とある組織の会議
「グランテレスが負けたそうです」
とある国の城の中。所作に自信や傲慢さが表れてる者たちが集っていた。いつもなら7人いるはずだが、今回は6人しか集まっていなかった。
「よく分からない魔王に倒されたんですよね? 弱いのが悪いんですよ」
長身で細身。青髪長髪の男が笑いながら言う。
「何が面白いんだ? メディス。ヘラヘラしやがって、殺されたいのか?」
体格の大きい赤髪短髪の男が長身の男に詰め寄る。睨み合う2人。今にも戦闘が起きそうな空気が流れる。
「なんです? グロウザ。僕に喧嘩を、売ってるのですか?」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら言う長身の男だったが、突然性格が豹変する。
「調子に乗んじゃねぇぞ、へなちょこ野郎が。売る相手はちゃんと選べや雑魚。脳みそまで筋肉で出来てるゴミがよ?」
「まあまあ、その辺にしておきましょう、お2人とも」
眼鏡をかけた瘦せ型の男が間に入って止める。
「オレリーの言う通りだよ、2人とも。その辺でやめときな。私は無駄な争いは嫌いだよ」
ピンク髪で長髪、すらっとしたモデル体型の女性が口を出す。
「シミリアーナ オレリー 放ッテオケ。ソイツラ ガ 殺シ合ッテクレレバ 我ハ助カル」
人の形をしていない生物が、顔のような部分を横に振りながら言う。
「ねぇ、いつまで続けんの?」
黒髪の少年のような風貌の男が口を開く。空気が変わるのを皆が感じたのか、騒がしかった場が一気に静かになる。
「グランテレスについて話すために集まったんだよね? めんどくさいから、さっさと終わらせようよ」
その男が言うと、皆が一斉に席に着く。
「そうだな、すまない。ルード」
「申し訳ございません。ルード」
さっきまで殺気立っていた2人が1人の男に向かって謝罪する。
「オレリー。戦いの詳細を」
「はい、ルード」
眼鏡の男が詳細を話す。
「誰だ? その魔王ユリウスってのは」
「ぽっと出の魔王です。どこの傘下にも属していません。国も見てきたのですが、国と呼ぶには建物が少なく、とてもお粗末でした。配下は6人です。それと調べた所によると、どうやら過去に配下の裏切りにより、死にかけたみたいですね」
「なんだそりゃ? そんな奴に、グランテレスは負けたのか?」
体格の大きい男が眼鏡の男に問う。
「はい。それも一撃で、です」
「一撃だと!? あのグランテレスが、か!?」
眼鏡の言葉に体格の大きい男が驚きの表情を見せる。
「ありえないだろ!? グランテレスは俺に並ぶ筋肉の持ち主だぞ!? あいつが一発でやられちまうなんて……」
「厄介ナ スキル持チ ナノデハナイカ?」
異形がそう言うと、眼鏡の男が頷く。
「その可能性が高いでしょう。ユリウスは一度勇者を退けている、という点以外は普通の魔王です。その勇者も序列に載っていないような雑魚だったみたいですしね」
「オレリー。あなた調べたのでしょう? どんなスキルか分からなかったのかしら?」
ピンク髪の女が問う。
「はい、わかりませんでした。過去の配下を探し出して話を聞いてきたのですが、スキルの事は何も知りませんでした」
「秘密主義だったのか?」
「ええ、恐らく」
「いやいや、配下に殺されるようなクソバカのゴミですよね? 秘密とか無理だと思いますが?」
長身の男が笑いながら言う。
「まあ、そうですね。配下に殺されるような奴ですし、魔王の称号も実力ではなく金を使って手に入れた、せこい奴のようですしね」
眼鏡の男がそう言うと、長身の男が吹き出す。
「なんですか、それは。そんなにグランテレスが負けたなんて、尚更笑えますね」
ケラケラ笑っている長身の男。それを体格の大きい男が睨み付ける。
そんな事を話していると――
「ごめん。用が出来たから帰るよ」
そう言って、突然帰ろうとする黒髪の男。なにか楽しいことでも待っているのか、ワクワクを隠しきれず外に出ていく。その場にいる全員がぽかーんとしている。
「ルード ハ 自由ダナ」
「まあ、いいです。話したいことは話しましたし、今日は解散にしましょう。こちらでも調べますが、皆さんも何かあればすぐに連絡ください」
皆が外に出ていく。
長身の男が不敵な笑みを浮かべる。
「魔王ユリウス……面白そうじゃないですか……」




