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目覚めたら最低の魔王でした①

「やっと、終わった……」


 真っ暗な部屋で唯一の明かりであるモニターに大きく映し出されるクリアの文字。


 俺はこのゲーム『Fairy Dungeon』通称『FD』の最高難易度のダンジョンをソロクリアした。


 ソロクリアを達成したのは俺が初だ。


 嬉しすぎて叫び出したいが流石にやめる。

 誰かに自慢したいが俺にフレンドは居ない。


 こんな時フレンドがいれば「すげー!」とか「かっけー!」って言ってもらえるんだろうなぁ。

 やば、何か急にさめてきた。

 ゲームやってる時に突然来る虚無感。


「何してんだろ俺……」


 もうすぐゲームを始めて40時間が経過しようとしている。眠さや疲れからあまり良くない事が頭の中をぐるぐるし始める。


 明日から俺は何を目標にこのゲームをプレイすればいいんだろう。てか俺このまま一生を過ごすのかな。


 そんなことを考えていると、カーテンから覗く太陽の光がとても眩しい。


「流石に寝るか……」


 脳が限界だと叫んでる気がする。

 思考が纏まらない。明日起きてから考えよう。

 俺は眠った。


 声が聞こえる……


「そなたは何を望む……」


 真っ暗な世界。何かフワフワする感覚……夢か……

 何を望む、か。うーん、そうだ。


「俺はフレンドが、仲間が、友達が、欲しい」

「そなたの望み叶えよう」


 急に世界が明るくなる。


「うわ!何だ!?」


 光に飲まれ、意識が遠くなる。




「ま、様!おう様!」


 誰だようるさいな。


「様!まお、様!」


 この夢うるさいな、静かにしてくれ。


「魔王様!」


 !?

 ビックリした、誰だこの人。

 目が覚めると目の前に知らない人がいた。

 銀髪で綺麗なロングヘア。メイド服を着たエルフのような見た目をした美しい女性。


「魔王様。お目覚めになられたのですね」

「えーと……」


 困惑する。この人は誰?てか、ここどこ?

 周りを見渡すとそこは、ファンタジー世界に出てきそう城の寝室のようだ。


「魔王様、どうされました?」


 もしかしてさっきから呼んでる魔王様って俺の事か?


「えーと……魔王って俺の事ですか?」

「はい。もしかして魔王様、記憶が?」


 記憶が無い……というかここを知らない。

 記憶を無くした事にしよう。


「そうなんです。記憶がどうやらないみたいで……」


 まあ、魔王としての記憶はないし嘘ではないよね。


「毒のショックでしょうか……」

「毒?」


 毒のショック?どういう事?


「はい。魔王様は配下に毒を盛られのです」


 配下に毒を盛られた!?まじかよ!?


「もしかして俺って嫌われてる感じですか?」

「それは……そのぉ……」


 銀髪エルフは言いづらそうにしている。

 多分めっちゃ嫌われてたんだな、悲しい。


 それよりも

「喉乾いたな……」


 ボソッと言った俺の言葉に体をビクッとさせる銀髪エルフ。


「今すぐに持ってきます」


 バタバタと部屋を出ていった。


「ふ~う」


 大きく息を吸い込んで吐く、落ち着こう俺。

 最初は夢だと思ったが、これは夢じゃないだろう。ハッキリと会話してるし、匂いもある。


「これはもしかして……」


 小説とかアニメである異世界転生ってやつなのか?

 いや、話を聞く感じ俺は知らない魔王の体に入ったみたいだから……異世界憑依?なのか?

 そんなことを考えていると


「お待たせしました」


 バタンと扉を開けて入ってくる銀髪エルフ。


「こちら、お飲み物です」

「ありがとうございます」


 飲み物を受け取る。喉が潤う、普通の水だ。


 ……


 沈黙の時間が流れる。めっちゃ気まずい。

 女性と会話した事なんて片手で数えられる程しかない人生。こういう時、陽キャはどうやって会話をするんだろう。


 そういえばこの魔王は、なんで毒殺されたんだろう?

 流石に嫌いだからって殺さないだろう。何か理由があったのか?

 今後の為に聞いておいた方がいいかもな。


「そのぉ……何で俺は……毒殺されたんですか?」

「それは……」


 言い淀む銀髪エルフ。


「知りたいんです。教えてください」


 なかなか言わないな、何でだろう?

 そんな事を考えていると


「うぐっ!ぐぅ!」


 急に銀髪エルフが苦しみ始めた。


「あがっ!」


 どどどどどど、どうしよう!


「どうしました!?大丈夫ですか!?」

「ぐる、じい……!」


 どうやら銀髪エルフの付けてる首輪みたいな物が首を絞めてるらしい。


「えーと、どうしたらいいんだ?」


 目の前で起こっている事に軽くパニックになる。

 俺がオロオロしていると、銀髪エルフが絞り出したような声で言った。


「魔王様、は……嫌われていたんです……!」


 !?


「はぁ……はぁ……」


 どうやら収まったらしい。なんだったんだ今のは?


「大丈……」


 俺が手を貸そうと伸ばしたときだった。


「い、いやっ!」


 震えながら縮こまる銀髪エルフ。

 え!?もしかして今の俺めちゃくちゃ気持ち悪かった?


「申し訳ございません……申し訳ございません……」


 いやでも、この震え方は異常だ。

 もしかして俺(魔王)って……

 超極悪人だったのか!?

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