#3一つ目の暗号の解答
「解答をお願いします」
『手元に問題ある? 口頭で説明するよ』
花のように美しいホームズへ。
入院しているのだから、サツキしてください。
貴女はポーチュラカでデンドロビウムなので、
お世話してくれる看護師さんに対してチューリップの気持ちを忘れないでください。
ベッドで大人しくしていれば少しでも早くヤドリギでしょう。
『花言葉を当てはめればいいんだ。サツキは節制、ポーチュラカはいつも元気、デンドロビウムはわがまま美人、チューリップが思いやり、最後のヤドリギが迷ったけれど困難に打ち勝つ。つまりこういう文になる』
花のように美しいホームズへ。
入院しているのだから、節制してください。
貴女はいつも元気でわがまま美人なので、
お世話してくれる看護師さんに対して思いやりの気持ちを忘れないでください。
ベッドで大人しくしていれば少しでも早く困難に打ち勝つでしょう。
『これで合ってるだろう』
「正解。やっぱり僕が作った問題じゃあ暇つぶしにもなりませんね」
「そんな事ない。君の暗号を解いている時が一番楽しい時間を過ごせる」
頰が熱くなる。
「褒めても何も出ませんよ!」
「ハハハ。語尾が上がっているよ。褒められて喜んでいるね。けれど想像以上に積極的だね」
「どういう意味です?」
『文の最後のヤドリギ。あれにはもう一つ意味があるじゃないか《私にキスして》って花言葉がさ』
ホームズは『じゃあ次の問題待ってるよ』と言って電話を切った。
僕は文にヤドリギのもう一つの花言葉を当て嵌める。
「『少しでも早く私にキスして』……キスしてって!」
自分で作った問題なのに、ホームズに指摘されて耳まで熱くなるのだった。