レオVSヒョロロン毛
「いかせねぇよぉ!?」
走り抜けようとする魔王にヒョロロン毛が手を伸ばす。
「てめぇの相手は俺だ!」
レオはそう言ってヒョロロン毛の横腹に蹴りを入れる。そうするとヒョロロン毛が横方向にぶっ飛んだ。
「おーいぃ。お前、やりやがったなぁ?」
ヒョロロン毛は横腹を抑えながらレオを睨み立ち上がる。かなり効いているのだろう。痛みで息が荒くなっている。
「お前らぁ。こいつに手を出すんじゃねぇぞぉ? こいつは俺の獲物だからよぉ? グランテレス様の援護に行けぇ」
ヒョロロン毛がそう言うと周りの兵士たちがぞろぞろと魔王を追いかけていく。
頼むぜぇ、魔王様。何が何でもこいつは俺が止めっからよ。あとは任せたぜ。
「おい! ヒョロロン毛。てめぇ、名前は?」
レオはそう言いながらヒョロロン毛を睨みつける。
「オレぇの名前はギシン。ケーテス戦闘部隊隊長のギシンだ。お前は?」
「ガルトーヴァの、魔王ユリウス様の配下、レオだ」
レオが戦闘態勢に入る。ギシンもそれを見て同じように構える。
「死んでくれや、レオ!」
ギシンがレオに襲い掛かる。とてつもないギシンのスピードに面を食らうレオ。なんとかガードをするレオだったが、次に繰り出されたギシンの蹴りに対応出来ず、後方に吹っ飛ばされてしまう。
こいつ!動きが速すぎる!防ぎきれねぇ……!
「おいぃ。どうしたレオ? その程度かぁ?」
ゆらゆら動きながら立っているギシン。立ち上がるレオだったが表情に曇りが見える。
流石は戦闘部隊の隊長だぜ。こりゃつえーな。
「あんまり調子のんじゃねぇぞ? てめぇ」
「威勢だけはいいなぁ? レオぉ?」
俺はこんな所で負けるわけにはいかねぇんだ。俺が負けると魔王様に迷惑がかかる。ガルトーヴァに泥を塗っちまう。だから、こいつは俺が――
「ぜってぇ、潰す!」
「こいよ?」
ギシンがレオを挑発する。その挑発に乗る形でレオがギシンに飛び掛かる。レオはあの手この手で攻撃を繰り出すが、ギシンには全く当たらなかった。逆にギシンのカウンターをモロに食らっていたレオ。だがレオには勝ち筋が見えていた。
こいつは躱すときに絶対、右足から後ろに下がる。そこがねらい目だ。
「おらおらぁ?! どうしたぁレオぉ?! そんなぬるい攻撃じゃぁ俺にはかすり傷一つ付けられねぇぞぉ?!」
「お前、油断し過ぎだぞ?」
レオが攻撃を繰り出す。何も変わらない、同じような攻撃をするレオを挑発するような笑顔で躱すギシンだったが、今回は違った。
「捕まえた」
「なに!?」
ギシンの顔から笑顔が消え、驚きの表情に変わる。レオの攻撃を躱すために後ろ下がろうとするギシンの残った左足を踏みつけるレオ。間髪入れず、ギシンの顔に、レオの全力右ストレートが入った。
「うぐぅ!!」
ギシンが後方に凄い勢いで吹っ飛ぶ。
「おい。立てよ」
レオがギシンの方に向かって歩きながら言う。だが、ギシンは全く立ち上がってこない。少し焦ったレオが、小走りで駆け寄る。
あれ!?もしかして殺しちまったか!?やべ……!殺しはダメだって魔王様に言われたのに……!
「はあ、焦らせんなよ」
レオは安堵した。ギシンは死んでいたのではなく、気絶していただけだった。スピードに自信があったギシンはまともに攻撃をもらった事がなく、打撃への耐性が皆無だった。
「流石に、疲れたなぁ」
そう言って座り込むレオだったが、ある声が聞こえてきて元気を取り戻す。
「撤退だー! 撤退! 大魔王グランテレス様がやられた!」
やったのか!魔王様!
レオはすぐに立ち上がって魔王の元に向かった。




