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薄荷

作者: 佐藤

 あと数ヶ月でまた夏が来る。新しい夏だ。

 世間はきっと「最後の夏」では飽き足らず、「最初の夏」とかいって騒ぐんだろう。

 僕はきっと、今年の夏も同じように、また君と同じ海を眺めるんだろう。僕と君以外誰もいない、静かな海を。

 たった一つの季節の間だけ許される小さな逢瀬に身を委ねて、また夏が過ぎていく。


 この夏もまた、君の名前を知ることすらできずに終わってしまえばいい。


 恋しくて愛おしくて、たまらなく辛いのに、またそんな風に思えてしまうのだ。

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