながら言う。
「わかりました。ユリウス様」
リオサが奴隷商人にお金を渡す。
奴隷商人はお金を受け取ると説明を始めた。
「それでは奴隷の首輪に触れてください」
奴隷商人の言う通りに首輪に触れる。奴隷商人も首輪に触れる。
「お客様が契約と言えば契約の譲渡が完了します」
「契約」
「はい。これでお客様に譲渡されました」
結構あっさりしていて驚いた。奴隷ってこんなに簡単に買えるんだ。
買えたことだし、さっさとここを離れよう。リオサの顔色があんまりよくない気がする。
「それじゃ行こうか」
「はい。ユリウス様」
買った奴隷を連れて奴隷市場を離れる。
「またのお越しをお待ちしております」
後ろで奴隷商人がそう言った。
中心街に戻ってきた俺たちは気分転換に何か食べることにした。
「お昼ご飯食べて帰ろうか」
「そうですね。何か美味しい物があるといいのですけど」
辺りを見渡す。
「あれはどうでしょう?」
リオサが指をさす方を見る。そこには美味しそうな串焼きの屋台があった。
「あれにしようか」
近づくと店主の大きな声が聞こえた。
「いらっしゃい!」
凄くいい匂いがする。
ギュルル……
さっき買った奴隷のお腹がなる。
「……」
奴隷は顔をちょっと赤くしている。
「大丈夫だよ。生きてるんだしお腹は空くよね」
「おじさん!串焼き3本ください!」
「あいよ!」
めっちゃ美味しそうだけど、これ何の肉なんだろう?
「銅貨3枚ね!」
リオサがお金を出す。
「どうもねー!」
「ありがとうございます」
串焼きを3本受けとった俺たちは、店主にお礼を言ってその場を離れた。
「熱いけど、めっちゃ美味しいな」
食べながら街の外に向かう。奴隷も串焼きを美味しそうに食べている。
よかったよかった。
そういえば、名前を聞いてなかったな……
「君の名前は?」
奴隷は食べる手を止める。
「名前は……無え……」
「え!?名前無いの!?」
奴隷はうつむく。
俺なんか地雷踏んじゃったか?
「ユリウス様。奴隷に名前がないのは珍しいことではありません。買った主人が名前を付ける事が多いです」
あ、そういう事か。
「もしかしてリオサって名前は俺がつけたの?」
「いえ、私は名前がある奴隷だったので」
「あ、そうなんだ」
ふーむ。
名前……名前か、金髪でライオンのたてがみのような髪型……
そうだ!
「お前の名前は『レオ』だ!」
「レオ……?」
「そう、レオだ。よろしくな」
「ああ、よろしく。ご主人様」
「そんなことよりユリウス様。」
リオサが突然近づいてきて耳元で囁いた。
びっくりして体がビクッとなる俺。
恥ずかしい……
「どうしたの?」
「ステータスはどうなりましたか?」
そう言われた俺はステータスを確認する。
「上がってない……」
ステータスを確認すると全く何も上がっていなかった。
「何故でしょう?」
リオサが俺に聞いてくるが、俺にも分からない。
間違いなくリオサの時は上がった。なのに今回は上がらなかった。
何か条件でもあるのだろうか?
そんな事を話しているうちにメルドルの出口に着いた。
俺は大きく伸びをした。
「何か、今日はちょっと疲れたな」
俺がそう言うと
「そうですね。ですが我が国までもう少しかかります。頑張りましょう」
リオサが俺を励ましてくれる。
「はぁ、また森を歩くのか~」
それを聞いたレオが驚く。
「森の向こうから来たのか!?」
なんだ?そんな驚くことか?
「こっちの方向で森の向こうと言ったら……!」
驚いたレオの方を見ながらリオサが言う。
「はい。この方はガルトーヴァの国王で魔王なのです」
「まじかよ……」
そうか俺って魔王だったわ。忘れてた。
レオは膝から崩れ落ちる。
「俺は魔王の奴隷になっちまったのか……」
この時、俺たちは気づいていなかった。
遠くで俺たちを見ていた視線の存在に。
「魔王……だと?」




