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中立国家①

「おぉ。凄い人の数だね。出店もいっぱいあるし、凄いな」


 俺たちは度重なる戦闘などで受けた肉体的な傷や心の傷を癒すため、中立国家メデルセルタに来ていた。

 スーラリオが言っていた通り、凄い国だな。


「ええ、魔王が統治しているわけでもなく、勇者がいるわけでもない国で一番大きい国ですからね」


 スーラリオに休まる方法を聞いたら、メデルセルタがオススメだと言われたので今日は、メデルセルタに来た。ちなみにレンとロウは来ていない。温泉が嫌いらしい。サリアもあまり温泉が好きじゃないらしいが、魔王様が行くなら私も……!と言いながらついてきた。国の皆も来ていない。誘ったのだが、戦闘に参加していないので……との事だった。


「レオ―。ここでは戦闘禁止だからなー。気を付けてくれよ?」


 スーラリオに聞いたところによると、メデルセルタ国内では戦闘が禁止らしい。ここでは魔王や勇者も関係なく、国王1人を除いて皆が平等のルール。そんなの普通に、勇者連合と魔王連合が黙っていないんじゃないか?と思ったけど、メデルセルタの国王トールは、魔王連合のルードや勇者テンゲンと同じクラスの戦闘能力を持っているらしく、皆そのルールに従っている、とスーラリオが言っていた。


「わかってるよ。流石に俺も、ここでは気を付ける」


 珍しく、レオも気を張っているようだ。仕方がないだろう。この国の歴史上、国内で問題を起こした奴がいない、何てことは勿論無く、過去に暴れたやつが居たらしいけど、国王トールに一瞬で消されたらしい。ルールを守っている者には優しく、ルールを守らない者には、残虐な一面を見せるとかなんとか。


「それじゃあ、温泉街に行こうか」


 そう。ここには、なんとビックリ。温泉がある。この世界で温泉があるのはこの国だけらしく、魔王も勇者も、ここに休むために来る、とスーラリオが言っていた。この世界に来て初めての温泉だ。流石にワクワクが止まらない……!


「ここが温泉街かー! 凄いな!」


色んな出店があって人もたくさんいて、とても賑わっていた。奥に凄い湯けむりが見える。あそこに温泉があるのだろう。


「メニア……あれ食べたい……!」


 メニアがキラキラした目で食べ物を見ている。


「それは温泉に入ってからにしようか」


 うん!と返事をするメニア。


「リオサ、サリア、ナモ。3人とも、メニアを頼んだよ」

「はい」

「はい!」

「はいっス!」


 温泉は勿論男女別なので、幼いメニアは3人に任せることにした。

 出店は、後で見てみよう。今はそんなことより――

 温泉だ!!




「ここに服を置けばいいのか?」


 初めての温泉にレオは戸惑っていた。


「あぁ、そうだよ」


 それにしてもこの温泉。まるで日本みたいだな。さっきから日本を感じる物がそこら辺に置いてあったりして、日本にいるような感覚になる。


「準備はいいか? レオ」


 レオが頷いたので、俺たちは温泉に向かった。


「まずは、身体を洗い流そう」


 そうして、体を洗い流し、俺たちは入浴した。


「ふぅー……生き返るね……」

「生き返るって……なんだ? 別に死んでないだろ?」


 違う、そうじゃないんだよレオ。と思ったが、温泉の気持ちよさに、俺はどうでもよくなった。長い事浸かった後、俺たちは、あまり人がいない事に気付いた。

 あれ?外に結構、人がいたんだけど、中にはあまり人がいないな。なんでだろう?


「なあ、レオ。外はたくさん人いたよな?」

「ああ、いたな」

「それなのに中にはいないんだな」


 それを聞いてちょっと不思議に思ったのか、レオも周りを見渡している。

 頭にハテナを浮かべながら、俺も周りをきょろきょろ見ていると、入り口の方から声がした。


「師匠! お背中お流しします!」


 おお!?ビックリした。

 振り返ると、赤髪短髪のヤンチャそうな青年と、黒髪のこれといった特徴のない普通の見た前をした青年が入ってきた。凄いな。ここまで特徴のない、普通の人間は人生で初めて見たかも。


「こら、アマチ。大きな声を出すな。他のお客さんに迷惑だろう?」

「すいません! 師匠!」


 変わらず大きい声。てか黒髪の方が師匠なのかよ。

 どうやら体を洗い流したらしい。2人が湯舟に浸かる。


「外にたくさんファンの人がいましたね!」

「そうだね。ありがたいよ」


 ファン?外にたくさん人がいたのは、この人のファンだったのか。幼めで可愛らしい見た目をしているけど、特別めちゃくちゃイケメンってわけじゃないし、何かやってる有名人なのかな?


「いやー! 温泉最高ですね! 師匠!」

「大きな声を出すな、アマチ」

「ごめんなさい!」


 黒髪の青年はそう言うと、こっちを向いた。


「すみません。騒がしくしてしまって……」


 黒髪の青年が申し訳なさそうに、頭を下げてくる。かなり常識的な人らしい。それを見て赤髪の青年も一緒に頭をペコペコさせている。見た目はヤンチャそうだけど、いい子っぽいな。


「いえいえ、気にしないでください。こんなに気持ちのいい温泉に浸かったら、声も出ちゃいますよ!」


 俺がそう言うと、黒髪の青年はまた頭を下げる。


「そう言って下さると助かります」


 その後、談笑した俺たちは、一緒に温泉から出た。


「それじゃ、僕たちが先に出ていきますね。外の人たちにもみくちゃにされたら大変なので」


 そう言って黒髪の青年が外に出ていくと、外からとんでもない足音と揺れを感じた。すげぇ、あの黒髪の青年って本当に人気者なんだ。


「あいつらすげぇ、人気モンだな。外にうじゃうじゃ居たやつらが皆いなくなっちまった」


 その後、俺たちが外に出ると、女性陣が待っていた。


「ごめんごめん! 遅くなった」

「それでは、出店の方に向かいましょう。メニアがお腹空いたそうなので」

「そうだね。そうしようか」


 俺たちは出店の方に向かって歩き出した。

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