第6話ー①
登場人物(※身体的性で表記)
・久米香月くめ かずき【17・男】・・・・大和まほろば高校3年2組・野球部主将
・縄手章畝なわて あきや【30・男】・・・久米香月のクラス副担任
・斎部優耳いんべ ゆさと【40・女】・・縄手章畝の婚約者
・木之本沢奈きのもと さわな【17・女】・久米香月の彼女
・葛本定茂くずもと さだしげ【17・男】・久米香月の幼馴染で野球部
・山本水癒やまもと みゆ【16・女】・野球部マネージャー
・久米香織くめ かおり【47・女】・・・・久米香月の母
・葛本義乃くずもと よしの【48・女】・・葛本定茂の母
・小槻スガルおうづく すがる【31・女】・・・・・・・・斎部優耳と同じ社内チーム
・雲梯曽我うなて そうが【25・男】・・・・・・・・・斎部優耳と同じ社内チーム
・北越智峯丸きたおち みねまる【15・男】・・・・・・・野球部1年生
・宇治頼径うじ よりみち【24・男】・・・・・・・・・・北越智のパートナー
午前中の授業が終わり、体調不良を理由に午後をさぼった久米は、しっくいで塗られた壁がアンティークテイスに魅せる家の前に立っていた。
枕木でできた門扉の表札にはローマ字で書かれた苗字【KUZUMOTO】。
中学を卒業してから全く寄り付かなくなっていた場所。特に理由があって、仲が悪かったわけじゃなく、いつの間にか交わす言葉が減り、同じ高校に入学し同じ部活に入ったにも関わらず、ほとんど目も合わせなくなっていた。
ただ、選手としての尊敬の念はもっていた。リトルリーグからのスラッガー、人一倍のパワーと肉体。生まれ待ってのセンスは到底及ぶことができないと思う時もあった。
そう、合わない存在だった。彼にとって、自分は受け付けられない存在。俺もそれに合わせるように、彼を受け入れたくない存在になっていた。
嫌いな理由を聞かれたら、いくらでも、どうとでも答えられる。でもそれは薄っぺらく、本意ではない。きっと言葉にできない何かが合わなくさせているのだろう。
目障りという気持ちを加速させれば、本心から嫌いと錯覚できたかもしれない。だけど、最弱と蔑まれ廃部寸前まで堕ちていた野球部再建の一翼を担ってくれたこともあり、排除という言葉は生まれてこなかった。
高校三年の今までお互いに適度な距離を保ち、納得のいく野球部として形作れなかったかも知れないけれど、自分の野球人生に笑顔で頷き、終止符を打てる部を、復活させることができたと思っていた。
あの日がくるまで。
甦る、殴られ叩きつけられた言葉。
葛本は何かを知っている。
『お前の父親はまだ生きとるわ!どっかでおかま同士でお手て繋いで生きとるわ!そんな事も知らんのんか!』
連なり浮かび上がる言葉。
母は何かを隠している。
『あなたは、まだ子供や‼知ってどうしたいねん‼知らなくてええことやっていっぱいあるんや‼』
本当の事が知りたい。
母との二人暮らしに、何の不満もない。むしろ今まで自分を育ててきてくれたことに、心から感謝をしてもしきれない。母がクタクタに疲れ帰宅しても、部活帰りで腹を空かせた育ち盛りの自分のために、晩飯をしっかり作ってくれた。
幼い時はそんなことにも気付かず、夜中に腹が減ったと騒ぎ立て、夜食をせがむ自分に、眠いにも関わらず、あり合わせで作ってくれたこともあった。
きっと家計もそれほど豊かではないだろう。母は苦しい素振りなど一切見せなかったが、少しずつ歳を重ねていく姿に、苦労をかけてしまっていることを図ってしまう。
さらに部活漬けでバイトができない自分のことを思い、小遣いまでくれている。本当に、本当に頭が上がらない。感謝している。
だけど…
だけど、母が何故、おやじのことを死んだことにしてしまっているのか、その理由が知りたい。
自分にはおやじとの思い出がない。キャッチボールをしあったことがあるのか、肩車をしてもらったことがあるのか、プールに連れていってもらったことがあるのか。自分には何も残っていない。
正直、少しだけ運動会の親子おんぶ騎馬戦で、父親の背中に乗りはしゃぐ友達を羨ましく思ったことがある。
だから、もし生きているとするなら、おやじが母と俺を捨ててまで選んだ道が、どんな道なのかを知りたい。家族を壊してまで選んだ答を知りたい。
そう駆り立てるのは、きっと好奇心だけではない。『おやじが死んだ』とすることによって、忘れ捨て去っていたものが、『生きているかもしれない』と言う事実に導かれ甦りつつある。
そして、更におやじも自分と同じゲイなのかもしれないとの疑惑が、それまでの過去を足かせのように重くし、自分がこれから選んでゆく未来への歩調を乱し、鈍らせる原因になるように感じてしまっていた。
『ケリをつけないと駄目だ。』
久米は目を閉じ、大きく息を吐き、インターフォンのチャイムを鳴らした。
ゴソッと雑音がスピーカーから聞こえたきり、何の応答もない。
そのまましばらく久米は太陽に肌を焼かれていた。留守なのか?と、視線を立っている位置から見える各窓に移し流した、ダメもとで指をもう一度ボタンに合わせた。
「なんやねん‼」
チャイムが鳴り終わる前に、葛本の図太い怒鳴り声が、スピーカーを割りながら響いた。
「ごめん。突然来て。聞きたいことがあるんや。」
落ち着いた心のまま伝える。
「おっとろしいんじゃ‼お前なんかに話すことなんかあらへんわ‼」
荒れた口調が、昼下がりの静寂を壊す。
『でも、暴力に訴えるのは間違っているよな。もう冷静に話し合ってもええ年やしな。』
あの日、自習室で縄手先生に言われた言葉が脳裏に浮かぶ。
「…本当にあの時は、殴ってしまってごめんなさい。俺が悪かったです。」
インターフォンに頭を深く下げた。
「なんで俺だけ謹慎やねん!お前も謹慎になれや‼」
「それは・・・・でも、本当にガチで反省してる。」
「本当の事を言われて、キレるお前の方が悪いに決まってるやろ‼おとろし過ぎるんじゃ‼」
葛本の売り言葉に若干イラっとしながら、深呼吸をし、
「許してくれるとは思ってないや。でも、その、本当の事を詳しく教えて欲しいんや。」
「はあ?そんなのなんも知らんわ‼」
「本当にお願いします!この通り!」
引き下がりたくない久米は、一歩下がり深く頭を下げた。
「うるさいんじゃ!おかまがキモいねん‼帰れやホモ野郎‼」
住宅街に響き渡る声に、背後を自転車で横切る人が、こちらをギョッとした視線で振り向く。
「くっそー」と久米は頭を下げたまま、握りしめた拳に力を込めた。
ボカッ‼
「痛ってぇーーーーーーーーーーーー‼」
インターフォン越しに、何かがぶつかる音と葛本の絶叫が夏の大気を揺るがす。
ボカッ‼
「何すんねん‼」
ボカボカッ‼
「痛てっ!痛てっーってゆーとるやろ!」
ボカッ!
「わかーった!わかったから‼」
何が起こっているのか全く分からず、久米はインターフォンに耳を近づける。
遠ざかっていく葛本の叫び声と、激しく物が倒れ割れるような音。そして突然訪れる沈静。
聞き取り辛くなった状況に、眉をひそませ、把握しようと耳を押し付ける。
次の瞬間
「あらぁ‼香月くんやんか‼ホンマに久しぶりやなぁー‼ちょ待ってや‼」
葛本の怒鳴り声を更に甲高くしたような衝撃波が鼓膜を襲う。
不意打ちを受け「わぁ!」と、頭を素早くインターフォンから遠ざけたが、耳鳴りが残ってしまった。
キーンとなった耳の穴をかっぽじっている久米に、玄関の扉が開かれ葛本定茂の母親、葛本義乃【くずもと よしの】(48)が姿を見せた。
「うーわっ!香月くん久しぶりやなぁー。えらい大人になってぇー!ええ男になったやんかぁー私やったらほっとかへんで!まあ入って入って‼」
左手で手招く、「お久しぶりです。すいません突然来てしまって。」と近づく久米は、義乃のもう片方の右手に、プラスチック製のバットが握りしめられている事実を目の当たりにし、ギョッとなり家に入ることを少し躊躇してしまった。
「あれ殴られる?」そんなことあるわけないと思い込ませながら、苦笑いした久米は頭を下げ、エントランスに足を踏み入れた。
通されたリビングは目を見張るシャンデリアをメインに、天然木とアンティーク調のブラケットライト、インテリアでトータルコーディネートされ、レンガ壁にオープン棚とディスプレイ収納がアクセントとなり、異国の空気を演出していた。
マホガニーでできたダイニングテーブルの椅子を引き、久米を座るように手を差し伸べた義乃は、サイフォンで淹れたコーヒーをカールティールシュのカップに注ぎ、少し平静を装い座った久米の前に静かに置いた。
あれだけモノが倒れ壊れる音が聞こえていたのにも関わらず、整頓された空間に緊張しながらも、テーブル斜め前に座る、小学生のようにふて腐る定茂を見て少し心咎めていた。
それぞれにカップを置いた義乃は、椅子に座りながら、
「本当にごめんなさいやで。このアホが香月くんを殴ってまうは、心を傷つけるようなこと言ってしまうはで・・・・・ホンマにごめんやで。」
テーブルに手をつき頭を深く下げた。
チラッと定茂を下げた頭のまま見る。
腕を組み、顔を横に背け、そっぽをむいたままの定茂。
クーラーの風音が聞こえそうになるくらい一瞬固まった空間に、なんの前触れもなく、義乃の平手が定茂の頭に炸裂した。
バシッ‼
「は?」
突然の横暴に唖然と目を見開いた久米。
「お前ええかげんにせーや‼ごっらあ!謝らんかえ‼」
椅子から弾け飛びそうになりながら
「なんで俺が謝らなあかんねん!このクソババアが‼」
怒鳴り声を上げる義乃に定茂がかみついた。
「だれがババアやねん‼クソガキの分際で口の利き方の知らんのか‼親の顔が見たいわ‼」
瞬時に立ち上がった義乃が、定茂の胸ぐらを掴む。
慌てた久米は二人に駆け寄った。
そう言えば、葛本家では、今、目の前で繰り広げられている【吉本新喜劇】のような光景が過去から続いていることを思い出した。
自宅はもちろんのこと、公園、野球場、学校の校舎、いたるところでコントなのか、一見体罰と思える光景を目にしてきた。
しかし、今ではどう見ても高校三年生になっている定茂の方が腕力、体格的にそういった暴力に対する防御や反撃ができる状態にあるはずなのに。
頭の中で『まだこんなことをやってるのか』と驚愕で半分ドン引きになりつつ、
「いや!すんません!俺が悪いんです!突然葛本くんを殴ってしまったんで!」
久米は慌てて割って入った。
そんな姿に義乃は手を離し、両掌を見せながら、
「もうもうもう・・・・本当に香月くんは悪くないねんで!殴られることなんか、この子なーんとも思ってへんから。」
「痛ったいに決まっとるやろ!黙れブス‼」
「はあ???だれがブスやねん!」
顔を定茂にゆっくり振り戻しながら、目を細め尖った視線を送り始める。
「いや、やめて!ホンマにやめてください!俺は葛本くんに謝って欲しくて来た訳やないんで!」
自分がここに来た目的を忘れそうになる状況に、早く落ち着いてもらおうと、久米は必死に割り込んだ。
「香月くん、本当に気を遣わないで。」
「いやいやいや…こんな風になっちゃうと、気ぃ遣うに決まってるやないですか・・・とりあえずお母さん、座りましょう!」
前に差し出したままの義乃の両手に優しく触れた。
「そう?まあ、香月くんがそこまで言うなら・・・・・。」
「あんたのアホさ加減、許してくれるって!本当に香月くんは人間ができてるわぁ!どうしたらこんなええ子に育つねんやろ?」
ウルウルと上目づかいにことらを見ながら腰を下ろした義乃に安心しながら、久米も席に戻った。
その場を仕切り直そうと咳払いを一つし、
「本当にすいません。突然お邪魔してしまいまして。」
両手を膝に頭を小さく下げた。
「・・うん、まぁ香月くんがここに来た理由は、大体想像つくわ。」
コーヒーカップを手に持ち、一口飲んだ義乃は、テーブルの隅に置いてあった電子タバコのスイッチを押した。
「アホ息子から、あの日何があったんか、拷問して聞き出してるからなぁ。」
「・・・・・・・」
そっぽを向いてしまった定茂を、だんだんと可哀そうに思えてきてしまっている久米は、横目でチラ見してから、
「あの・・・父は・・・・忠【ただし】は生きているんでしょうか。」
義乃に視線を移した。
「忠くんね・・・そやなぁ・・・。」
煙草の煙をこちらに流さないように、横を向き吐き出しながら重そうに口を開こうとした。
「おかまと駆け落ちしたってゆーとるやないか!フッン!」
定茂が母の言葉を邪魔するように、吐き捨てる。
義乃は静かにカップを手に取り、定茂の頭の上でひっくり返した。
「熱っつちぃー!」
コーヒーが零れ、定茂の頭を濡らす様をスローモーションに見えた久米は、目をむいたまま止めようと手を伸ばしたが、間に合わない。
「殺すぞ!ババア!」
コーヒーで濡れた髪を両手で振り乱しながら、体全体で叫んだ。
「やってみぃーや。」
定茂に顔を近づけながら、義乃は静かに告げる。
「黙って、座ってろや。」
目を細くして更に威嚇する。
「はあぁぁぁぁ・・・・」
『もうホンマにコントもここまできたら、虐待やで・・・・・本人らは楽しんでるんかもしれんけど・・・てか、話が進まんやん・・・・。』
久米はうなだれ、大きく溜息をついた。
「ホレ!見てみぃー!香月くんも、やっぱりあんたのアホ臭さに、アホくさーってなってるやんか!」
「あの、お母さん。話しの続きをさせてもらっていいですか?」
間を与えると、余計なことが増えていきそうで、少し強引に身を乗り出した。
義乃は「ごめんなさい。こいつが」と定茂を指で何度か刺して謝った後、煙草を口に咥えた。
「私、香月くんのお母さんの香織さんと幼馴染みで、それなりに仲良かったってことは知ってるやんな。」
「はい。」
「じゃあ、香織はなんて言ってるん?」
煙草の煙が、クーラーの気流に流され消える。
「母は俺が五歳の時に、父は交通事故で亡くなったと言ってます。」
「んー、せやなあー。」
腕を組んだ義乃は、背もたれに体重を預けた。
「じゃあ、そうなんちゃうん?」
「おっとろしぃ!」
小さく吐いた定茂を睨む。
「本当の事を、教えて欲しいんです。」
「お願いします‼」
久米は膝に両手をついたまま、再びテーブルに額が着くくらい深く頭を下げた。
「もし生きてたとして・・・・」
少し困惑顔の義乃は肩でため息をつき
「どないしても、会いたいん?」
電子タバコを置き、空のコップを手に取って、立ち上がった。
「はい。おやじに会いたいです。」
「会ってどーすん?」
サイフォンの残ったコーヒーを注ぐ義乃に体ごと振り返る。
「ただ、ただ、生きていたってことがめっちゃくちゃ嬉しいんです!俺にとっておやじはこの世で一人なんで。たとえ捨てられたとしても、おやじとの記憶がないので、一度は会ってみたいんです!色々聞きたいこともあるし。」
少し冷めたコーヒーに口をつけながら、座りなおした義乃は目を合わせず、また小さくため息をついた。
「お父さんからアポが無いってことは・・・・・ごめんな。とっくに忘れたんか、会いたくないんちゃうか?」
申し訳なさそうに謝りながら、言葉をこぼした。
「・・・たとえ・・おやじがそうやったとしても・・・俺は、俺の気持ちに正直に生きたいんです。」
「そうなんや・・・まあ・・せやなぁー。」
天井を見上げ、肩の凝りをほぐすように、首を左右に振った義乃は目を閉じ、腕を組んだ。
「お願いします‼知っていることを教えてください‼」
「お願いします‼」
椅子から立ち上がり、再び頭を深く下げた久米に、義乃はしばらく考えたように黙った後、
「そこまでせんでええから・・・。」
久米に視線を移し、肩に手を当てた。
「世の中には、嘘の方が傷付かんでええってこと、いっぱいあんねんけどなぁ。」
「わかってます。俺自身、嘘はもういっぱい付いてきました。嘘は泥棒の始まりだと言われても、ゲイであることを隠すために、死ぬほど嘘を沢山の人に付いてきました。家族にもです。それは自分自身だけじゃなく、相手も傷付かないように思って付いてきました。それをわかって、聞いています。」
「若いなぁー真っ直ぐやなぁー。香月くんのお父さんそっくりやな。そんなとこ。」
頭を起こした久米は、義乃に視線に合わせた。
「覚悟はできています!俺が俺であるため、傷付くことや傷つけることに迷いはありません‼」
久米の言葉に、義乃はテーブルの上に置いたカップを見つめたまま、しばらく黙っていた。
クーラーの送風音と、定茂が濡れた髪をタオルでごしごしと拭く音だけが、部屋に響いていた。
「・・・もう。かんにんしてーや・・・香織の気持ちも尊重したいんやけどなぁー。」
言い切った久米に義乃は、再び電子タバコのスイッチを押し、一口吸った。
「あーーーぁ。」
煙を吐き終え、うなだれた顔を上げて立ち上がり、リビングにあるアンティークなチェストの引き出しを義乃は開けた。
「仕事上色んなつながりあるから、知ってることも多いんやけども・・・やなぁー。」
「あーあったわ。」
ゴソゴソ引き出しの中を漁り見つけた名刺を、困惑気味に少し眺め、自分の行動に自信を持てないまま、ルームシューズの音を引きずりながら久米に手渡した。
「この店に行ったら、きっとお父さんのことわかるんちゃうかなぁー。」
キラキラのラメが散りばめられたカードに書かれた、店舗名、住所と【ディアナ・カヴァース】のおしゃれなフォント文字。
久米は目を大きく開き、初めて見るおやじに繋がる手がかりを覗き込むように、表裏ひっくり返しながら視線を固めた。
「あのや、香月くん。絶対約束してほしいんやけど。会いに行くんは、高校をちゃんと卒業してからな。」
「まあ、東京やから、そう簡単には行かれへんやろうけど。」
久米はスマホのマップアプリで、検索をかけてみた。
「遠い・・・・」
ため息をつくようにつぶやく。
「遠いやろ。やから、香月くんが大人になってからやな。その時にこの名刺を渡すから。」
少し胸騒ぎを感じた義乃は、そう言いながら奪い取るように久米の手から名刺を取り上げた。
「あ・・・」
追いかけるように手を伸ばす。
「今はあかんで!」
人差し指を久米に突き出し、その手を制止した。
「・・・わかりました・・・」
久米は少しうなだれながらも、アプリを起動したまま、スマホをポケットに滑り込ませた。
「あーぁ、おとろしぃー。」
その様子をニヤつきながら見ていた定茂は、小さくつぶやいた。
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