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第2話ー②

第3章までの登場人物(※身体的性で表記)


久米香月くめ かずき【17・男】・・・・大和まほろば高校3年2組・野球部主将


縄手章畝なわて あきや【30・男】・・・久米香月のクラス副担任


斎部優耳いんべ ゆさと【40・女】・・縄手章畝の婚約者




木之本沢奈きのもと さわな【17・女】・久米香月の彼女


葛本定茂くずもと さだしげ【17・男】・久米香月の幼馴染で野球部




久米香織くめ かおり【47・女】・・・・久米香月の母




小槻おうづく【31・女】・・・・・・・・斎部優耳と同じ社内チーム


雲梯うなて【25・男】・・・・・・・・・斎部優耳と同じ社内チーム




北越智きたおち【15・男】・・・・・・・野球部1年生








 そこが大阪の中心だと言わんばかりに、そびえ立つ高層ビル群。まるでラスボスが待ち構える帝都さながらの威圧感を放つエリアの一角で、斎部はシャープなネイビーのタイトスカートに、ラベンダーのインナーを着込み足早にフロアを横切っていた。


 背面式レイアウトでデスクをまとめたエリアから、さながらカフェかホテルのラウンジに似せたグループアドレスで業務を行うエリアで構成された社内は、落ち着いた雰囲気でそれぞれが集中できるように工夫されていた。


 天井から吊り下げられた観葉植物に、脚立に上り水分を補充しているスタッフのウェストポーチから、栄養剤が一つ零れ落ちる。


 通りすがりの斎部がキャッチして「はい。」と手渡す。「すいません!ありがとうございます。」と頭を下げるスタッフに、笑顔で「ごくろうさま。」と挨拶をし先を急ぐ。


 スタンディングワークエリアで、ヘッドフォンをしながらパソコンに向かい、踊る様にデータ入力をする一人に近づいた斎部は、小さくため息をつきながら手に持った書類を差し出した。

「経営会議の管理資料とスタンドアローンデータ。見たら廃棄で。」

 ヘッドフォンを外し雲梯【うなて】(25)は、「了解」と受け取った。


「まだ、紙やとは・・・・・」

 斎部から受け取った分厚い紙束をパラパラとめくりながらつぶやいた。

「お偉いさんは、紙が好きなんだよ、ほんとに嫌になる。」


「札束だったら、うれしいんですけどね。」

 雲梯はそれとは別に受け取ったデータチップを、ポケットから取り出した古いガラケーに差し込んだ。


「ところで、小槻【おうづく】はどこ行った。」

 斎部が腕を組み、辺りを見回す。


「コンビニじゃないですかね?オフィスカフェにいるとおもいますよ。」

 雲梯はガラケーの画面を、下方ボタンを押しスクロールさせた。


「あいつは、自分の仕事さえやってしまえばいいと思ってる。居場所も検索不能にしやがって。」

「天才って、いろいろ紙一重やし。」

「てか・・・・・・これ・・・まあまあ厄介な案件ですね。」

 データに目を通し終え、ガラケーを閉じた雲梯は、取り出したチップを指先で二つに折り、躊躇なく口に入れ、ペットボトルのウーロン茶でそれを飲み込んだ。

「おい!お前いつもそんなことしてるのか?」

 斎部は目を丸くして突っ込んだ。


「証拠は完璧に消さないと。」

 何か問題でも?という顔で見る雲梯に

「お、お前・・・安全は確認しとけよ。」

 斎部は苦笑いした。





 カフェエリアでドーナツを頬張りながら、iPadを食い入るように見つめる小槻【おうづく】(31)は、手に付いたシュガーパウダーを指で舐め、ペパータオルで拭いた後、画面をスクロールさせた。


「キャーッ、最高の展開じゃない、これ!」

 まだ砂糖で粘る両手で頬をはさみながら、上下に揺らす。


「がんばれーーーー!私は応援するよーーーー!」

 ニヤニヤ笑顔で画面に映し出された、男子高校生が男性教師に愛の告白をしている動画を見ながら、応援コメントを入力した。


「青春っていいなー。」

 ストローを刺したイチゴオーレを一口飲み、動画をリピートさせた。両手を胸の辺りで組みながら、画面に吸い込まれるように顔を近づけていく。


 そこへ

「おい!小槻!何してる!」

 画面を舐める寸前だった小槻を、斎部の声が現実へ引き戻した。


 思いっきり体を跳ね上げ、ドキッとした小槻は声の方に振りかえらないまま、

「はい‼すいません‼いま行きます‼」

 慌てて残りのドーナツを口に突っ込み、立ち上がった。



 ―――――――――



 こんなに秒針の進む音が響くものなのか。


 母と二人きりで食卓を囲むことは、遡る記憶の限界から変わらず続いているのに、初めて感じる居心地悪さが包み込んでいた。


 久米がまだ幼い時に、父が交通事故で他界した。正直、父の記憶がない。父の所有物はすべて実家に保存してあるとのことで、この家には父を感じる物が一切なかった。


 だから、他の家族が父を含めた全員で食卓を囲む場面を想像しても、それは想像である限り、久米にとって現実と比べる要素にはならなかった。

 母親と二人きりで囲む食卓は、久米にとって家族を十分に感じることのできる場面であった。


 キッチンの壁に掛けられた、時計が時を刻む音が、二人の隙間をぐるぐる回り取り囲む。わかっている。

 この空気を作り出してしまったのは自分であること。朝の出来事は保護者である母に伝わっていることはわかっている。


 今日、今ここで、このタイミングで自分がゲイであることを、カミングアウトするのか。


 冷静を装いながら、テーブルに並ぶ料理を口に運ぶ。

 カミングアウトする必要性はあるのか。いちいち自分のセクシャリティーを告げないといけないのか。


 誰のために?

 何のために?

 家族だから?

 理解してもらうために?

 誰に?

 自分を知ってもらうって必要なのか?

 俺は俺だ。

 何も変わらない。

 特別でも何でもない。


 正直もう開き直った自分には、誰にどう思われようがどうでもよかった。わからないものを理解して受け入れてほしいなんて、無理難題を願わない。嫌いなものは、そう簡単に好きになんてなれない。


 久米は箸を進めるごとに、腹よりも胸が詰まっていった。


 母親の香織が、ご飯をお茶で飲み込んだあと、空になったコップをテーブルに置いた。


「今日、先生から連絡あったわ。」

 母も切り出すタイミングにかなり迷ったのだろう。お茶を飲む量が普段より多く感じられた。


「あ、うん。ごめん。」

 一瞬動きを止めた香月は、少しぶっきらぼうだったかもしれないと、反省をしながらこちらを見つめる母に目を合わすことなく、おかずに箸を伸ばし口に含んだ。


 再び秒針の音が、キッチンを駆けずり回る。


 どう言えばいいのか全くわからないまま、ただ香月は全く味のしなくなった食べ物を、機械的に口に運び続けた。


「期末テストが終わったら、一緒に病院行きましょう。」

 久米を静かに見つめていた香織がつぶやいた。



 飲み込みかけた食べ物が喉に詰まってしまうかと思うほどの発言に、久米はむせ返った。

「え?なんで?どうゆうこと?病院ってなんでなん?」


 全く想像していなかった言葉が目の前に突き付けられた。

 学校での出来事に関係ある話が繰り広げられると考え、カミングアウトするのか、しないのかで頭がいっぱいだった自分が馬鹿らしくなるくらい、独り相撲を取っていたのかと、香月は困惑した。


 理解がまったくできていない姿に、少しため息をついた母の香織は、優しく言った。

「とりあえず、先生に診てもらいましょう。」


「え?俺、どっこも悪ないけど・・・・・」


 箸に白米を掴んで口に入れる手前で、動作が止まってしまった香月は目を丸くした。


「香月は今、心の病気やねん。その歳にはよーあることなんやって、やから心配せんでええで。」

 テーブルの上に両手を置きながら、微笑んだ。


「心の・・・・・病気?」

「そう。人を愛するってことに、心の整理が追いつかなくなってる状態なんやって。」

「え?」

「香月にとって、木之本さんが心に寄り添ってもらいたい一番の存在なはずなんやから。」


 困惑がさらに困惑を呼んでしまった香月は、首を横にゆっくり振り始めた。

「だから、今、香月は心の病気にかかってしまってるんやで。テスト明けに一緒に病院に行こ。」


 呼吸が次第に荒くなる。

「は?・・・俺は、俺は!病気なんかとちゃうわ‼」


 一気に興奮状態になる香月を落ち着かせようと、香織はさらに自分を制しながらゆっくりとした口調で話した。

「香月には自覚がないかもしれんけど、本当に大丈夫やで。心配せんといて。」

「ざけんな‼」

 香織は思いっきり箸をテーブルに叩きつけた。


「俺は病気でもなんでもないわ!誰を好きになろうが俺の勝手やろうが‼」

 肩を大きく動かし呼吸を繰り返す香月に母の香織は手を指し伸ばした。


「落ち着いて。ゆっくり深呼吸して・・・・私がそばにおるから。安心して・・」



「あーそうや!俺はゲイや!同性愛者や!なにが悪いねん!なんでそんなことで病人扱いされやなあかんねん‼」


 落ち着かせようと伸びた香織の手が、息子の香月に触れようとした時、衝動的にその手を払いのけてしまった。

「痛っ!」

 それでも力加減をしたつもりだった。


 香織は、はじかれた手の甲を押さえながら俯いてしまった。


「ごめん・・・・なさい。」

 その姿を見た香月は「やってしまった」と我に返り謝った。


「お願い・・・・・正気にもどって・・・・・」

 母の香織は俯いたままつぶやいた。

 どれだけ冷静でいることに心を制御していたのか、崩れ始めた感情は、坂道を転がり落ちるようにスピードをあげる。


「私は香月の将来を思って言ってるんやで!あなたはまだ若くて経験が少ないから、未来を想像していたとしても、材料が足りなさすぎるの!だから経験の多い大人が、あなたたちが間違った方向、不幸にならないために導かないとあかんねん!あなたは私がお腹を痛めて生んだ子供やねん‼絶対不幸になってほしないなん!なんでそれがわからんの‼あなたは私が命を懸けて守らないといけない存在やねん!あなたの父親みたいに・・・・・・」

 一気にまくし立ててた香織は、突然言葉と息を止め、口を閉ざした。



 母の気持ちが痛いほど響いていてしまっていた香月は、母に幸せになってもらうためには、やはり異性愛者である自分を演じ続けた方が、家族そのものが幸せでいられるのじゃないかと、感じ始めた瞬間だった。


「おやじ?」


 突然出てきた「父親」という言葉に、そんな感情が一気に吹き飛ぶ。


「おやじは関係ないやろ!なんでいきなりおやじが出てくんねん!」

 目を久米に合わせないように顔をあげた香織は、少し挙動不審になったまま、

「あなたがそんなんで、死んだお父さんに、申し訳ないと思わんの!」

 何かをごまかすように机を叩いて見せた。


 もう何が何だか、余計に頭の中がぐちゃぐちゃになってしまった香月は、

「は?何言ってんねん。」

「もういいです。わかりました。ご馳走様です。」

 手を合わせて、素早く食器を積み上げ洗い流した後、母に目もくれず部屋へと駆け込んだ。


 大きくため息をついた母の香織は、椅子に深くもたれかかり、テーブルの上を呆然と眺め続けていた。


 明日からのテストに備え、そのまま机に向かい過去問題を開きペンを走らせようとした久米は、横に置いたスマホを手にとり、盗み撮りした縄手の画像を見つめ「先生・・・・・」と目を閉じ額につけた。



 ――――――――――



 翌朝、期末テスト初日が始まり、問題と答案用紙を抱えながら、縄手が職員室の扉から出てきた。


 テスト期間は受ける側も、監督する側も緊張感が隠し切れない。特に三年生にとっては、進路先を決める基準になる可能性もあるため、平均点を推測しながらテスト問題を作成する側もかなり神経を削る。


「よし!」と少し気合を入れて、廊下に出た縄手に担任が声をかけた。

「久米君、今朝もかなり不安定だったので、できるだけ刺激しないように、お願いします。」

 そんな心配をよそに、

「大丈夫です!俺がキッチリ、ハッキリ、マルっと収めてみますから!」

 縄手は口角を思いっきり上げて、笑って見せる。

「いや、そうゆうことではなくて・・・・本当に先生、お願いしますよ。」

「まっかせて、くださぁーい!」

 さらに親指を立てる。

「今が一番難しいタイミングなんですよ。」

「わかってますって!では!」

 担任に軽く頭を下げ、背を向けて教室に向かう縄手の後ろ姿を見ながら、担任は少し首を傾げ肩でため息をついた。



 静まり返る教室に、配られるテスト問題の紙がすれる音が響く。


「はい!チャイムが鳴るまで、裏向けたままで待機!はいそこ!透かして見ようとしない!」


 縄手は一段高い教壇から教室を見渡し、全員に配布できたことを確認した。


 開け放った窓から、遠くの国道を走る車の雑踏が聞こえる。

 学校全体が静まり返り、開始を告げるチャイムが鳴る瞬間を待ち続ける。

 校舎には多数の人が存在するのに、それを消すように息を潜めている、完璧な集団行動が成立している瞬間だった。


 教壇からおりた縄手は、腕時計をチラッと見た。


 静寂を崩すチャイムが鳴り響く。

「よし!はじめ‼」

 一斉に紙を裏返し、ペンを走らせる音がチャイムに続く。


 縄手は、その様子を一歩一歩、ゆっくり教室を歩きながら確認した。


 窓際の一番後ろの席に久米はいた。

 クラス、出席番号に氏名と書き込み、問題に集中しようとするが、前方から縄手がゆっくり近づいてくるのがわかり、心臓の音がこめかみに伝わり始めた。


 昨日の告白を先生はどう思っているのだろうか、迷惑だっただろうか、嫌われてしまっただろうか、気持ち悪いと思われてしまっただろうか・・・・・。


 顔をテスト問題に向けたままで、視線を前方に向けてみる。

 やはり方向を変えずに縄手は近づいてくる。もうテストを受けられる心理状態ではなくなっている自分に気づいた久米は、教室を飛び出したくなる衝動にかられた。


「無理だ、やっぱり無理だ。怖い…」


 椅子を後ろに引こうとした時はすでに遅く、真横に縄手が立っていた。

 ペンを持つ手が小刻みに震える。

 視線が一ミリも動かせない。

 顔がこわばり奥歯を噛みしめてしまっている。

「痛い、痛い、痛い・・・・」呼吸が上手くできない。

 横隔膜が不規則に動き、背中が膨らむ。


「やばい、早くここからいなくなってくれ。俺がおかしくなる。」


 額から汗が答案用紙に落ちる。

 耐えられない感情に、叫びだしたくなった瞬間。

 縄手の手が久米の肩に置かれた。


 そっと優しく置かれた縄手の手のぬくもりに、一瞬ビクッと体を揺らした久米は、驚き目を見開いたまま、ゆっくり見上げた。


 恐る恐る目を合わせた縄手の姿は、笑顔で小さくうなずき、「がんばれ!」と声にせず口を大きく動かし、親指を立てていた。


 そんな縄手の表情に久米は、自分の強烈な後ろ向きな気持ちが完全否定されたように感じてしまい、緊張が一気に崩れていく爆音を、心の真ん中で聞いていた。


 笑顔で縄手に頷き返した久米は、急に自分の独りよがりな気持ちが恥ずかしくなり、顔に体中の全血液が流れ込む感覚に陥った。


 縄手の顔を見れずに俯き、心地いい暖かさに包まれながら、椅子に座りなおし、テスト問題に目を移す。


 訳もわからないまま字がぼやけ始める、風邪をひいているわけでもないのに、鼻水が流れ落ちる。



 縄手はテストに向き始めた久米の頭をくしゃくしゃと撫でた。


 必死に目をこすりあふれ出す涙をぬぐい、鼻をすすり、久米は今やらないといけないテストに、全力を注ぐこむ姿勢をとった。



 ―――――――――――



 普段よりも早い下校時刻になるテスト期間中は、慌ただしく時間が過ぎる。


「香月!」

 木之本が教室の扉から顔を出し、中を覗く。

「久米ならもう帰ったよー。」

 クラスの一人が木之本に声をかける。

 その視線と言葉のトーンが、自分を憐れんでいるように感じた木之本は目を伏せ、踵を返し昇降口へ急いだ。



 下校指導に校門に向かう縄手に、バックパックを左右に大きく揺らしながら、走り寄る久米の姿が校庭を横切る。


「先生!」

 その声に振り返り立ち止まる縄手の顔は、笑顔だった。

「おう!久米!テストできたか?」

「はい!なんとか頑張れました!」

 頭を撫でてもらった、あの手のひらの優しさを感じたまま、久米は誰もいない朝の校庭を一緒に走っていた時と同じ笑顔で駆け寄った。


 縄手に嫌われていなかった、むしろ逆に笑顔で応援してくれた。

 安心感は無限大に広がり、ひょっとしたら少しでも受け入れてくれているのかもしれない、もしかしたら、もしかしたらワンチャンあるかもしれない。

 そんな思いを久米は抱きながら、同時に縄手先生さえ本当の自分の姿をわかってくれていたら、他に誰もいらないとの思いが強くなっていった。


 以前と同じ満面の笑顔で近づいた久米の様子を微笑ましく思えた縄手は、自分の生徒対応に間違いはなかった、病める高校生を救えたとさらに自信を持った。


「そうか!よーやった!まだ始まったばかりやから、残り頑張れよ!」

「はい!」

 元気な声に思わず縄手は、また久米の頭に手を伸ばす。


「やめてくださいよーヘアがー!」

 頭を撫でられる事に喜びながら、少し嫌がる様な素振りで体を引いて見せる。

「マジでがんばれよ!」

「めっちゃ成績上がったら、なんかご褒美くださいよ!」

 頭を撫でられながら、笑顔で冗談を口走った。


「ご褒美てか!まあーめっちゃ上がったらやな!」

「え‼いいんすか‼今、言いましたよ!」

 目を丸くして声のトーンが上がる久米の姿が、何故かじゃれつく動物のように愛おしく思えてきた縄手は、「おう!」と勢いで言い切ってしまった。


「ガチっすか‼やった‼」

 初夏の晴れ渡った空に向かい、両手を伸ばす久米は、体の中心から一気に力が漲り、ギアが3段階上がったことを確信した。

「わかりました!やります!やって見せます!帰って速攻勉強しやな!」


 はしゃぐ久米の姿を笑いながら縄手は「俺様にまかせたら、いじめも不安定さも全部ハッキリ、スッキリ、マルっと解決やで」と胸を張り見守った。


「頑張ります!では、先生!さようなら!」縄手に一礼をして走り出した久米は

「あ!ご褒美なんでもいいんすよね!頑張ります!」

 振り返りながらⅤサインを見せた。

「え…なんでもって・・・・・。」

 校門へと走り、時折こちらに振り返り手を振る久米に、手を振り返し見送りながら「まぁ・・・・・・ええかぁ」と縄手はつぶやいた。



「最高やん‼俺は今絶好調やん‼思ってたのとぜんぜんちゃうやんか‼最強やで‼生まれてきてホンマによかったーーーー‼」

 有頂天の久米は、下校途中の生徒たちがいる中、校門中央で急に立ち止まり、ぎゅっと強く誰かを抱きしめるように、自分の肩を抱きしめ、「しゃーーーーっ‼」と大声でガッツポーズを見せた。


 周りにいた生徒たちがびっくりして久米を見るが、誰かの視線などお構いなしに久米は校舎に振り返り、深く一礼をした後、駅へとバックパックを左右に大きく揺らしながら走り出した。


 そんな久米の姿を、木之本は流れる生徒の川の中で立ち止まり、拡散して色を失くしてゆく自己と共に眺めていた。


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