攻撃宣言
「それで、今日はどうしたの? スーラリオ」
スーラリオが今朝、突然訪ねてきた。何か緊急の話があるらしい。事前に連絡してくるタイプのスーラリオが何の連絡もなく来たので、よほど緊急の事なのだろう。
「魔王連合が……キンガンドに攻め込む……との事だ……」
キンガンド?なんだそれ?分かるのは大事件だという事だ。魔王連合が攻め込むなんて普通じゃない。だけどそれが緊急?別に関係ないし気にする必要無さそうだけど……。
「大事件なのは分かるんだけど、キンガンドって何? 何をやらかしたの?」
スーラリオが深いため息を吐く。そして俺の方を呆れ顔で見ている。
わかってるよ!情報が大切なのはさ!だけど分かんないモンはわかんないよ!すみませんね無知でさ!!
「キンガンドはな、ルードの国なんだ」
ああ、そうか。確かにそれは緊急だ。魔王連合がルードの国に攻め込むって事は、大戦争が始まるわけだ。
客間の扉が勢いよく開いた。
「大変です! ユリウス様!」
扉を開けたのはサリアだった。
「失礼しました! ですが大変です、ユリウス様! 魔王連合の四か国がキンガンドへの攻撃を宣言、そして大魔王ケルステスが統治している国メギルセレスがキンガンドの援護を宣言しました!」
最初の情報は先ほどスーラリオから聞いたから知ってたけど、最後の情報は知らなかった。スーラリオも知らなかったらしく、驚いている。
「ルード対その他の大魔王の戦争になると思ったが、ケルステスはルード側についたか……」
これは六つの国の戦争という単純な話ではない。魔王連合の大魔王たちはたくさんの魔王が統治する国との繋がりを経て大きくなっている。大規模な戦争になる事が目に見えている。魔王連合の六か国以外の国も間違いなく参戦することだろう。
「スーラリオはこの戦争、どっちが勝つと思う?」
フム……と考えているスーラリオ。
「ルード……と言いたいところだが、流石に数が違い過ぎる。数の差を考えると、ルードの味方をするものは少ないだろうな。お前はどっちが勝つと思うんだ?我よりもルードや魔王連合の内部について詳しいだろう?」
スーラリオの言う通り、数の差が激しい。普通に考えれば皆がルードが負けると答えるだろうな。けど、俺の考えは違った。
「俺はルードが勝つと思う……」
「お前がそう言うなら何か理由があるんだろう?」
「ああ、これは確定情報じゃないんだけど、ルードは魔王狩りと繋がっている可能性があるんだ」
スーラリオが何か、点と点が繋がったかのようにハッとした顔をする。
「そう言う事か……! 今回のきっかけは恐らくそれだ。ルードと魔王狩りが繋がっている可能性が高い。そして、それに他の奴らが気付いたんだ。そして先日のメディスの件で魔王連合内部で何かが起こったのではないか?」
確かにその可能性が高いかもな。メディスが殺されたことにより、自分たちも標的になる可能性を考えたんだ。そして、やられる前にやっちまえって感じか……?
「そう言えば、ルードの国に攻撃するって話だったけど、ルードの国って見つけられないんじゃなかったっけ? 何か前にスーラリオがそんな事言ってなかった?」
見つからない国を探すって大変じゃないか?勇者も見つけられないって話だったよな……?
「あぁ。だが今回は話が違う。探しているのが、あのオレリーとシミリアーナだからな。オレリーは戦闘能力も高い上に、情報収集のスペシャリストだ。シミリアーナは戦闘能力は無いと言われているが、他の大魔王と違って横のつながりと情報でのし上がった大魔王だからな。その二人が探して、攻撃宣言までしたんだ。どこにあるのか確信しているだろう」
オレリーって確か……眼鏡かけてる人だっけか?確かにインテリ系ではあったな。そんでシミリアーナは唯一の女の人だったよな?そういうのが得意そうではあった。他の二人は……まあ、筋肉ムキムキ系で、情報収集とかは苦手そうな感じだったな。
「詳細は何も言われてないのか? どこにキンガンドがあるのかとか」
俺の質問にサリアが答える。
「はい。何も言われていません。ルードの国、キンガンドに攻撃する、とだけしか……」
本当に攻撃するのか?ただの脅しで言っているだけかも……。この宣言で動き出すのを見ているのかもしれない。
「いや、キンガンドの場所は何となくだが……分かっている」
凄いなスーラリオは。色んな事を知っているな。
「サリア。お前を何となく分かっているのではないか?」
スーラリオの言葉に険しい表情をするサリア。
なに!?じゃあ、何で教えてくれないんだ?
「ユリウス。お前が初めてルードに会った場所はどこか覚えているか?」
俺が初めてルードに会った場所……まさか……。
「攻撃宣言後、表では気付かれていないがまるで、メルドルを囲うように大魔王の兵士たちが集まっている。恐らくだが、ルードがいるのは『メルドル』だ」




