01 幼馴染はオシリスキー
何となく、今なら誰か読んでくれるかも~と思って書きました。新型コロナには負けませんよ!
最近のなろう作品では、幼馴染みという存在を扱った作品がランキングを賑わせています。
少し前では傍若無人で身勝手な幼馴染みに鉄槌を下し、最近では幼馴染みとの甘い関係を描いた作品が、多数のジャンルでその存在を主張しているようです。
幼馴染みとは元々は男女を問わず幼い頃から成人しても交流を続ける友人、いわゆる「竹馬の友」を指す言葉です。
過去の名作では、太宰治の「走れメロス」や宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」など、幼馴染みとの友情を描いた作品が読者の胸を熱くさせたものでした。
ですが現在では幼馴染みといえば異性の友人であり、やがて惹かれる初恋の人となる作品が多い。それは"なろう"に限らず、漫画・アニメ・テレビドラマや映画に小説など、多くの創作物で当たり前の風潮になりました。
しかし日本では古くから「伊勢物語」の「筒井筒」にあるような幼馴染みの男女の恋愛が描かれている古典作品もあり、昔から日本人の血には幼馴染みに惹かれる"謎の成分"が含まれているのかも知れません。
では現実の幼馴染みとの関係はどういうものか?ここからは、実在するワタシとリアル幼馴染みとの思い出を語ろうと思う。
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ワタシには……いや、この頃の一人称は"僕"だったので、当時の雰囲気を感じてもらうべく一人称は"僕"に変えよう。
僕には二人の「幼馴染み」と呼べる存在がいた。一人は同い年の女の子A子ちゃん、もう一人は1つ年下の男の子B太くんである。
A子ちゃんとの出会いは保育園だった。
関東地方で生まれた僕は、幼い頃に母の故郷である九州の片田舎に引っ越して来る。関東に居たときは幼稚園に通っていた僕であるが、この地では両親の共働きにより保育園に通うことになった。
その保育園で僕は、A子ちゃんと出会ったのである。
当時のA子ちゃんはコロコロとした丸い体型で、小動物のような可愛らしい雰囲気のある女の子だった。最初の出会いでは僕とA子ちゃんとの間に会話らしいものは無く、だだ同じ保育園に通う近所に住む女の子という認識しかなかった。
それが劇的に変化するのは、数日の時間を経たある日の「お昼寝の時間」が切っ掛けである。
その日、僕は「お昼寝の時間」になっても眠気が訪れず、なかなか寝付けないでいた。モゾモゾと何度も寝返りを打ちながら、どうにか睡眠を取ろうとするうちに、ふと僕の右手に柔らかい何かが触れたのだ。
その心地好い感触に安心感を覚えた僕は、小さな手に触れるモノを確認する間もなく微睡みに堕ちる。指先から感じる温もりに僕は全てを委ねていった。
「は~い、お昼寝の時間は終わりで~す!みんな~、起きてタオルケットを畳んで下さ~い!」
カーテンを引く小気味の良い音と、保育士の先生の大きな声により僕は目が覚めた。眠り着く前にあった右手の感触は既に無く、周囲には他の園児達が元気よく走り回る様子が窺える。
僕はあの時の感触を思い出そうと、右手を開いたり閉じたりしながら見詰め続けていた。
そうするうちに時間はあっという間に過ぎて行き、園児達は保育園の送迎バスに乗り込んで行く。僕はいつもの席でまだ右手を開閉しながら見続けていた。
その時である、いつも遠くの席に座っていたはずのA子ちゃんが僕の隣に座って来た。じっとこちらを見詰めるA子ちゃんの視線に、僕は気まずさを感じて押し黙る。
そんな僕を尻目にA子ちゃんは徐に口を開いた。
「ねぇ、なんでわたしのお尻触ったの?」
「えっ!?」
「えっ、じゃないでしょ?今日のお昼寝の時間、わたしのお尻触ってたじゃん」
「えぇっ!ちょ、ちょっと待って!」
なんということであろう、あのとき僕が触っていたのは実はA子ちゃんのお尻だったのである。僕はしどろもどろになりながらA子ちゃんに弁明する。
「いや、あ、あれは知らなかったんだ!ぼ、僕、なんか全然寝れなくて!気が付いたら、手に柔らかいのがあって!それが気持ち良くって、それでいつの間に寝ちゃってて!本当に、あれがお尻だって知らなかったんだ!」
僕のあやふやな言葉を聞いて、A子ちゃんはこう返す。
「ふ~ん、気持ち良かったんだ?」
「んなっ!?」
「わたしのお尻、気持ち良かったんでしょ?」
「んぐぅ……う、うん。気持ち良かった、よ」
※これは明くまで幼児同士の会話である。読者諸君は間違っても18禁通報せずに、どうか最後まで暖かく見守って欲しい。
僕の答えにA子ちゃんは顔を綻ばせながら、次にこんな命令をしてきた。
「立って!」
「え?」
「立たないと、ママとパパにお尻触られたってバラしちゃうから~」
「は、はいっ!」
光の速さに迫る勢いで、僕は座席から立ち上がった。
A子ちゃんのスッと伸ばして来た手を見て、僕はギュっと力強く目を瞑る。
A子ちゃんの手は容赦なく迫ってくる。
僕はその手に完全に怯えていたのだが……
「ぴゃぅ!?」
「う~ん………わたし、これ好きかも」
A子ちゃんの手は、僕のお尻を揉み拉いていた。
「あ、あの~、A子ちゃん?」
所在無さげに訊ねる僕に、A子ちゃんは一心不乱に僕のお尻を揉み続けながらこう言ったのである。
「ねぇ、わたしも明日からお尻触るから」
「へっ!?」
「若白髪くんのお尻、気持ち良いんだもん。だから明日から、若白髪くんのお尻触りながら寝る!いいよね?」
唖然としながらも、このままではお尻が搾取され続けてしまうという危機感を抱いた僕は、A子ちゃんに仕返しするつもりでこう言った。
「良いけど、僕もA子ちゃんのお尻触るからね?」
「うん、いいよ!」
明くまでも仕返しのつもりで放った言葉は、両者合意の上での契約となってしまったのであった。
それ以来、僕とA子ちゃんの「昼寝の時間に互いの尻を触り合う」という秘密の関係は、二人が卒園するまで続くのである。
なんじゃこりゃ?と思われそうだが、これは本当にあった僕と幼馴染みの話である。
………小中学生編に、つづく?
つづく……つもりは無かったけど、全部で1万文字超えそうなので分けました。
次回、翌4/5(日)23時更新予定。
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