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初めてのクエスト

「サリア! そっちに行った!」


 狩ろうと思って、後ろからコッソリ近づいたが逃げてしまった。ホーンラビットめ……何で気付いたんだ?


「お任せください。魔王様」


 サリアが炎魔法でホーンラビットを黒焦げにした。相変わらず、サリアの魔法の威力は高いな。サリアが黒焦げになったホーンラビットの角を剥ぎ取っている。本当は俺も剥ぎ取りたいけど、気持ち悪くて出来ない。サリアが任せてほしい、と言っていたので剥ぎ取りは全てサリアに任せている。情けない魔王でごめんよ……


「これで3つ目ですね」


 『ホーンラビットの角を5つ納品する』という低ランククエストを受けた俺たちは、魔物の森に来ていた。ホーンラビットは珍しい魔物ではないので、簡単に見つかる。初めてのクエストで高ぶって朝から来ちゃったけど、すぐ終わりそうだな。


「魔王様! もう2頭見つけました」


 サリアが2頭見つけてしまったらしい。これで終わりだな。




 見つけた2頭も倒した俺たちは、角を剥いで速攻でギルドに戻っていた。


「はい! これで角5本の納品完了致しました!」


 角を納品した俺たちは、ミルアさんに言われてギルドカードを渡した後、受付でミルアさんが帰ってくるのを待っていた。


 ミルアさん……今日も女神だ……!ミルアさんを見ていると、横からリオサの圧を感じる。見てる……何故か俺の顔を、ガン見している……感じる……感じるぞ……!何か分からないけど、後で謝ろう……。


「あー!!」


 後ろから大きな声が聞こえた。この声……聞いたことある気がするぞ……

 俺は恐る恐る振り返った。するとそこには、勇者レイドがいた。


「お前ここで何をしてるんだ!?」


 ちょいちょいちょいちょい、とギルドの隅っこにレイドを連れて行く。


「俺は今、冒険者人生を楽しんでんだ! 邪魔するなよ?」


 俺が小声で話すと、レイドも小声になる。


「何で冒険者やってるんだ?! 何か企んでるのか?!」


 冒険者になりたかっただけなんだけど、そんな事言ったって信じてくれなさそうだしなぁ。何か理由……理由……。


「情報集め……かな?」

「情報集めぇ!?」


 疑いの目を俺に向けてくるレイド。何だよその目は?嘘じゃないぞ!


「ってか、お前こそ何で冒険者ギルドにいるんだよ? お前冒険者じゃないだろ?」


 そうだ。こいつは勇者であって冒険者じゃない。冒険者ギルドに用なんかないハズだ。


「黒髪の男。新人冒険者なのに高ランクの大男を1発。銀髪のエルフ連れ。お前以外にいないだろ!?」


 確かに……。それは俺しかいないかも……。


「お前の可能性が高いと思った俺は、お前が悪い事を企んでいるのかもしれないと思って確認しに来たんだ!」


 こいつ……!まだ俺の事を信用してないのか?俺は悪い事なんか何もしてないのに……!


「ユーリウス。ミルアが呼んでますよ」


 サリアが後ろから話しかけてきた。すると、話を聞いていたレイドが、プププと笑っている。なんだよ?


「お前、ユーリウスって名前で冒険者してんのか? バレバレ過ぎだろ」


 そんなに分かりやすいか……?ってか、ミルアさんが呼んでいるんだ。こいつの相手をしている場合ではない。俺はレイドを無視してカウンターに向かった。


「すみません、ミルアさん! お待たせしました!」


 ミルアさんは後ろ姿で気付いていなかったようだが、俺を追ってきたレイドの顔を見て、驚いた。


「勇者レイド様!?」


 勇者レイドに興味津々な様子のミルアさん。こいつ勇者ですけど、俺より弱いですよ!


「ユーリウスは迷惑をかけてませんか?」


 レイドがミルアさんに俺の事を聞いている。俺もミルアさんの返事が少し気になる。俺、迷惑かけてませんよね!?


「迷惑なんてそんな……! ユーリウス様は前に私を助けてくださいましたし、とてもいいお方ですよ! それに……カッコイイ……お方……ですよ?」


 ミルアさんがちょっと頬を赤らめている。お、お、お、お、俺に……惚れて……!?リオサが俺を睨んでいる。すみません……!調子に乗りました!気持ちの悪い顔をしていたのだろう。リオサから圧を感じた。


「そうですか。それならよかったです。これからもユーリウスをよろしくお願いします」


 レイドはそう言うと、チラッと俺の方を見て、冒険者ギルドから出て行った。何だアイツ……?


「ユーリウス様って凄いお方なのですね! 勇者レイド様をお知り合いだなんて……!」


 あはは……と苦笑いで流す俺。知り合いというか、敵というか……。何と言うか……。

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