FANTASY GUILD 英雄の黎明編 第四話 真実
ついに王都へついたアメ。
ついに念願の冒険者へ!
進め!アメ!!
アメが屋敷を飛び出て二日が過ぎ、アメは王都にいた。しかし王都の割に少し建物などが少なく壊されたような跡があった。
「やってきましたー!王都!」
ここは王都リーベェルティア。大勢の冒険者が集まり賑わう王都としても有名であり貿易も盛んで様々な食べ物や道具が揃っている。また、噂話として、王様も冒険者をやっていてよく王城を抜け出していると聞いたりもする。
「よし、まずは冒険者登録をするために役所に行こうと」
ドンッ
アメが歩き出した瞬間、フードを被った人とぶつかった。
「あ、すいません」
「い、いえ」
顔は見えなかったが、ぶつかった感じ細身に思え身長もそれほど高くはなくて女の子に思えた。声も中性声で男か女なのか分からなかった。
フードを被った人は一言終えると何も無かったかのように歩き去ってしまった。そのフードを被った人にアメは何故か懐かしさを感じていた。
「どこかで会ったことあった気が......ま、いっか。早く行ーこ」
「あの娘......どこかで......」
「あの、すいません、冒険者登録したいんですけど」
「はい、冒険者登録ですね。それではこちらに、名前などの詳細を書いてください」
受付の女の人は綺麗な茶髪の髪を三つ編みで結んでいた。女の人は茶色の瞳をしていて丸眼鏡をかけており、いかにも仕事が出来る感が出ていたが、とても優しそうな見た目をしていた。
「これで良いですか?」
「......はい、大丈夫です。最後にこの水晶で魔力測定をさせて頂きます。この水晶に触れてみてください」
アメはこのとき、「この水晶割ったらいくらするんだろ」としか考えてなかった。
「触ればいいんですね」
アメはそっと水晶に触れた。すると水晶の色が透明から青色に変わっていった。
「あの、これは......」
「青!アメさんは魔力量が多いんですね」
「青って、多い方なんですね......」
すると、受付の女の人が慌てた感じでアメに話し始めた。
「すいません、冒険者に関してなにも話していませんでしたね。まず、私の自己紹介をしますね。
私は、メメアと申します。今年で16歳になります。この王都リーベェルティアの役所に就いて一年目です」
「えぇー!16!?私より年下で、こんなにしっかりしてるなんて......」
「ふふっ。はい16です。」
アメはメメアに気を使われているとしか思えない様子だった。
「先ほど、魔力量に聞かれましたよね?少し説明させてもらいます。魔力量は赤・橙・黄・緑・青・藍・青紫に分けられます。青紫に近づくほど魔力が高いです。でも、気をつけてくださいね。中には変色者という変わった魔力を持つ人達がいます。
「変色者?」
「はい。変色者というのは、水晶で魔力を測ったときの量と実際の魔力量で違いがある人のことを言います」
メメアが真剣に話すがあまりの真剣さにアメは中々ついていけない。
「え、どういうこと?」
「簡単に言いますと、水晶で測ったときは赤だったのに、実戦で魔力を使うと黄・緑に魔力量が増えることです。まあ、戦闘になると魔力量がとんでもなく上がると思って頂けたらいいです」
「なるほど」
アメに納得いく説明ができてメメアはホッとしている。しかし、アメは日頃使わない頭を使いすぎたのかオーバーヒートしている。ここで一息ついたメメアがアメが興味を持ちそうな話題を振ってくる。
「アメさんはどこか入りたいギルドはあるんですか?」
さっきまで何にも考えられずオーバーヒートしていて何も考えてなかったアメが急に話に噛み付いてくる。
「はい!私、好きな方がいてその方と同じギルドに入りたいって思ってるんです!」
「そうねんですね。良かったらですけど、ここでその方の名前を教えて頂けたらどこのギルドに所属しているか調べることができますがどうなさいますか?」
「本当ですか!?」
アメからすると好きな人に再会できる願ってもないチャンスだからか、とてもはしゃいぎ大喜びしている。
「はい、ただ少しお時間を貰うことに......」
「いくらでも待ちます!」
アメのあまりの真剣さにメメアはクスッと笑う。
「一途なんですね」
その言葉にアメは急に恥ずかしくなり顔を赤面にしモジモジしだす。
「べ、別にそういう訳じゃ......」
周りにいた人も他の受付員の人もこの二人の会話を聞いていたのか初々しい気持ちになる。
「それでは、探している方の名前を伺ってもよろしいですか?」
「はい、アル・ラファエルハートって方です」
アメが探していて結婚したいと思っているその人の名前を出した瞬間、さっきまで沢山の話声が聞こえていたはずなのに一瞬の間に静寂へと変わった。すると、メメアが恐る恐る口を開く。
「ほ、本当にアメさんが探している方は、アル・ラファエルハートなんですか?」
「は、はい。そうですけど......。急にどうしたんですか?」
メメアは自分の聞き間違いじゃないことを確認すると顔を真っ青にして話しだす。
「アメさんが探しているという......アル・ラファエルハートという人は数年前この王国を崩壊間近まで追い込み国外追放された冒険者です。そして、『大罪の翼』所属の冒険者です」
「大罪の......翼?」
「はい......この国、最低最強のギルドです。何故、最低最強と言われているのか由縁があります。それは、幅広い仕事をこなす反面どんな手を使ってでも仕事を完遂させる恐ろしいギルドだからです。被害を受けた人の話では、仲間を皆殺しにされた。など背筋が凍るような話を聞いたりもします」
この話を聞いてアメは失望と絶望の中にいた。自分の好きな人が国外追放されており、人殺しをするようなギルドに所属していたなんて考えもしていなかった。
「じゃ、じゃあ、どうしてそんなギルドが最強と言われているんですか?」
「それは、大罪の翼に所属する全員がS級冒険者であり称号を持ってるからなんです......」
「S級......?称号......?」
アメには疑問が増えるばかりだ。
「では、まずランクから紹介させてもらいます。ランクは、F・E・D・C・B・A・Sに分けられSに近づくほど強くなります。つまり『大罪の翼』全員が冒険者としてトップランク。この時点でも最強なのですが、この世界の12の国を束ねる議会、『神聖評議会』が選ぶ最強の20人に選ばれているんです。もちろん12の国の中から選ばれている20人です。そして、選ばれた人達には称号が与えられます。これが最強と言われる由縁です」
「その称号を与えられた人達はどのくらい強いんですか......?」
「噂ですが、手刀だけで都三つ四つ軽く消し飛ぶというのを聞いたことがあります。ですが、称号を持つ者はこれまで本気を出したことは無いとも聞いたことがあります。そのため他のギルドや神聖評議会も下手に手出しが出来なくなったんです。」
「そんな......化け物の人達の20人中12人が同じギルドにいて人殺ししてるなんて......しかもアルさんがその内の一人なんて......」
アメが深刻そうな顔をしている間、長く深い静寂があった。
一時してほんの少し心に余裕ができたのか、先ほどより明るい顔をメメアさんに見せ軽く微笑む。
「すいません、メメアさん。今日のところはこれで失礼しますね」
「分かりました。気をつけて帰ってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
軽く手を振り役所を後にする。
私は泊まりの宿に行く途中色んなことを考えた。あの時助けてくれたときの笑顔は偽物だったのだろうか。本当に『大罪の翼』に所属しているのだろうか。
そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか宿についていた。
「今日はもう疲れたから寝よ」
やっと主人公を登場させることが出来ました!(一瞬ですけど......
次回では主人公の戦闘シーンに期待!?
字間違いや文のおかしい箇所があれば教えてほしいです。お願いします。