表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/44

vsメディス②

 はぁ、俺ここで死ぬのか……


「魔王様ー!」


 後からリオサが俺を呼ぶ声が聞こえる。リオサの声でこちらに気付いたのか、他の皆も声を上げだす。

 終わるの早かったなぁ。俺の異世界生活、魔王人生は……メディスがニヤニヤしながらこっちを見てやがる……本当にイラつくなぁ……こんなあっけない死に方するのかよ俺。まあ、なんだかんだ言って楽しかったなぁ。走馬灯のように色んな事を思い出す。短い時間だったけど、色々あって楽しかったな。皆とここでサヨナラするのは悲しいなぁ……

 で、俺はいつ倒れるんだ?


「魔王様!」


 リオサが俺のそばに来た。


「ごめん……リオサ……今からでも急いで逃げるんだ。そして……皆を……頼んだ……ぞ……」


 俺はリオサの手を握った。


「あのぉ……魔王様……? 傷が……塞がっているのですが……」

「え……!?」

 

 俺はさっきまで血が出ていた自分の胸を見た。


「なくなってる……」


 傷が完全に塞がってる。なんでだ!?

 あ……そう言えば、メニアのスキルが確か……。俺は自分のステータスを確認した。すると、スキルの欄に【自動回復】のスキルが追加されていた。


「まじか……」


 どうやら俺はメニアの【自動回復】のスキルのおかげで助かったらしい。てか【自動回復】凄いな。一瞬で傷が塞がったみたいだ。

 メディスの方を見ると、さっきまでニヤニヤしていた顔がいつの間にか曇っていた。


「何をした……? 間違いなく俺、の氷の剣はお前を貫いたはずだ。なのに何故!お前の傷は塞がっているんだぁ!?」


 やつは動揺している……!今がチャンスだ!

 俺はメディスに向かって全力で走った。


「貴様ぁぁ!!」


 メディスが再び、氷の剣を飛ばしてきた。が、俺はさっきの出来事でアドレナリンが出ているのもあるだろう。謎の自信が湧いてきていた。さっきまでは当たった死ぬという恐怖から躱すのに必死だったが、当たっても死ななかったという経験が俺の恐怖感を鈍らせた。

 今なら……イケる!

 氷の剣を躱しながら、メディスの所へ直行する。当たっても死なないという謎の自信のおかげか、全てを紙一重で躱しながら走る。


「何!?」


 俺はいつの間にか、メディスの近くまで来ていた。メディスに向かってジャンプしながら、拳を引いた。


「歯ぁ、食いしばれ! クズ野郎!」


 俺はメディスの顔面を思いっきり殴った。

 殴られたメディスは後方にすごい勢いで吹っ飛んでいった。


「はぁ、はぁ」


 倒した……大魔王を……


「やったぞー」


 俺は皆の方を振り返った。


「魔王様! うしろです!」


 リオサが叫んでいるのが聞こえた。リオサの焦り方を見て、俺は横に思いっきり飛んだ。すると、氷で出来た龍が俺の横を通っていった。


「あっぶね!」


 あれは当たってたら即死だった……。てか、冷静に考えたら、さっきの剣も同時に食らったら即死だったな……俺はゾっとした。


「ご無事ですか? 魔王様!」


 リオサが飛んで転んだ俺に駆け寄る。


「ありがとう。大丈夫だよ」


 氷の龍が飛んできた方向から声が聞こえた。


「テメェだけは……ぜってぇに……殺す……!!!」


 怒りで震えているメディスが見えた。俺の全力パンチを耐えたのか……!?あの筋肉モリモリのグランテレスが一発だったのに!?こんな細身でどうやって……

メディスの頬に氷の破片がついていた。そういえば殴った時、何か硬かった気がする。咄嗟に氷で防いだのか。


「まだやるのか?」


 メディスが一歩ずつ近づいてきている。これはもう……殺すしかないのか……?

俺がそう考えながら、メディスの方に向かおうとした瞬間だった。

 何かが目の前を通った。すると大きな音と共に、目の前からメディスの姿がなくなる。と同時に、近くの建物が崩壊した。

 なにが起こった!?


「魔王様! 気を付けてください! 信じられないほど強大な魔力を持った者がそこにいます!」


 リオサが見ている方を見ると、そこには大ダメージを受けたメディスと、メディスの髪の毛を掴んでいるルードの姿があった。


「ねぇ、メディス。今日はやめとけって、オレリーに言われなかったか?」


 遠くから見ていてもわかる。とんでもないルードの殺気が……


「も、申し訳ございません。ルード」


 メディスは震えながら答えている。異様な空気感に辺り一帯が静まり返る。そして、その場にいた全員が本能的に理解した。この人には逆らってはいけない、と。


「わかればいいんだ。わかればね」


 話が終わったと思ったのか、メディスは髪を掴まれながらも、ホッとした表情を見せる。するとルードは、メディスを解放するかのように見えたが、メディスを思い切り蹴飛ばした。メディスは凄い音を立てながら、建物を貫通して吹っ飛んでいった。ルードがこちらへ向かってきた。


「ごめんね、ユリウス。あいつが勝手しちゃってさ!」


 俺はさっきの光景を見て、ちょっとだけルードに対してビビっていた。


「い、いや、いいよ。こっちはあまり怪我人とか出てないしさ」

「そう? それならよかったよ。ここは俺が片づけとくからさ、ユリウスはもう帰っていいよ!」


 ルードがいつもの笑顔で話す。


「あ、あぁ。そうさせてもらうよ」


 俺はそう言って、帰ろうと出口の方を向いた。皆は恐怖で黙っていた。そりゃそうだ。さっきのを見たら、誰だって怖いと思う。


「それじゃ、またねー!」


 後からルードの声が聞こえたので、振り返ると、ルードが満面の笑みで手を振っていた。


「ああ、また」


 俺も手を振り返した。そして、俺たちはサステメルシンを後にした。




「あれが大魔王ルード……か」


 帰り道、レオが口を開いた。


「あれは、敵に回さない方がよいでしょう。今の私たちでは瞬殺されてしまうでしょうから」


 リオサの言う通り、ルードは敵に回さない方がいいだろう。実力が違い過ぎる。戦闘経験もステータスも遥かに俺たちを上回っているだろう。


「ユリウス……様……ごめん……なさい……メニアを助けたから……大変な事になっちゃって……」


 メニアが悲しいそうな顔をして俺に謝る。そんなメニアの頭を撫でながら俺は言った。


「全然、気にしなくていいんだよ、メニア。俺たちは今日から家族だ!」


 俺がそう言うと、メニアが満面の笑みで頷く。俺はこの笑顔を守りたい。そのために俺はもっとステータスを上げる。そう誓った日だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ