目覚めたら最低の魔王でした③
城の外に出て俺は驚いた。
俺はゴミだけど魔王なはずだし配下もいた。なのに外は街じゃなくて、村って感じだった。城も中は城って感じが凄かったけど外から見るとボロボロで思ったよりも小さかった。
「何だこのヘンテコな城は……」
俺がそう言うとリオサが口を開いた。
「申し訳ございません。魔王様」
「完成する前に配下が皆出て行ってしまったので……」
まあ、しょうがないか。
そんなことよりも、
「それじゃ魔法を見せてよ」
「わかりました。少しだけ下がっていてください」
ちょっとだけ下がる。
魔法を初めて見る。ワクワクするな。
「ファイアボール!」
リオサがそう言った瞬間、リオサの手から小さい炎の玉が近くにあった岩に向かって飛んでった。
火の玉が岩に当たると凄い勢いで爆発した。
「うわっ!」
咄嗟に手を顔の前にやる。煙で前が見えない。
数秒経って煙が晴れると、そこには粉々になった岩があった。
「凄い威力だな……」
「これは凄い魔法だったりするのか?」
俺はリオサに尋ねる。
こんなに威力が凄いんだからとんでもない魔法に違いない。
「いえ、これは初級炎魔法です」
え?
「え?」
これが初級だって?嘘だろ?岩が爆ぜたぞ?
「そ、そうなんだ。魔法って初級でも凄い威力が出るんだね……」
「いえ、普通はここまでの威力は出ないでしょう」
「そうなの?」
「はい。魔法の威力は魔力で決まります」
「魔力が高ければ初級魔法でも、高い威力で出力する事が出来るのです」
「へぇ、そうなんだ」
俺も魔法が使えたりするのかな。
「魔法ってどうやって発現させてるの?」
「魔力を手に集中させて魔法の名前を言うだけで出来ます」
なるほどね。
俺は手のひらを前へかざし。
「魔力を集中させる」
手のひらの前で力を感じる。
これが魔力か。
「ちょっと魔王さ……!」
リオサが何か言おうとした気がするが止まれない。
「ファイアボール!!!!」
そう言うとさっき見た炎の玉が前に飛んでいく。
「出来た!!出来たよリオサ!」
そう言ってリオサの方を見る。リオサは驚きの表情のあと、すぐに心配の目をこちらに向けた。
「大丈夫ですか!?魔王様!?」
え?何が!?
「うん。大丈夫だけど……」
「なんで……」
リオサは驚いている。
何をそんなに驚いているんだろう?
もしかして魔法はそんな簡単に出来ない事なのかな?
「気持ち悪いなど、体調の変化はございませんか!?」
ん?どういう事?
「MP切れは命に関わります!」
え、そうなの?
「ファイアボールはMPを5は消費します!」
「本当に何もありませんか?お体に異常とかは?」
あ、そうか。リオサは俺のMPが3だと思っているんだ。
「ごめんごめん。そういえば俺のスキルの詳細を教えてなかったね」
そう言うと
「スキルの詳細?」
リオサが心配そうな目でこちらを見る。
「うん。俺のスキル【友達の輪】の詳細をさ」
リオサはこれからずっと一緒にいるかもしれないし共有しておこう。
俺は【友達の輪】の詳細を説明した。
「ということは私のステータスがそのまま魔王様のステータスに追加されているという事なんですね」
「多分、そうだと思う」
「それなら安心しました」
何かを思いついたかのように、リオサは手をポンと叩いた。
「では、仲間を増やせば魔王様はさらに、お強くなられるのでは?」
「そういう事だと思う。リオサの使える魔法を俺も使えたし、本来切れるはずのMPも切れなかった」
もう一度ステータスを確認してみると、基礎MPが3のままで追加MPが295に変化している。
リオサは下を向き、何かを考え込む。
「どうしたの?」
「明日はメルドルに行きましょう」
リオサは急に前を向き俺の方を見ながら言った。
「メルドル?」
「はい。メルドルです」
そんなこんなしてるうちに夜になり、俺は寝室へ戻った。
「はぁ……何か疲れたな」
明日はメルドルという国に行くらしい。
メルドルには奴隷市場があるらしく
そこで仲間を探そう、との事だ。
「仲間探しか」
仲間は欲しかったけど、それが奴隷というのがなぁ。あまり気乗りはしない。
けどそれ以外に仲間を作る方法を知らないし、それに『友達の輪』のスキルも試したい。
そんな事を考えながら俺は眠った。
「魔王様。朝ですよ」
「んー」
もうちょっと寝かせてくれよ。
「起きないとキスしてしまいますよ?」
え!?何かリオサ性格変わってない!?
「起きます!起きます!!」
慌てて起き上がる。
「こちらにお座りください」
起こされた俺はリオサに言われた通り椅子に座る。
「こちらが朝食になります」
「あ、ありがとう」
目の前の机に美味しそうな目玉焼きのような物が置かれる。
「これは……目玉焼き?」
俺がそう聞くと、リオサは首を傾げながら言った。
「メダマヤキ?これはフォレストバードの卵を焼いた物になります」
「あぁ、おっけー」
どうやらこの世界には目玉焼きが無いみたいだ。それかリオサが知らないか。
フォレストバードが何かは知らないけど、バードって言ってるし、多分鳥だよね?
「それじゃ、いただきます!」
味も目玉焼きだった。
ご飯を食べて準備も出来た。
「ここからメルドルまでどのくらいかかるの?」
「前に広がる森を抜けたらすぐに見えますよ」
結構近いな。
てか、ここ森に囲まれてるんだなー。
「ガルトーヴァの近くの森は魔物が出るので気をつけてくださいね」
そうなんだ。って、
「ガルトーヴァってなに?」
「この国の名前です」
え!?初めて聞いたんだけど、この国の名前。
「この国って名前あったの!?」
「言ってませんでしたっけ?」
「聞いてないよ!」
はぁ、まあいいや。
「それじゃ準備も出来たことだし」
「行こう!」
俺たちはメルドルに向かった。




