魔王連合会議
「久しぶりだな。グランテレス」
グロウザがグランテレスに話しかける。
「ああ、久しぶりだな」
シュテルドーチェの城の中。前回とは違い、今回は7人集まっていた。いつも通りの5人、久しぶりだからかちょっとだけソワソワしているのが1人、そして、酷い怪我を負っているのが1人。
「メディス ソノ怪我ハ ドウシタノダ」
ケルステスは今にも笑いだしそうな馬鹿にしたような声でメディスに問いかける。メディスはその空気を感じ取ったのか、机の上に足を思い切り叩きつけた。
「テメェ、ケルステスゥ。笑ってんじゃねぇぞ? ぶっ殺してやろうか? あぁ?!」
ケルステスがクスクスと笑っている。他の者もこのやり取りを見てクスクス笑う。
「落ち着いてください、メディス。また、ルードにボコボコにされたくはないでしょう?」
オレリーの言い方に怒りで体が震えるメディス。だがルードに睨まれ大人しくなる。その様子を見ていたルードだったが、つまらなかったのだろう。口を開く。
「どうでもいいからさ、今日の議題はなんなの?」
ルードがそう言うと、笑っていた皆が一斉に静かになる。
「失礼しました。それでは、会議を開いた本題に入りましょう」
皆がオレリーの言葉に耳を傾ける。
「最近、魔王狩りのゼクスがまた動き出しました」
オレリーの言葉に、皆が驚きの表情を見せる。ルードの眉毛がピクリと動く。ルードも驚いているようだ。
「魔王狩りのゼクスは既に、8人の魔王を倒しています。10年ぶりに動き始めて、たったの1週間で8人、異常な早さです」
「魔王狩りのゼクス、か」
グロウザが口を挟む。
「魔王狩りのゼクスって言やぁ、ルードとケルステス以外はあんまり知らないよな? どんな奴なんだ?」
グロウザがオレリーに質問する。
「そうですね。魔王狩りが活動していたのは10年以上前で、我々は魔王狩りが居なかった時代に、魔王連合に参加しましたからね」
「オレリー 調ベテキタノ ダロウ?」
「はい。もちろん」
ルードがオレリーの方を見て、何かを指示する。そしてオレリーが話し始めた。
「魔王狩りのゼクス。魔王狩りではありますが、勇者ではありません。本来、魔王を倒す時は聖剣を使うのですが、彼は聖剣なし、魔王を少なくとも100人以上は倒します。大魔王も20人倒しています。ですが彼の驚くべき点はそこではありません」
「そうなのか? 大魔王を20人も倒しているなんて凄いじゃねぇか?」
オレリーが説明を続ける。
「もちろん。そこも凄いです。ですがそれよりも凄いのが、彼はスキルも称号も持っていない、という所です」
「!?」
皆が驚く。それもそうだろう。魔王ならともかく、大魔王を倒すのは並大抵の人間では難しい。スキルや称号を持っている人間ですら倒すのが難しい筈なのに、魔王狩りは何も持っていないというのだ。
「そんなことがありえるのか?」
「にわかには信じがたい事ですが、戦った経験のあるルードから聞いたので間違いありません」
ルードが頷き、話し始めた。
「奴は、自身が持つズバ抜けた戦闘センスと、これは予想だが、ありえない程高いステータスを持っているんだと俺は思っているよ」
ルードの言葉に皆が驚く。ルードは基本的に自分が楽しければそれでよく、興味が無い事にはとことん興味が無い男なのを皆が知っているため、ここまで言うルードの言葉には妙な力があった。
「まあ、それに、俺でも殺せなかったしね」
これには誰も驚かなかった。ルードと魔王狩りが戦ったのは有名な話だったからだ。仮にその事を知らなくても、察するだろう。ルードと戦った事のある魔王狩りが、活動再開したという事は、当時ルードは魔王狩りを殺せなかったのだろう、と。
「そんなに強かったんだね。魔王狩りってのは……」
「まあ、強いのは強いんだけど、単純に逃げられちゃったんだ」
シミリアーナが言うと、ルードは否定した。
その後も会議は続いた。魔王狩りの事、メディスの事、そして――
魔王ユリウスの事。
「今日の会議はここまでにしておきましょう」
オレリーがそう言うと、皆が席を立ちあがる。
「皆。ゼクスには一応、気を付けてね。俺とケルステスだけが残って、あとは全員入れ替え。なんてことは嫌だからさ」
珍しくルードが皆に警告する。普段こういう事をしないであろうルードがそう言うので、皆が返事をしてその場は解散した。
「ヒッ!? ゆ、ゆ、許してください!」
男がブルブル震えながら土下座をしている。それを感情の無い目でジッと見ている白髪の男。
「ダメだ」
一瞬の事だった。白髪の男が手を動かすとほぼ同時に、土下座している男の肉体が消し飛んだ。
「よ、よくも配下を……!!」
白髪の男の横から、先ほど消し飛んだ男の主であろう男が涙を流しながら睨んでいる。
「何が悲しいんだ? お前らは自分達が殺した相手にも、仲間がいるかもしれない事を考えたことはあるか? ないだろう? 自分たちは散々殺しておいて、迷惑をかけておいて、自分たちは殺されない。なんて、そんなわけがないだろう。お前らは殺されても仕方ない存在なんだ」
白髪の男はそう言うと、横にいた男も消し飛ばした。
「人殺しが泣くな……気持ちが悪い」
白髪の男はそう呟くと、自分がさっきまでいた城を破壊して、その国から出て行った。




