FANTASY GUILD 英雄の黎明編 第五話 再会
依頼のため森にきたアメ。そこに待ち受ける者とは!?
「ん、んんー、良い朝」
私は昨日色んなことがあり、疲れていたのか宿の部屋に入るとすぐに寝てしまったらしい。その証拠に、寝間着姿ではなくベルトから貰った服を着たまま寝ていた。
「役所に行こっかな......」
「メメアさん、おはようございます」
「あ、アメさん、おはようございます。昨日はゆっくり眠れましたか?」
「はい、爆睡でした」
笑みを含めた話し方でメメアの心配そうな問いに答える。しかし、どこかアメは疲れているようにも見え、メメアも心配している。
「これから、アメさんはどうなさるんですか?」
「少しの間は依頼を受けつつ、『大罪の翼』についての詳しく調べて、アメさんに会いに行こうと思います」
「会いに行ってどうするんですか?」
「そんなの決まってるじゃないですか......」
ゴクッとメメアは息を飲む。
「結婚してもらうんです!!」
アメの元気な声を聞けたからかメメアは一安心し、メメアも不意に笑顔になる。
アメさんは、『大罪の翼』のメンバーに会いたがってる......もし、『大罪の翼』のメンバーと少しでも肩入れなどしたのが発覚すれば、この国では重罪に問われる......でも、『大罪の翼』のメンバーは現在全員が行方不明。噂じゃ、戦いで死んだとも聞いたりするから、アメさんが『大罪の翼』のメンバーと接触するのは無さそうかな。それより今は
「アメさん。昨日の冒険者登録したときに伝えるのを忘れてしまっていたんですが、アメさんの冒険者級は、Eからになります」
「え、そうなんですか?普通F級からじゃないんですか?」
あ、やっぱきになりますよね。っていう顔をメメアはしている。
「はい、アメさんは魔力量が多かったので特別に飛び級ということで。あと今ちょっと冒険者の人数が足りなくて......」
最後の方だけ声だけが小さくて聞き取れなく、アメは聞き返そうとしたが、聞き返すと駄目な雰囲気が出ていたので聞き返さなかった。
「な、なるほど......」
「なのでE級の依頼も受けられますよ」
「本当ですか!じゃあコレ受けさせて下さい!」
いつ取ってきたのかわからなかったが、アメの手には依頼の紙があった。それをメメアの前に突き出してお願いをする。
「はい、『ビーブー』五匹の討伐ですね。昆虫型のモンスターなので仲間を呼ばれないよう気を付けて下さいね。」
「分かりました!それじゃ行ってきます!」
勢いよく役所を出て行くアメを微笑みながら見送るメメアはまるで親のようだ。
すると、アメと入れ違いで男の冒険者が慌てながら役所に突っ走ってくる。役所に着くやいなや男は大きな声で話しだす。
「大変だ!東の森でデーモンオークが出た!」
役所にいた人全員が『デーモンオーク』という言葉を聞いて冒険者達が騒ぎ始め混乱し始めた。
「嘘だろ......なんでS級のモンスターが出てくるんだよ......」
「デーモンオークって魔境にいるモンスターだろ?なんでそんな危険なモンスターがこんな王都の近くの森に出たんだよ......」
デーモンオークが出たと聞いて泣き始める冒険者もいれば、今すぐにでも王都から逃げようとする者もいて役所の中は錯乱状態だった。しかし、その中メメアだけは顔の色が青くなっており脚が震えていた。
「東......の......森?駄目......そっちには......アメさんが......」
「んーいい天気ね。ささっと、ビーブー五匹倒して王都で買い物でもしよっと」
鼻歌を歌いながら東の森へと入って行く。
しばらく歩いていると
「あ、いたいた」
五匹のビーブーが一本の木に止まって休んでいた。
「こいつら、ただ蜂が大きくなっただけじゃない。余裕余裕」
そう思いつつ、ベルトから貰った短剣を持ちゆっくりと近づく。短剣の攻撃範囲内に入るとアメは素早く短剣を振り下ろし一匹倒す。
「やった!モンスターの初討伐!やったやった!」
一匹やられたのに気付いたのか、ある一匹のビーブーが羽と羽を擦り付け大きな音を出し鳴き始めた。
「きゅ、急になによ!大きな音出して......」
すると、森の奥の方から、さっきと同じ音がし始め、その音は段々とアメの方に近づいてくる。
「も、もしかして......仲間を呼ばれた!?」
アメの予想は当たっていた。先ほど鳴いていたビーブーが仲間を呼んでいたのだ。10匹近く仲間を呼ばれていた。
「ヤバ、逃げないと!」
アメはその場から逃げた。しかし当然ビーブーも追いかけてくる。アメは全速力で走り逃げているが、飛んでくるビーブーの方が速い。ビーブーが真後ろに来ていることに気を取られてしまい、足下にあった出っ張った石に気付かず転けてしまった。膝からは血が出ている。
「こっち来ないで!」
その声に反応したのか、ビーブー達は慌てて逃げて行く。
「ふん!ど、どんなもんよ!」
アメが調子に乗り騒いでいると、後ろの方から禍々しい殺気を感じた。騒いでいたアメも急に脚が震えだし、顔色が悪くなっていく。
ヤバいヤバい、私ここで死ぬのかも......。
その殺気は、ズシン、ズシンと音を立てながら確実にアメの方へと近づいてきている。
『デーモンオーク』だ。その身体は数十メートルを超えており、禍々しい姿をしており、右手には大きな斧を持っている。
「ヤバい......本当に......死ぬ......」
なにコイツ......本当にヤバい......死ぬ。こんなやつ東の森にいるなんて聞いてない!逃げないと......でも今私は脚を怪我してる......この脚で逃げても一瞬で追いつかれる。もう......無理だ......。
そう覚悟をし、目を瞑ったと同時にデーモンオークは持っていた斧をアメに向かって振りかざした。
「なんで最後まで足掻かない」
「え?」
カキーンと金属同士が打つかり合う音が森全体に響き渡った。アメが目を開けた目の前には男の人か女の人かは見た目では分からなかったが多分男の人が立っていた。片手に剣を持っていた。
「最後まで諦めずに戦えよ。冒険者なら。」
「だ、誰?」
「俺の名は、アル・ラファエルハート。」
「アル......ラファエルハート様!?わ、私です!数年前、魔物の森で助けて頂いた赤髪の女の子です!」
「......話はこの豚を片付けてからだ。」
てっきり私はさっき刀身でデーモンオークの斧を弾いたんだと思ってた。でも違ったんだ......鞘には鎖がしてあって刀身が抜けないようになってる。ヤバすぎ。てか、よく見ると数年前と剣が違う......侍が使ってる刀?
アメが色んなことを考えていると、デーモンオークが容赦無く斧を振りかざしてきた。
「ねぇ、お前の相手は俺なんだけど。他所のヤツ狙うなよ。俺が悲しくなるだろ」
しかし、デーモンオークはそんなのお構い無しにアメに斧を振り下ろす。
「だから......悲しくなるだろうが」
すると、アルは自分の手の中指の骨を鳴らした。ポキッと軽い音だった。
「え......?何が起きたの?」
アメの目にはデーモンオークが血を流し倒れている姿が映っていた。その倒れているデーモンオークの上にはアメが立っており、何事も無かったかのように立っていた。すると、アルは先程まで見せなかった顔で、あの数年前の微笑みと変わらない笑みで
「僕に聞きたいこと有りそうだから少し話そっか」
誤字などがあったら教えてください
やっと主人公きた!