表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

守るべきもの3

作者: セロリア

リヨクは、滅ぼした国の難民を受け入れた。


隕石が起こした不運、神の天罰、ラクランカル国に進軍する準備をしていたらしい機密情報を噂として流し、アステラ皇国の地位がある者らの地位、権利を全て剥奪。


隕石のせいなら誰もが仕方ないと項垂れる。


訳がない。


あれは違う、タイミングが良すぎる、何か裏がある。


そうやって探る者が居たが、全て失踪した。


失踪した者を執拗に探る者も、また、失踪した。


アステラ皇国の難民の中にはラクランカル国に膝を着かずに、別の隣国に行った者も多かった。


だが、疑問さえ、それさえ我慢すれば、膝を着けば、国々の中で一番税金が低く、働かなくても最低限の生活費が無条件で貰える国であり、尚且つ、外国人に売らない点を除き、割り振られた土地を自由に貸し借り、販売出来る制度がある。


ギャンブル違法、麻薬、違法、売春、違法、偽札、死刑、他国のお金の流通率1%以下に制限。


これらにより、アステラ皇国の難民は実に4割越えに上る人々が、ラクランカル国に膝を着いた。


特に、エンジニア、数学者、物理学者、宇宙科学者には大金が支給される為に、大勢頭脳明晰の移民がやって来ている。


だが。


ラクランカル国には一つ重要な法律がある。


それは。


ペトログリフ石に刻まれた神文『何人足りとも人権を有する、ただし、これを犯す者に対し、この限りではない』


この条文は、日本で云う憲法処ではなく、その上。


神条文、第1である。


人権とは。


誰しもが、本人、家族、友人、恋人を大切に思い、考え、守る事が出来る。


というモノである。


当然に、奴隷文化、魔物、魔族に対してもこの神文は有効である。


かくして、身分は解体し、分けられた。


政府役人と、政府観察局、公官警備、そして、王権である。


王権は必要無いというリヨクの考えは、変わった。


リヨクは不老不死である。


ならば、国も変わる事はない。


だが、もし、リヨクが死ぬ、もしくは、洗脳される事がある場合に備え、神文第7にこう記されている。


『リヨク・ラクランカルが死亡、または洗脳された場合、王権制度を永久に消去する。』


そして、リヨクはヨハンと結婚し、ヨハンは歳を取り、死に、孫、ひ孫、更なるひ孫も見送ってー。


ヨハンの死後500年経過。


ラクランカル国は周辺国から買収してくれと頼まれて行きー、巨大な国となっていた。


ラクランカル国にはなっても、その国には、その国なりの生きる知恵、暮らしの知恵があり、それは文化となる。


ラクランカル国は州に分けるやり方で、同じ国だが、細かな法律は州ごとに任せた。


だが、それでもやって来る、滅亡への序曲。


その序曲が始まるのを素早く察知する隠密機関。


人々は、平和になればなるほどに、闇を見たくなる習性がある事をリヨクは理解していた。


刺激が欲しくなるのだ。


地下マーケット。


売春、ギャンブル、臓器売買。


見つかればその場で裁判魔法(過去視、並列化演算、規格魔法)により、死刑判決が出た場合、即死魔法が発動する。


なのに。


潰しても、潰しても、後を経たない。


良い暮らし、もっと、もっと、 も っ と !!


美味しいお米、美味しいお肉、野菜、それらは毎日スーパーで買い物出来る。


店に大量にある。


お金がない、食料を買えないと銀行に言えば、嘘発見器で検査し、嘘じゃないならまた月始めと同じ金額を無条件でその場で貰えるのに。


謎である。


良い車、良い異性、広い豪華な家。


それらを手に入れ、何年間保てるというのだろう?


周辺国で一番低い税率とはいえ、お金持ちからは遠慮無しに搾取する国、それがラクランカル国である。


それでも、お金持ち達が移住してくる理由、それは、治安が考えられない程に良いという点、医療面、普通学費が全て無料という点、食べるに困り、逝かれた者が居ないという点、科学が他国より発展していて、他の国に流失していないという点、エネルギーがプラズマという謎の電気により、無料という点、それも他国に流失していない点、街も芸術的な建物、施設が沢山有る点、人々は、基本的には午前は休み、午後から働き出す点、週に3日休みの点、土曜日、日曜日、水曜日が休みの点、そして、峡谷の滝の上の王城の周辺の芸術的公園の数々の絶景スポットの数々、その他の平地や山脈、山脈の中の湖の数々、何処に行っても楽園にしか見えないように徹底的に配慮、計算された建物、道路という点、お洒落な小屋魔法トイレが、あったら便利な場所に男女兼用で二部屋から設置してあり、無料な点、魔法型自動販売機がその小屋に必ず設置してある点、やはりそれら技術も他国に流失してない点である。


昔の話、国会生中継。


ラクランカル国の傘下に入り、また抜けたいという国が現れた。


その国はその国の周辺国のお偉いさん方を誘惑し、

共にラクランカル国からの技術支配を止めるつもりだった。


だが。


リヨク「我々がこのまま広がる未来と、あなた方が広がる大義はどちらが正しいのか?我々は戦争で得た領土は全く無い、あなた方は今も戦争をしている、それが答えだ」


タヌム州知事「それは技術を独占し、他国の技術者でさえも、大金で買収、そして未来の恐怖により、脅して周辺国を従わせて来たんだ!ラクランカル国は、金による暴力が得意な化け物だ!不老不死の化け物!」


リヨク「だからこそ、私は王に相応しい、我が国の神文第3にこうある、神文は私より権力がある神の言葉だ」


王城の土地は東にあるが、西に巨大な岩を掘削した、彫刻してない綺麗な空席の椅子が有る。


第3『王権は、民の支持無しに成り立つ事はない、民は王権を剥ぐ事が出来るが、付ける事は出来ない、ただし、民が洗脳、陽動されている場合、この限りではない』


リヨク「そして第5にこうある」


第5『民は王権を剥いだ場合責任がある、民は王権を剥ぐ責任を行政や何者かの陽動のせいに出来ない、王権剥奪の権利は、生まれ民のみが有し、生まれ民以外は有さ無い』


タヌム州知事「うぐ」


リヨク「考えない民は民ではない、それでは家畜である、私が王ではないなら、次は誰だ?バウテン大統領あなたか?私を追放した後、神文を破壊し、神席も壊し、あなたが神になるか?」


タヌム州知事、バウテン「い、いや、そんな話は」


リヨク「そんな話なんだよ、バウテン大統領、私は、神ではない、私は神に膝を付き、頭を垂れる、だが、人間には頭を垂れても、膝は着かない、私は民の奴隷であり、戦争をしたくない、美味しい物を毎日食べたい、暖かな部屋で眠りたい、これらの願いを叶え続ける為に、毎日会議に出よう、膨大な書類に目を通そう、時にはー」


テレビを息を呑みながら見入る民達。


リヨク「あなた方みたいな者共と口喧嘩もしよう、民を守る為に」


バウテン州知事「し、失礼だろう!私は!タヌム国のー」


リヨク「タヌム 国?」


バウテン州知事「あ!あ、い、いや」


リヨク「・・私を倒せるの神文だけだ、だが、あなた方は生まれ民ではない、生まれ民の定義も神文第2にこう有る」


神文第2『王権剥がしが出来る生まれ民の定義を定める、無権力で生まれ、無権力で生き、無権力で死ぬ者達の署名、7割を持ち、王権剥がしを絶対に施行されたものとする、ただし、生まれ民の署名が1名でも偽造と判明した場合、やり直しとする、また、生まれ民に扮する偽造は重罪とする、魔法裁判に任す』


バウテン「・・それら立派な法律をあなたがいつまでも守るという保証は何処にも無い!」


リヨク「私は王権剥がしの署名活動を行われた歴史は一度も無い、逆にあなたは今もデモや革命団体に命を狙われているそうで?あなたの椅子はあなたを守る為に有るのではない、タヌム州の我が民達を守る為に有るのだ、履き違え野郎が、我々は民の奴隷だ、民を崇めろ馬鹿ちんが、王権を発動し、こいつを魔法裁判に掛ける」


民達『いいぞ!やれやれえ!!』


リヨク「埃がわんさか溜まった頃だ、何が出るか楽しみだ」


バウテン「な、なにを??は、離せ!!私を誰だと思うとる!!3年前まで世界を総て居た王だ!王族の中の王族の王だぞ!これは陰謀だ!早く手を打たないと我々人間はこやつに永久に虐げられてしまうんだ!おい!目を覚ませ!!目を覚ませえ!!」


扉が閉まった。


リヨク「・・さて、民よ、私を卸したいなら、簡単だ、だが、忘れないで欲しい、私に対する未知なる恐怖は解る、私が普通の人間、魔族より進化した存在で宇宙人くらい謎の存在だということを理解するし、解らない存在は恐怖だろう、解るよ、だが、目先だけの恐怖の排除だけを選ぶのが、人の馬鹿な所だ、森の狼

が怖い、では狼を全て殺したら?草食、雑食動物が増えて、森が死に、餌を求めて人が作る作物倉庫、家畜の餌、畑や田を荒らされ、挙げ句にまた狼を復活、何とか繁殖させようとしている」


肩をすくめる。


テレビ前の家族が苦笑。


子供「本当に?」


母「ええ、本当よ」


子供「ふうん、人間馬鹿だね?」


母「そうね、でもあなたも親になれば解るかもね、狼さんを殺した人の気持ち」


子供「??じゃあ、正しかったの?」


母「手厳しいわね、長い目を持てば、間違いでした」


子供「じゃあ、王様は正しいんだ!」


母「違うわ、王様が正しいか、間違いかを、王様が何者かで決めることは馬鹿というお話よ、狼の話は例え話」


子供「うん、解るよそれくらい」


母「そうね」


リヨク「重要なのは私が王である場合、皆さんにメリットがあるかという点だけだ、私を尊敬する必要はない、ただ、良い国で有り続けたい、差別、虐めが異常に嫌われる国で有り続けたい、だから、皆さん、力を貸して欲しい、この通りだ」


頭を95度下げる深いお辞儀。


タヌム州の民達も涙を流す。


今手に持つ安い冷たい缶ジュース、以前の国からは想像出来ない モ ノ 。


いつの間にか当たり前になっていた。


有り得ない贅沢ですら、当たり前になり、もっとあるだろと国を恨む、憎む。


誰しもが特別になりたいと吠える犬の群れで。


放ってれば荒れ地になるだけの愚かな族が支配するこの星で。


このように、頭をまだ上げない人物が、何故今、王様なんだろう?


奇跡。


どれくらいの確率で、どのくらいの奇跡なのだろう。


タヌム国、大都市公園、巨大テレビ前。


民衆『もう、もう良い!上げてくれえ!頭を上げてくれえ!あんたしか居ない!俺達を導いてくれるのは、あんたしか居ないい!頼むからあ!上げておくれえええ!』







昔話終わり。



現在。


ラクランカル国。


元は世界遺産並の絶景の峡谷地域だけの小さな国だった。


現在取り込んだ国、256ヵ国中、108ヵ国。


583年の歴史の中で、ただの一度も戦争に参加せず、国際会議の論理、恫喝、気概だけで、圧倒し、寄せ付けず、隙も見せずに、国民を守って来た。


攻められる前に、資源、食料、他国を利用し、それでも収まらない時には、レーザー兵器を見せつけた。


何の原理かも不明、魔力も感知不可能の兵器は、他国に追随を許さなかった。


食料不足、疫病からも国民を守り抜いた。


取り込んだ国にも全く差別はなかった。


そんな国、ラクランカル国は、アルテリア歴2039年、現在。


宇宙船に乗り込む、女の子達二人「この船マデラック星まで行きますか?」


まだ10歳に満たない女の子二人で星間旅行出きる治安。


船の警備員「ああ、行くよ、早く乗りな!」


女の子達は嬉しそうに船便に乗り込んだ。


女の子達はミニミニスカートを履いて、短いスパッツを着ている。


髪、肌は水色にエアデータ染めしている。


ラクランカル国は現在、宇宙銀河連邦0073支部から認められ、連邦入りを果たしていた。


宇宙に進出するには、連邦の許可が必要だったのだ。


その際に、条件があった。


リヨクの不老不死の終わりである。


ラクランカル国は全ての国を取り込んで居たが、それは全て、リヨクという旗があって成り立つ危うい硝子の平和。


リヨクの不老不死を解除後、リヨクの王権を剥がし、その後にどうなるか。


神文は王の不在を維持せよと書いてある。


王権は剥がす事は可能だが、付ける事は叶わない。


王が居なくなり、新たな王を見繕うか?


リヨクは意見を言う事は禁止とされ、宇宙人の立派な白い船に乗せられて、星を去った。


民に委ねられたその決断、結果は。


神文はそのまま、憲法を一部作り替え、身分は作らず、階級も作らず、生まれ民に最高権力、つまり、多数決の権力が与えられた。


そのまま、8年が過ぎ、白い気品溢れる宇宙船が再び星に訪れ、リヨクが帰って来た。


リヨクは白髪が増えており、少し小さくなっていた。


星で33日間のリヨク各地巡礼が行われ、そして、リヨクはその後33年間生き、普通に脳梗塞で倒れ、ボケて、徘徊するようになり、穏やかに子供達と踊り、旅画家がその場に居合わせ、絵を描いた、数日後、心臓発作で倒れ、普通に死に、普通に火葬され、普通にお墓に入った。


理由は、リヨク自身が民にお願いしたからだ。


リヨク「どうか、普通の民として、扱って欲しい、特別は、疲れたんだ」


民達は約束を守った。









マデラック星行き船内部。


行き先の予定の話で盛り上がる騒ぐ女の子達の後ろに、絵画がある。


リヨクの格好いい絵ではなくー。


騒がしくうるさいと評判の、子供達の遊び場、小さな公園での一件である。


そこには、格好いい男性は居ない。


だが、どんなに格好いい男も、その絵を見れば膝を付き、お辞儀を一回して行く。


女の子達は不思議に思い、絵を覗く。


楽しそうなお爺ちゃんと子供達。


一般成人女性が後ろを通る。


マデラック星人だ。


帰るのだろう。


女性「あら?あなた達まだその絵を知らないの?」


女の子達「はい、何で皆礼するのかなあ?」


女性「リヨク・ラクランカルは知ってるでしょ?その人がお爺ちゃんになって、ボケてね、子供達がうるさい公園にやって来たの」


女の子達「うわ、怒りに来たんだ!?偉い人だったから」


女性「いいえ?子供達と一緒に踊り出したの!ふふ、老いたら本性が出るわ、本当の本当に・・優しい男性だったのね」


女の子達『ふううん優しいね!、うん、優しい』


女性「誰しもが、特別になりたいと思う、いいえ、どうしても思ってしまう低い波動の星で、こんな人が導いてくれる確率はあなた達の星時間単位1000年でも現れるかどうか、現れても、導いてくれるかはまた別問題だし、本当に奇跡なのよ、この人のお陰であなた達は今、マデラック星に行けて、美味しい食べ物と、マデラック人の生歌を聴けるんだから、私もあなた達と知り合えて無い訳だし」


女の子達『凄いね!感謝だね』


女性「さ、これも何かの縁ってやつよね?パピヨン食べない?冷たくて甘くて最高なの!絶対ハマるわ!保証する」


女の子達『食べるう!食べる!』


女性「決まり!行こ行こ!」






色が一人一人違う子供達の輪に、お爺ちゃんが踊っている油絵。


青い子供、赤い子供、紫色の子供も居る。


絵画の下、金色のプレートに刻まれた文字。


絵のタイトルが刻まれてる、だが。


何故か二段だ、二つのタイトルらしい。









『宇宙への扉を開いた至宝』✕


『当たり前の世界』◎







END





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ