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ケーテスのスーラ進軍③

「だ、大魔王様ー!」


 兵士達がグランテレスを囲うように集まり始め、グランテレスの様子を確認しているようだ。確認した兵士達が一斉に俺を見る。どうやらグランテレスは気絶していたらしい。

 これで終わり……か?俺は大魔王を……一発でKOしてしまったのか?


「大魔王グランテレスは魔王ユリウスに敗れた! 兵士たちよ、今すぐに引き返せ! そうすれば命は奪わん!」

「な……!? そんな……大魔王様が……?」

「撤退だー! 撤退するぞ!」


 俺がそう言うと周りにいた兵士たちが一斉に後退し始める。前線の方まで情報が届いたのだろう。前線にいた兵士たちもぞろぞろ後退していく。


「魔王様ー!」


 声が聞こえたのでそちらの方を向くと、リオサとナモが駆け寄ってくる。


「魔王様ー! 勝ったんスね!」

「当たり前でしょうナモ。魔王様があのような雑魚に負けるハズがありません」


 リオサが胸を張り自慢気に言う。

 グランテレスとの戦いは死闘になるかも……なんて思っていたけど、あっさり終わった。それもただのパンチ一発。大魔王と戦って分かったのだが、俺のステータスは多分、この世界でトップクラスに高い。大魔王を一発KO出来るなんて普通じゃないしね。


「よぉ……勝ったみてーだな」


 ボロボロになったレオが歩いてくる。


「大丈夫か!?」


 俺がそう言うとレオは座り込んで話し始めた。


「俺はぜーんぜん問題無し。 それより前線で兵士たちが騒いでたぜ? 大魔王が一発で倒されちまったってよ」


 レオが笑いながら話す。全然笑い事じゃない。この戦いの詳細は魔王連合とか勇者連合にすぐに知らされるだろう。さっきグランテレスを倒したときに高ぶって、思いっきり名乗ってしまったし、名前も知られるハズだ。そうなれば、俺たちの生活は一気に忙しくなることが予想できる。魔王連合の大魔王が報復に来たりとか勇者が俺を危険視して殺しに来たりとか。


「はぁ、参ったよ……」


 そんな事を話していると、馬に乗ったスーラリオを先頭にスーラの兵士たちが駆けつけてきた。諜報部隊の3人もいる。


「大丈夫か!? 敵兵が見当たらないのだが……何かあったのか?」


 スーラリオが慌てた様子で聞いてくる。


「スーラリオ様。戦はもう終わり、敵軍は撤退しました」

「なに!? もう撤退しただと!?」


 スーラリオが驚きの表情を見せる。

 まあ、驚くよな……敵は大魔王で、多分スーラリオは奴の強さを知っているのだろう。


「まあ、色々あってね」


 俺は、先ほどの戦いの一部始終をスーラリオに説明した。




「一発!? 一発で倒してしまったのか!?」

「流石です! 魔王様!」


 スーラリオが驚いている。スーラリオってこんな顔するんだ。もっと冷静系だと思ってた。サリアも滅茶苦茶喜んでる。


「助かった! と言いたい所だが……いや、スーラは間違いなく助かったのだが、ガルトーヴァはこれから大変になるぞ? 大魔王を倒してしまったわけだからな」

「やっぱりこれって、魔王連合とか勇者連合に報告行くよね?」

「100%報告されるだろうな」


 やっぱりか……


「ユリウス達は我らを助けてくれた。だから、我らもその時が来たら直ぐに助けに行こう」

「ああ、その時は頼む」




 戦闘も終わり、俺たちはスーラリオの城に招かれたので行くことにした。勝利の宴会を開いてくれるらしい。

 スーラリオの城は俺の城の数倍大きかったし、豪華だった。皆とは別に俺は服を着替えて、メイドさん達に城の中を案内される。案内された先にはドアがあった。入ってください、とメイドさんに言われたので、ドアを開ける。すると沢山の人がいた。配下の皆も先に来ていた。スーラリオが手招きするのでそちらに向かう。俺は言われるがままに、スーラリオと並んで皆の方を向いて立つ。


「皆の者、よく聞け! こちらが今回の戦で我らを助けてくれた魔王ユリウスだ!」


 歓声が上がる。めちゃくちゃ恥ずかしい。学校の授業でみんなの前に立って、成果物を発表する時の感覚。スーラリオが俺にマイクを渡してくる。俺に何か喋れっていうのか!?


「あ、えーと……か、乾杯!」


 ふぅ。よかった。なんとか乗り切れた。俺はスーラリオに言われ席に座る。何か……気分がいいな……俺は目の前にいる、お酒を飲んで楽し気なスーラの国民を見て思った。


「今日は本当に感謝するよ、ユリウス」


 スーラリオが俺の方を向いて言う。


「なんだよ? 急に」

「いや、お前が居なかったら、この景色は存在しなかったんだ、と思うとな」


 確かにそうだな。俺が助けないという選択肢を取っていたら、目の前にいる人達のほとんどが死んでいたんだ。そう思うとゾッとする。


「だから、本当に感謝する。ユリウス」

「ああ、これからも助け合っていこう。スーラリオ」


 この日の夜は、この世界にきて一番楽しい夜になった。

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