表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/44

vsメディス①

 振り返るとそこには、ニヤニヤと笑みを浮かべる大魔王メディスの姿があった。


「どうしてここに?」


 理由はわかっているが、あえて聞く。間違いなくこの子を連れ戻しに来たのだろう。


「その子は、私の奴隷でしてねぇ。この国じゃ他人の奴隷の連れ去りは禁止なんですよぉ。それに、その子には大切な仕事があるんですよ」

「仕事?」


 何の仕事をさせてんたんだ?


「いやぁ、それがですね。ウチの国ではですね、回復薬等、その他色々な薬品を主に扱っていましてね。ただ薬品って危険じゃないですかぁ? もしそれを売るってなった時に効果範囲を知る必要もありますし、効力も知る必要がありますよねぇ?」


 こいつ……もしかして……


「そこで、その子の出番なんですよぉ。その子はですね、とても貴重な【自動回復】スキルの持ち主なんですよぉ」


 ニコニコ笑顔を浮かべながらメディスは話を続ける。


「そして、その子で実験をするんです。色んな事を知るためにね。その子を何をしても死にません。素晴らしい実験体でしょう?」


 なんでこいつ、そんな胸糞悪い事をそんな笑顔で話せるんだ?悪魔か?こいつはとんでもないクズだ。 


「だからメニア。こっちに来るのです。早く」


 メディスがそう言うが、メニアはブルブル震えてまともに動けていない。


「早く来いって言ってんだろうが! クソガキぃ! テメェには仕事が待ってんだ! 早く来い!」


 メディスが大声で怒鳴る。急いでメディスの元に駆け寄ろうとしたメニアの腕を掴む。


「いかなくていいよ」


 メニアは首を横に振る。俺の手から離れようとするメニア。俺はメニアがつけている奴隷の首輪を触れた。今日は聖剣を持ってきてないから、戦闘になったら本当はまずい。けど、この子は絶対に放置できない。


「魔力消去」


 俺がそう言うと、奴隷の首輪が外れた。


「何をしてるんです?」


 顔を引きつらせながらメディスが俺に問う。そりゃそんな顔にもなるよな。本来、奴隷の首輪は契約主しか外せないようになっている。それを目の前で契約主でもなんでもない俺が外してしまったんだから。


「首輪は外れた。これでこの子は、お前の奴隷じゃない。どこに行こうが自由だろ?」


 メディスが呆然と立ち尽くしている。

 俺はこいつが許せない。もう戦闘になってもいい。


「メニア。奴隷の首輪は外れたんだ。君はもうあいつの言いなりにならなくていい。自由に暮らすもよし、俺たちと一緒に来るもよし。どうする?」


 俺はメニアを怖がらせないように、笑顔で話しかける。


「メニア……ユリウス様に……ついて……いきたい……です」

「よし! そうか」


 俺はメニアを連れて行くことに決めた。この子は俺が保護する。


「それじゃ、帰ろうか」


 俺がそう言って、メニアを連れて皆と帰ろうとした時だった。


「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」


 後からメディスの大きな怒声が聞こえた。


「テメェ。何をしたか知らねぇがよ。そいつは俺の奴隷だ。雑魚が調子に乗んじゃねぇぞ。グランテレスの雑魚を倒したからってイキってんのかぁ? あぁ? 雑魚が雑魚を倒したところで、雑魚は雑魚なんだよぉ!」


 メディスはそう言うと、地面に自らの脚を叩きつける。すると、メディスを中心に周りが一瞬で凍った。


「なんだこれ!?」

 

 メニアの手を取って、瞬時に後方に飛ぶ。

 なんとか避けれたけど、これ避けれなかったらどうなってんだ?


「こんな広範囲で高威力な氷魔法は見たことがありません! 魔王様、気を付けてください!」


 リオサが俺に向かって叫ぶ。皆も瞬時に避けたようだ。


「お前は、ぜってぇここで殺すぞ? 魔王ユリウスゥ!!」


 メディスは空中に氷の剣を作りだし、俺に向けて飛ばしてきた。

 あぶね!メディスから凄まじい殺気を感じる。戦闘になることは覚悟していたが、やっぱり少しだけ手が震える。


「リオサ! メニアを頼む!」


 俺はそう言って、メニアをリオサの居る方向に飛ばす。そして戦闘に戻る。視界の端にリオサがメニアをキャッチするのが見えた。

 よし……! こいつ絶対ぶっ飛ばす!


「死ね死ね死ね死ねぇぇ!!」


 メディスが変わらず氷の剣を飛ばしてくる。

 【魔力消去】は触れないと効果が発動しない。この速度で飛んでくる尖った氷を正面からは受け止められない。触るとしたら横からだけど、その時には躱しているから消す意味はない。


「ちっ……くそ!」


 こんなの躱すので精一杯だ……どうする……!

 大きな音を聞いて、サステメルシンの兵士たちがゾロゾロやってきた。街中で戦闘をしているんだ。流石にやってくるよな。


「大魔王様! 加勢します!」


 最悪だ。俺のせいだ。相手の街中で戦闘するなんて、無茶だったんだ。それに、こいつはちゃんと……強い!これだけ魔法を放っているのに、魔力が切れる気配が全くない。

 視界の端に戦っているレオやリオサが映った。俺は一瞬だけ集中が切れて、意識がそっちに行った。その瞬間だった。


「あぐっ!?」


 なんだろうこの感じ。胸の部分が熱い。なんだこれ……俺は胸の熱くなっている部分を触る。手にはヌメっとした生温かい感覚があった。メディスが満面の笑みでこちらを見ている。俺は顔を下に向けた。すると――

 手が真っ赤に染まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ