聖剣②
「ありえない……【魔王】の称号を持ってる奴が、聖剣を持てるなんて……」
レイドが何かを考えながらブツブツつぶやいている。
「何故……そんな事があり得るのでしょうか……?」
「聞いたことがありません……魔王が聖剣を持つなんて……」
リオサとサリアも何かを考えながら話をしている。
「やっぱ魔王様はすげぇや!」
「はいっス! 凄いっス!」
ニコニコと笑顔で言うレオとナモ。こいつらは俺の癒しだ。
話が終わったのか、リオサとサリアが近づいてくる。
「魔王様は魔王でありながら、勇者である特別な存在になってしまったようです。ですが、これはここだけの話にしておきましょう。周りに知られてしまうと厄介な事になるかもしれません」
「いや、でもレイドが報告するかもしれないよ?」
俺がそう言うと、レイドがこっちを見て言う。
「いや、俺も報告はしないでおく。俺の聖剣がきっかけで……なんて俺も困るからな」
あれ?君、勇者だよね?本当にそれでいいのかい?と、俺は思ったが口には出さない。俺が思ってるよりも、この世界の勇者は緩いのかもしれない。
「それじゃな、俺は帰る。魔王ユリウス。俺が倒しに来るまで、負けるんじゃないぞ。そして気を付けろ、序列上位の勇者は皆、大魔王を倒しているからな」
レイドはそう言うと帰っていった。
「魔王様は最強の存在になったんスね! 聖剣を恐れる必要がなくなった訳っスから」
ナモが嬉しそうに言う。
まあ、確かに。俺が死ぬかもしれない要素が1つ減ったと思えば、よかったのかもしれない。ただ、この事が周知されたら、魔王連合と勇者連合の両方が敵になる可能性があるのが不安だな。
「バレるのも時間の問題だと思われます。魔王様」
リオサが俺の顔を見て言う。顔に出てたのかもしれない。
「勇者と戦えば100%バレます。聖剣が効かないわけですからね」
「確かにな。相手も不思議に思うだろうな」
「はい。【勇者】の称号がバレなかったとしても、聖剣が効かない特異体質、もしくは、スキルを持っていると思われるでしょう。そうなれば、厄介な事に巻き込まれる可能性は、かなり高いと思われます」
リオサの言う通りだ。なんらかの効果で聖剣が効かないと思われただけでもアウトだ。それだけで全てを敵に回す可能性がある。いや、聖剣が効かないだけなんだったら魔王連合はウェルカムかもしれないけど。
「まあ、考えても仕方ない。その時が来たらなんとかしよう。俺が魔王である以上、どんな事に巻き込まれてもおかしくないんだし」
そう。俺は魔王なんだ。それに大魔王を倒した事が有名になってしまっている。どのみち普通に平和な生活が送れるような状況じゃないし、今考えすぎたってしょうがない。
「それも……そうですね。魔王様は世界最高の魔王になられるお方。そのような事を気にする必要はありませんでしたね」
「あぁ、そうだぜ。リオサの姉貴。魔王様は最強を目指すって言ってんだ。こんな所で考えすぎてたら、足が止まっちまうぞ。それに、どんな敵が来ようと魔王様は負けねぇし、俺たちも負けねぇ」
レオが熱い事を言ってくれる。ただ、俺は最強の魔王は目指してないんだけどね。レオとは過去に最強の魔王になる約束をしちゃったからあれだけども……まあ、いいか。最強も最高も変わんないよね。最強になれば最高の環境を作れるわけだし。
「ナモが魔王様をお守りするっス!」
うんうん。ナモは可愛いね。
「私たち諜報部隊も、魔王様をお守りします!」
サリアがそう言うと、後ろにいたレンとロウも頷く。
皆心強いな。仲間がいるってのはいいもんだ。
「ありがとう、みんな」
俺は皆に感謝を述べた。
「やっぱ売ってねぇなぁ」
「聖剣ってやっぱりレアなんだ」
「そうですね。そんな簡単には見つからないと思います」
次の日、俺たちはメルドルに来ていた。他の魔王や大魔王と戦う可能性があるなら、聖剣はいつか必要になるかもしれない、という話になり、メルドルに探しに来ていた。俺の強みの魔王なのに【勇者】の称号を持っている所は最大限活かしていく方針になった。
「武器屋に売ってるんだよね?」
「はい。サリアが調べたところによると、聖剣は主に、武器屋が買い取る傾向にあるとこの事です」
メルドルは勇者保有、そして冒険者の活動が盛んな国で武器屋が複数あるらしい。次に行くところで、6軒目だ。
軽く中を散策したが、聖剣は見つからなかった。
「やっぱりねぇな……」
「日も暮れてきたし、帰ろうか」
聖剣見つからないし、日も暮れてきたので帰ろうとした時だった。
「ユリウス? 何してるんだ?」
俺に話しかけてきたのはスーラリオだった。
「スーラリオ? 君こそ何してるの?」
メルドルって本当に大丈夫か?魔王がここに2人いるし……この前は普通に、大魔王がいたわけだろ?この国はかなり危機意識が薄い気がする。
「我は暇だったのでな。お菓子でも買ってユリウスの所でも行こうと思っていたんだ」
お菓子かってウチにって……お茶目なやっちゃな。
「ユリウスは、何の用で?」
スーラリオは信用できる。俺はこいつになら話してもいいかも、なんて思った。皆も同じ考えだったようで、目が合う。
「実は……」
俺はスーラリオに現状を話した。
「なるほど……だったらちょっとスーラに来い。聖剣があるから」
「まじで!?」
「ああ」
俺はスーラリオと共に、スーラに向かった。




