#2一つ目の暗号
次の日、ホームズから着信。
「もう退院したの?」
『少し考えれば分かと思うけどな』
いつもの生意気な口調から、彼女が元気なことがわかる。
『礼を言っておくよ。君のお陰で退院が早まるってさ』
「それは良かった。じゃあ」
『本題をまだ話してない!』
「何ですか? 手短にお願いします」
「またラクロス部に誘われたのかな?」
「それは断りましたす」
『君のアイガード姿は似合うと思うけどね。本題なんだけど、私はとてつもなく暇なんだ』
「入院生活は退屈でしょうね。もしかして電話で小説を読んでくれとでも」
『それは大丈夫。本は持って来てもらってるんだ。けど読み尽くしてしまってね』
「僕に出来ることはないと思いますけど」
「そんな難しい事は頼まない。謎解き問題を作って欲しいんだ」
「え?」
「もう一度言うよ。君にクイズを作ってもらいたいんだ」
同じセリフを十回以上言われた事で、僕の頭脳は半ば洗脳されたように「はい」と言っていた。
「とりあえずこれでいいかな」
初めて作った問題をメールで送信する。
因みに僕が作った問題はこんな感じ。
花のように美しいホームズへ。
入院しているのだから、サツキしてください。
貴女はポーチュラカでデンドロビウムなので、
お世話してくれる看護師さんに対してチューリップの気持ちを忘れないでください。
ベッドで大人しくしていれば少しでも早くヤドリギでしょう。
彼女ならすぐに解くだろうと思っていたら一時間もしないで電話がかかってきた。
「ワトソンくん。謎は解けたよ」