FANTASY GUILD 英雄の黎明編 第六話 質疑応答
ついに再会を果たしたアメとアル。
アメはアルに質問をし答えるアル。アメがする質問に答えるにつれ、アルの過去が明かされる!
そして、アルからのスカウト!?
一体どうなるアメ!?
辺りはすっかり夜になっていて暗闇に包まれ薄気味悪い。しかし、その暗闇の中に一点だけ光が灯っている。そこには二人の冒険者が焚き火を囲っていた。
「はい、ココアどうぞ」
「あ、ありがとうございます......」
アメの膝には包帯が巻かれ応急処置がしてあった。しかしアメは、怪我のことなんて気にせず、ずっと会いたかったアルに会えて嬉しい気持ちが心の中で爆発していた。上手く話そうにも緊張して中々喋れていない。
「そんな、緊張しなくて大丈夫だよ」
緊張しているのが筒抜けでアルにバレてしまい、気を使わせてしまったとアメは恥ずかしくなり顔が赤くなっている。その横でアルは手に持っていたココアを一口飲む。
「あ、あの......」
「さっきの話の続きしようか」
「は、はい。あの......私のこと......覚えていますか......?」
「うん、覚えてるよ。魔物の森にいた子だよね?」
アメからの質問にアルはすぐに答えを返す。
「ほ、ほんとですか!?あの時、名を名乗れてなくてすいません。私は、アメ・ルーンブラッドと申します。アル様と結婚するために家を出て王都まで来ました!」
アルの動きがピクリと止まる。
「ルーン......ブラッド?君はルーンブラッド家の人なの......?」
「え?はい......そうですけど」
アルは何かを確信したのか急に笑いだす。
「ほんとに!?ルーンブラッド家の人間だったのか!これは運が良いな」
「え?え!?どういうことですか!?」
アメからの問いには答えず違うことについて話しだす。
「ねぇ、『大罪の翼』に入らないかい?」
「え......?私が『大罪の翼』に?」
「うん、入ってほしい理由は幾つかあるけど一番の理由は、君にはスゴい潜在能力があるってところかな」
「スゴい潜在能力......?」
「あぁ、君はとんでもない潜在能力を秘めていて、それを使えるようになれば、ほとんどの人がアメさんに勝てなくなるだろうね」
アルから称賛されて嬉しいはずなのにアメの顔は曇っている。
「質問いいですか......?」
「うん、良いよ」
「あの......役所で『大罪の翼』について色々聞いたんですが......最低最強のギルドって......」
「うん、まあ間違ってはないけど......実はその色んな噂って色んな誤解も相まって、そうなってるんだ」
アメからの質問に苦笑いしながらアルは答えた。
「誤解......?」
「んー、アメさんは役所でどんな噂聞いたりした?」
「どんな手を使ってでも仕事を完遂させるとか、敵を皆殺しにしたとかです......」
「あー、なるほど。その敵を皆殺しっていうのは、ただ僕が敵に向かって、峰打ちしたら泡を吹いて気絶しちゃって、その光景を見た人が殺されたって思っちゃって、敵を皆殺しにするっていう噂が広まったんだよね。」
「そ、そうなんですね」
アメはアルが人を殺していないということが分かると、アメは安心してそっと胸をなで下ろす。
「あ、でも、どんな手を使ってでも仕事を完遂させるってのは本当だよ」
「そっちは噂じゃなくて本当なんかい!」
あまりに自然に本当のことを話すからついツッコンでしまった。
「もう質問が無いなら、ギルドに入るか聞きたいんだけど......」
「あ、最後に一つだけ」
「うん、良いよ」
「今話している時とさっき戦っていた時と話し方や雰囲気が違うんですが......」
「そうだね、これから仲間になるかもしれない人には話しておいた方がいいね」
そういい、アルはココアの入っていたコップを地べたに置き話しだす。
「僕の身体には今、三本の魔剣があるんだ」
「え?それってどういう......」
「実は僕、魔力が多いみたいで僕の師匠がその多すぎる魔力を七本の魔剣にして、僕の魔力を減らしてくれたんだ。それでその魔剣を取り込んだら剣の性格みたいのが出てきて、たまに話し方とかが変わっちゃうんだよね」
「そうなんですか......残りの四本は?」
「三本は師匠の家にあったんだけど残りの四本は見つからなくて探してる最中なんだ」
「師匠さんにどこにあるか聞かないんですか?」
すると、アルはちょっと曇った顔をして
「実は師匠今、行方不明なんだ......」
「い、いつから行方不明なんですか?」
「僕の魔力を魔剣にした次の日にはもう行方が分からなくなってたんだ。僕になにも言わないで」
「そうだったんですね......」
アメは聞いてはいけないことを聞いてしまった気がして申し訳ない気持ちになった。話の内容を変えようと思い、違う話を切り出そうとしたが、いい話の内容が出てこなかった。
「そういえば、アメさんはお父さんと仲が悪いの?」
突然思いも寄らなかった質問がきてアメは目を大きく開いて驚いた。
「な、なんでそのことを!?」
その驚いた反応を見て、アルは笑いながら話しだした。
「僕の身体にある一本の魔剣の力で、相手のちょっと前の記憶を見ることができるんだ。その力を使ってアメさんの記憶を少し見せてもらったんだ」
「き、記憶を見た!?私の!?めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!」
アメは顔を隠しながらジタバタしている。その光景を見たアルは、また笑いだす。初々しい兄妹のやりとりのようだ。
「で、話を戻すんだけど、『大罪の翼』に入ってみないかい?もし、迷ってるならギルドの様子を見てからでもいい。」
どうしよう......アルさんからのせっかくの加入のお誘いで、これからずっとアルさんと一緒に居られるかもしれないのに、なんでか心が拒絶する......。
「ちなみにだけど、さっきどんな手を使ってでもなんて言ったけど悪事は働いてないよ」
私は悪事を働いていないという言葉を聞くと、さっきまで拒絶していた心が素直に言うことをきいた。
「入ります!」
「よし、決まりだね。今日はゆっくり寝て明日の朝、ギルドのホームに行こう」
「はい!」
私はこの夜、疲れていたせいか横になるとすぐに寝てしまった。
次回では、『大罪の翼』のメンバー紹介ができたらいいなと思っています!
質問などがあれば答えていきたいと思っています!質問や感想お待ちしています!