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序列勇者襲来

「たのもー!」


 外から突然大きな声が聞こえてきた。ん?なんだろう?まあ、いいか。誰かが対応するでしょ。放っておいていいや。なんて思っていたら、扉をノックする音が聞こえた。


「魔王様。よろしいでしょうか?」


 リオサか。何だろう。さっきの声の話かな?対応してくれて報告に来たのかもしれない。


「いいよー」


 そう返事すると、リオサが扉を開ける。


「お客様です。魔王様」


 ん?お客様?さっきの声はお客さんだったのか。


「リオサが対応してくれるかな?」


 リオサが首を横に振る。


「いいえ。魔王様の対応案件です」


 リオサが断るなんて珍しいな。ちょっと行ってみるか。


「分かった。先に行って、お客様にちょっとだけ待つよう伝えてくれるかな?」

「承知いたしました」


 リオサはそう言うと、部屋から出て行った。

 何かよくわからないけど、とりあえず準備するか。




 準備した俺は、城の入り口に向かった。するとそこには、この前の温泉で会った男がいた。確か……アマチ?だっけか?テンゲンと一緒にいた人……だよな?


「えーと……この前の温泉以来だね。何用かな?」


 アマチが頷く。そしてとんでもなく真剣な顔だ。なんだろう?テンゲンに何かあったのかな?


「魔王ユリウス。あなたを倒しに来ました」


 ほーん。魔王ユリウスを倒しに来たのか、なるほどなるほど……


「え!? 俺を倒しに来たの!?」


 俺がそう言うと、アマチは強く頷く、そして――

 剣を抜く。


「あなたを倒せば俺の序列が上がる。そしてテンゲン師匠に近づける。申し訳ありませんが、倒させていただきます!」


 アマチが飛び掛かってくる。

 ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!と言いたかったが、言う暇もなく本気で切りかかってくる。なんで誰も止めないんだ!?一応俺、魔王なんだけど!?


「しょうがない……!」


 俺も反撃をする。流石にここまで本気で攻撃されたら、反撃せざるをえない。恨むなよ?!本気で横腹を殴ろうと拳を振りかざす。だが、何かを感じ取ったのか、すぐさま大きく後方に躱す。


「ただの……殴り……?」


 なんだ?何か戸惑っている様子だ。どうしたんだ?


「今のは何ですか?」

「今のってのは?」

「今の攻撃です。何をしたんですか?」


 何をしたって……そりゃ……


「ただ殴ろうとしただけだけど……」


 俺がそう言うと、何かを考え始めた様子のアマチ。


「ただの殴りにしては凄い力を感じました。どうやら、あなたのパンチには当たらない方が良さそうですね……!」


 俺のパンチに力を感じる……?確かに、俺の攻撃力は【友達の輪】の効果で、かなり高い数値になっている。俺の攻撃力の数値と【怪力】のスキルでただのパンチでもかなり凄い威力になっているのかもな。


「本気を出します……!」


 アマチはそう言うと、もう1本持っていた剣を取り出した。もしかして、2刀流か?そう思っていたら、アマチは最初に使っていた剣を捨てた。


「力を貸してくれ……聖剣ヒライテン……!」


 アマチが何かを唱えると、聖剣から光が放たれる。なんだ!?眩しい……!


「これは聖剣ヒライテン。雷の魔法が付与された聖剣です。そしてあなたを倒す剣だ!」


 聖剣の先から雷が放たれる。トールの雷に比べたら小さい雷だが、聖剣の力なのもあって、とんでもない魔力を感じる。


「あぶねっ!」


 雷は何とか躱せた俺だったが、体勢を崩してしまった。まずい……!このタイミングで攻撃が絶対くる。そして予想通り、体勢を崩したのを好機と見たアマチはこっちに全力で走ってきている。地面を殴れば躱せるだろうけど……いや、迷ってる場合じゃない!俺は崩した体勢から踏ん張るのをやめて、後ろにわざと倒れる。そして手がつく瞬間に思いっきり床を殴った。床に亀裂が走り砕け散った。その衝撃でアマチも体勢が崩れて、いったん下がっていった。


「なんて威力だ……!」


 割れた床を見て、驚いているアマチ。そして俺も驚いた。

 俺の拳、凶器になってるじゃん……。


「すげぇな。魔王様」


 仲間の皆も驚いている。


「参りました。降参です。この威力で殴られたら、ガードできたとしても1発で終わってしまうでしょう」


 剣を床に置いて、手を上げるアマチ。そして床に座り込んだ。


「師匠に修行になるからって言われて来たけど全然修行になりませんでした。魔王ユリウス。あなたは強すぎますね」


 アマチが笑いながら言う。テンゲンに言われて来たのか。


「修行で来たのか?」


 俺がそう聞くと、アマチが答える。


「ええ、テンゲン師匠が、あなたと戦えば修行になる。そして負けても絶対に殺されることはないし、大きな怪我も負うことはない。万が一勝ったら序列が上がるし、いい事しかないからって言われて来たんですよ」


 何て迷惑な……まあ、確かに殺さないし、大けがも負わせることはないけどさ。てか序列が上がるって言ったか?


「序列が上がる? もしかしてアマチって……」


 俺がそう言うと、アマチが自己紹介を始めた。


「失礼しました! 自己紹介がまだでしたね。勇者連合所属、序列9位。勇者アマチです。聖剣ヒライテンの所有者で、勇者テンゲンの弟子です! よろしくお願いします!」


 えぇ……アマチって序列9位なの?めっちゃ強い勇者じゃん。


「それでは! 俺は帰ります! お手合わせありがとうございました!」


 アマチはそう言って、帰っていった。


「なんで誰も最初、手を貸してくれなかったの?」


 俺がそう言うと、リオサが説明する。


「勇者アマチから最初に事情を聞いていたのと、レオが知っているようだったので手を出しませんでした」


 なるほど。だから皆大人しかったのか。理由が分かってよかったよ。それにしても、勇者アマチ……か。嵐のような奴だったけど、いい奴そうだったな。

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