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『聖女』を連れまわす ④

 ヤンド帝国の帝都にたどり着いた。

 帝都はくる者拒まずといった場所である。最低限、犯罪者じゃないかぐらいは見られるけれど、そのくらい。



 まぁ、私みたいに見た目が良いと身体検査みたいなのやってこようとする馬鹿がいるけれど。

 実際に私とオルタンシア――シアのことを嘗め回すように見て、何かしてこようとした人はいたけれど、それは適当にあしらっておいた。


 ちなみにオルタンシアだと、何らかの事情で『聖女』としての地位を追われた『聖女』だとバレるかもしれないから、私はシアと呼ぶことにした。というか、シアって呼び名可愛いから、これからもシアって呼ぼうと思っているの。





「シア、目を輝かせているわね。可愛いわ」



 シアはヤンド帝国の帝都にやってきたのが初めてだからか、その目を少しだけ輝かせている。でも私が可愛いって言ったら、少し恥ずかしくなったのか興奮していないふりをしていた。

 そういうところも可愛いなぁと思う。



 ヤンド帝国は、ファッションが栄えている街というのもあって、おしゃれな人が多い。

 貧困層が住んでいる場所もあるけれど、ある程度お金を持っている人が多いみたいで裕福そうな人が多い。




 それにしても可愛い子や綺麗な人も多いわね。

 それでも私の可愛いお人形さんであるシアが一番だわね。



「シア、まずは洋服を見ましょう。この帝都には洋服屋さんが多いもの」



 どんな洋服屋さんに行こうかな。此処には沢山の洋服屋さんがあるから、何処から行こうかしら。

 




「シアはどういう服を着たい?」

「何でも」

「んー。そんなこといったら本当に色んな服を着せちゃうわよ? きわどい服とか!」

「……露出が激しいものはちょっと」

「ふふ、やっぱりね」



 シアは神に仕えていた『聖女』というのもあって、やっぱり露出の激しい服は好まないらしい。正直言ってそう言う服もシアは似合うと思う。家にいる時ぐらいなら着せてもいいかもしれないけれど、人前ではそういう煽情的なものはきっとやめた方がいいわよね。



 シアは綺麗だから、変な人とかよってくるかもしれないし。どうにでも出来るとしてもそういうのが寄ってこないようにした方がいいもの。



 それにしても私とシアが手を繋いで洋服屋さんに向かっていると注目を浴びるわね。



 声をかけられたりもしたけど、華麗にあしらっておいたわ。シアはそうやって声をかけられているのに慣れていない様子で、やっぱり大切に守られていた『聖女』だったのだと思う。

 『聖女』は大切にされ、不届き者が近づかないようにと周りは細心の注意を払っているから。




 そして私たちは、一つのお店に入る。そこは高級な絹の洋服が並んでいる場所である。シアはあまりこうして洋服屋さんに赴いたことなさそうよね。

 育ちがよければ寧ろ商人を呼ぶか、使いをやるだろうし。



 私も昔はそうやって人を使っていたこともあるし分かるわ。



 私がシアと一緒にお店へと足を踏み入れれば、店員の女性が近づいてくる。ちなみにお店の中には他にも店員はいたけれど、それ以外はよってはこなかった。


 私とシアの事を見て冷やかしとでも思っているのかもしれない。私もシアもそこまでお金持ちだって思われていないのかもしれないわ。



「お客様、本日はどのようなご利用ですか?」


 そういって問いかけてくる女性は、人を見る目があるのでしょうね。私にもシアにもにっこりと笑いかけている。



「彼女――シアに似合うものを沢山買いたいの。どれだけ値段が張っても問題ないわ。とりあえずこの子に似合うものを持ってきてくれる?」



 お金は正直、幾らでもあるから構わない。

 シアを思いっきり着飾りたいってそういう気持ちで一杯なのだもの!





「えっと、ファニー様、私はそんなに服は――」

「だーめ。私は私の可愛いお人形さんに似合う服を幾らでもあげたいもの。だから、拒否権はないわよ。シアに似合うものを着せたいの」



 私がそういって強引に言い切れば、シアは押し切られてくれた。



 私たちのそういうやり取りを見て、話しかけてきた女性は私の方が立場が上だと分かったのだろう。にこにこと笑いながら、女性は沢山の服を持ってくる。



 シアが綺麗な見た目をしているのが分かるからこそ、店員も嬉しそうにしながら服を探してくれているのだと思う。



 シアに似合う服を沢山買えると思うと楽しみだわ。家で着せ替え人形のように沢山の服を着せたいものね。

 




「シア、沢山試着してもらうからね!!」

「はい」


 シアは私の言葉に諦めたように頷いていた。



 



 そうやって話しているうちに、店員がいくつかの服を持ってきてくれた。


 レースのついた真っ白なワンピース。うん、清楚そう。

 清潔感のあるシャツにスカートに、ズボンスタイルにコーディネートしてくれたものとか。そういうドレス系のものでも多いわね。


 どれでも似合いそう!


 全部素材が高級そうなものなのよね。

 良い素材を使っていて、シアにぴったりだわ。



「シア、試着して」

「はい」


 私の言葉にシアは試着室へと入っていった。





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[一言] 店員さん心の中でにっこりしてそう
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