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魔王連合からの呼び出し

「あのぉ、こんにちは~」


 最大限にニコニコして、俺は挨拶した。この重苦しい空気に耐えられない。なんで俺は――

 魔王連合の会議に来てしまったんだ……

 時は12時間ほど前にさかのぼる。




「なにやってんの!? レオ!?」


 城の入り口から大きな音が聞こえたので向かうと、見た事が無い男をレオがボコボコにしていた。


「わりぃ、魔王様。でもこいつらから喧嘩売ってきたんだ」


 レオが言うには、扉を開けると目の前にいて、魔王を出せっと怒鳴ってきたらしい。それにムカついたレオは、相手をボコボコしてしまった、との事だ。


「それによぉ、こいつら大魔王の部下らしいぜ?」


 大魔王の使いだって!?まじかよ!?そんなのをレオはボコボコにしちゃったのか!?早く起こして謝らないと、大変なことになるかも!


「気絶しちゃってるじゃないか?! やりすぎだよ!」


 俺はレオを厳しく叱ったあと、気絶した男を起こした。


「貴様ら! よくもやりやがったな? 大魔王様をお呼びする! どうなっても知らないぞ?」


 目が覚めた男はそう言うと、そそくさと出て行った。


「どうやら大魔王が来るらしいな……」

「わりぃ、魔王様。俺のせいで面倒なことになっちまって……」


 レオがシュンとしている。相手の態度が悪かったのは本当だと思うし、こうなってしまっては仕方ないだろう。


「いや、大丈夫だよ。ただ、次からは気を付けようね」

「おう……」


 俺たちが入口前でそんな話をしていると、扉を叩く音が聞こえた。

 もしかして大魔王か?いや、いくらなんでも早すぎるか……


「はーい。どちらさまで?」


 扉を開けるとそこには、眼鏡をかけていて髪は短め、やせ型の男が立っていた。

 わお、凄いイケメンが来たな。


「えーと……どなた?」


 俺がそう言うと――


「お初にお目にかかります。ガルトーヴァの魔王ユリウス。私の名前はオレリー。シュテルドーチェの国王で大魔王をしています」


 もう……来ちゃったの……?


「えーと……その大魔王様が何用でウチに……?」


 オレリーがジッと俺の方を見ている。

 なにこれ!?怖い!


「12時間後、大魔王メディスの国、サステメルシンで魔王連合会議が行われます。そこにあなたを呼ぶことが決定いたしました。拒否権はございません」


 魔王連合会議……?大魔王様が集まって会議でもするのか?呼び出された理由は多分グランテレスの件だろうな……行きたくない……


「あのぉ……もし、無視して行かなかったら、どうなるのでしょうか……?」


 恐る恐る聞く。


「魔王連合が全力で、ガルトーヴァを潰して見せましょう」

「はい……行きます……」




 

 俺はオレリーに連れられ、サステメルシンの城の中で行われている魔王連合会議に出席していた。

 はぁ……なんでこんなことに……いや、まぁ俺がグランテレスを倒してしまったのが悪いんだけどさ……しかも、こいつら挨拶返さないし……


「やっほー! ユリウスー! 久しぶりー!」


 ルードが俺を見て笑顔で手を振ってくる。暢気すぎるだろ……


「こいつですか? グランテレスを倒したっていうのは」


 青髪で長髪、長身でヒョロヒョロの男が俺の方を指さす。


「うん。そうだよメディス。彼が魔王ユリウスだ」


 ルードがそう言うと、ギョロっと俺を見るメディス。

 この人怖い……凄い圧を感じる。


「本当なのか?ルード。こんな小さいのが、グランテレスを倒したと言うのか?」


 俺を見て大男が言う。そりゃあなたに比べたら小さいかもしれないけど、ミスター平均だぞ!


「ええ、間違いありませんよ。グロウザ。確かに、この見た目からは想像できませんが、グランテレスを一撃で倒したのは間違いなく彼です」


 早く帰りたい……この感じ、今すぐ殺されるとかは無いだろうけど、気分がよくない。品定めされているような感じ。


「あのぉ……もう話は終わりました? 帰ってもいいですか?」


 俺がそう言うと、グロウザが思い切り台を叩く。


「黙ってろ。俺たちが何かを聞いたら口を開け。それまで口を開くな」


 こ、こわい……


「なあ、お前はどうやって、グランテレスを倒した? お前のような小さい奴があのグランテレスを一撃で倒せるわけがない。何か特殊なスキル持ちか? それとも卑怯な手でも使ったか? 詳細に話せ」


 グロウザが俺に詰め寄る。スキルの事は絶対に言いたくない。もし言ってしまったら、間違いなく殺される。


「グランテレスの拳を躱して……それでお腹にパンチを入れたら……そのぉ……倒れたというか……気絶したというかぁ……」


 俺がもごもご喋っていると、グロウザが大声を上げた。


「ふざけるんじゃねぇ! そんなんでグランテレスを倒せるわけないだろう! どうせ複数人で倒したんだろう?!」

「本当ですよ」


 オレリーが口をはさむ。


「あの場にいた兵士たちに聞いてきました。彼の言ってる事は全て本当です」


 ありえないという顔をするグロウザ。


「本当ニ ソレダケカ?」


 これは人間……?なのか?見た目が人間の形をしていない。けど言葉を喋ってる。魔王連合にはこんなのもいるのか……


「どういうことです? ケルステス」

「兵士ガ 気ヅカナカッタ ダケデ スキル ヲ 使ッテ 倒シタ カモシレナイ ダロウ?」

「可能性はありますが、調べようがありません。誰も【鑑定】のスキルを持った配下や知り合いはいないでしょう?」


 オレリーがそう言うと皆が黙り込む。


「強制的に吐かせることは、可能かもしれませんがね」


 1人を除いて、大魔王のほとんどが俺の方を見る。

 まじかよ……ここ戦闘になるのか……?流石に多人数相手には勝てる可能性は低いぞ……


「いやぁ、それは許せないね」


 ルード?庇ってくれるのか?


「俺さ、ユリウスと友達になったんだ。もし君らがユリウスを、今ここで害そうというなら、俺は本気でユリウスと一緒に、君らと戦うよ」


 ルードがそう言うと、空気が変わった。


「わかっていますよ。ルード。私達もあなたと戦闘になるのは望むところではありません。申し訳ありません、魔王ユリウス。今日の会議は、もう終了なので帰ってもらって大丈夫です」


 オレリーがそう言ったので、俺は速攻で城を出た。




「メディス。余計な事はしないでください」


 オレリーがメディスに言う。


「余計な事って……なんです?」

「今日の所は、魔王ユリウスには手を出すな、と言っているのです」


 オレリーがメディスを睨む。


「わかってます。わかっていますよ」


 半笑いで言うメディスにちょっとした不安を覚えたオレリーだったが、自分の国の事もあるので、わかってればいい、という顔をして帰った。


「ふぅ……これで大魔王は全員、俺の国から出ていったみたいですねぇ。魔王ユリウス……殺しちゃうかぁ……」


 メディスが気味の悪い笑顔を浮かべていた。

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