FANTASY GUILD 英雄の黎明編 第三話 旅立ち
冒険者になることや結婚宣言をしたアメ。
これどうなるの!?
鉄と鉄がぶつかり合う音が聞こえる。その音は段々とこちらに近づいてくる。
「お前らは、向こうを探せ」
「はい」
鉄同士がぶつかり合う音は遠のいていった。
手に汗を握りながら端の薄暗い部屋からアメが出てくる。
「早くベルトと合流して例の物を受け取らないと」
それにしても、こんなに大騒ぎになるなんて思っていなかったわ。ただ冒険者になって好きな人との結婚するって言っただけじゃない。まさかパパが護衛の騎士とメイド全員で私を捕まえに来させるとは思ってなかったけど......そのせいでベルトと合流できなくなったのは誤算だったわ。恐るべきだわパパ......
「アメ様......アメ様!」
そこにはアメが逃げ回りながら探していたベルトがいた。
「もう、どこにいたのよ探したんだからね」
「実はアメ様が逃げた後、アメ様に手を貸しているのではないかと旦那様に問われ私も逃げていたところなんです。
「そ、それは災難だったわね」
少し二人の間で重い空気が流れる。その空気をさらに重くするかのようにベルトが真剣な眼差しで話しかけてくる。
「アメ様、今一度聞きます。あなたはこのルーンブラッド家を裏切るようなことをしてまでも旅にでる覚悟はありますか」
その問いにアメは、覚悟有る眼差しで堂々と胸を張り答える。
「当たり前よ、それが私の夢だもの!」
その答えにベルトは小さく微笑んだ。
「確かにこのベルト・ネックその覚悟お聞きしました。それではアメ様これを」
すると、ベルト大切そうに服となにかが入っている袋を渡す。
「前々から欲しいとおっしゃっていた冒険者の服と食料です」
幼い少女が初めてプレゼントをもらったかのようにアメは喜んでいた。
こんなにも可愛らしい笑顔が見れたのならもっと早くから渡しておいとけば良かったと心のどこかでベルトは後悔をしている。しかし、このことを考えるのは後にし再び話しだす。
「アメ様、最後にこれを.....以前、街に行ったとき欲しがっていた短剣です」
「いいの?これ高かったんじゃ......」
「私からの誕生日プレゼントです」
「ありがとう、ベルト!」
その感謝の言葉にベルトの目からは水の雫が滴れていた。自分の娘同然に育ててきていた子からの最後の感謝の言葉だから。そして、ベルトから貰った短剣は鋭く真っ直ぐを貫いていた。それはまるで、アメの意志を剣にしたようにも思えた。
「見つけたぞ!こっちだこっち」
「さあ、行ってくださいアメ様。時間稼ぎはそう長くは保ちません」
「ベルト、今まで本当にありがとう。行ってきます」
ベルトに別れの言葉を言い残し走り出す。その夢へ向かって走り出したアメの背中をベルトは最後まで見届けずアメに時間を作るため騎士達の足止めをする。
いってらっしゃいませアメ様。
未だに主人公を登場させれなくて焦ってます......
頑張って急ぎたいです。