冒険者です!
冒険者ギルドにはいると、そこには様々な種族がいた。
人族、竜人族、獣人などなど……。
「ふぁぁぁぁ! すごい、こんなにたくさん!」
精霊の国からあまり出たことがないリリーにとって、こんなに種族が揃っていることは珍しかった。
早速ギルドカードを作るために、受付へと向かった。
「すいませーん、冒険者になりにきました!」
「あら、可愛いお嬢さんね。でも、冒険者には10歳にならないとなれないのよ。」
リリーの身長は8歳の頃からあまり、成長していなかった。
精霊は成長が遅いが、子どもの頃の成長は、普通の人族と変わらない。つまりリリーの成長は8歳の頃でピークが終わってしまったのだ。
そして、今のリリーの身長は130cmにギリギリ満たない。
だから、周りには幼い女の子が訪ねてきたようにしか見えなかったのだ。
「私はもう10歳です! 冒険者登録ができるようになっています!」
「たまにいるのよね。背伸びしたくて自分の中の年齢を偽る子。でも、そうやって油断していると死んじゃうの。だからね、ちゃんと10歳になるまで待とうね。」
「うぐぐっ。」
この受付嬢は、どう頑張っても信じてくれなさそうだった。
周りの冒険者はそんな私を微笑ましそうに見ている。
どうしようと考えているとき、後ろから声がかけられた。
「その子本当に10歳よ。だって5年前に会った時からその姿だったんだから。」
声のした方向を振り向くと、そこには綺麗な赤髪の少女がいた。
「ネリネさん。しかし……。」
「それに、この子は5歳時に一人でフォレストウルフを倒しているわ。」
「まさか、こんな子供が!?」
「ええ、そうよ。おそらくまだ私はこの子に勝てないでしょうね。」
「そこまでですか。わかりました、この子のギルドカードを作成します。貴女、名前と武器は?」
どうやら私が固まっている間に話が進んでいたらしい。
「リリーです。武器は魔法です。」
「じゃあリリーちゃん。少し待っててね。」
受付嬢は奥に入っていた。
その場にはリリーと赤髪の少女が残された。
やがて、赤髪の少女が口を開いた。
「久しぶり、リリーちゃん。」
「や、やっぱりネリネ! やっと会えた!」
そう、赤髪の少女は昔助けたネリネだった。
私は会えた嬉しさで、思わず抱きついた。
「おっとと。リリーちゃん、昔と全然変わってないなー。後ろ姿ですぐに気づいたよ。」
「ネリネはすごく成長したね!」
ネリネは、今は150に届きそうなぐらい成長している。11歳にしてはすごい成長だろう。――私とは違って胸も明らかに成長している。
それに、私を受け止めることができるぐらい力がついていた。
「だってリリーちゃんと冒険に出るって決めたからね。次こそはリリーちゃんに悲しそうな顔なんてさせないんだから。」
「ネリネ。」
ネリネの優しさに思わず涙が溢れそうになった。
涙を見せないように顔を背けたちょうどその時、受付嬢が戻ってきた。
「これがリリーちゃんのギルドカードよ。って、なんか泣いてない?」
「な、泣いてません!」
「そう。それで冒険者についての説明だけどね、冒険者にはランクがあって、Fから始まって、1番上がSよ。リリーちゃんのはFね。基本的に冒険者は、そこのギルドボートに貼ってある依頼を受けて、お金を稼いでるわ。他には、狩った魔物の素材を売ったりもしている。解体ができなければ、ギルドに持ってきてくれれば、格安で代わりに解体してくれるから。あと、世界各地には突如とダンジョンと呼ばれるものが現れるときがあるの。そこでは、強い魔物が出てくるけど、宝箱といって一攫千金を狙えるものも出てくる。だから、実力のある者はダンジョンにこもったりもしているのよ。これで大まかな説明はおわりだけど、他に聞きたいことはあるかしら。」
「いいえ、ないです!」
「じゃあ、貴女の安全を願っているわ。まあ、ネリネさんがいるなら大丈夫でしょうけど。
「ネリネ?」
「彼女、あの年齢ですでに、Dランクの冒険者なのよ。最初はどこかに焦っているように鍛練していたけど、今は安全に行動しているし。実力持たしかなのよ。」
「へぇー、ネリネが。」
私は、ネリネを見つめた。
「な、なによ。」
「なんでもなーい。」
ネリネは見つめられて恥ずかしかったのか顔をそらせた。
「じゃあ、依頼を受けたくなったらここに来てね。」
「はーい。でも最初は町をみて回ることにします! 行こ、ネリネ!」
「ちょ、引っ張らないでよリリーちゃん。」
私はネリネを引っ張って、外へ出た。