伝えるのを忘れてた
「それじゃあそろそろ、また出発しましょうか。」
「はーい! ミラまた馬車の操縦よろしくね!」
「まかせて!」
「ミラは頼もしいですね。」
ミラに馬車の操縦を任せて、再び王都に向かって進みだす。
どれくらいの時間がたっただろう。気づくとそこは整備された道ではなく、獣道だった。
「ね、ねえ。ここって本当に王都への道だよね。」
「私、王都から出てきたときに森なんて通りませんでした。」
「道なりに進んだから間違ってはないはずなんだけど。ミラちゃん、森の動物たちにここはどこら辺なのか聞いてみてくれない?」
「うん!」
ミラは、木の上にいたリスたちとお話を始めた。
すると、なぜか次々と動物たちがミラの周りに集まり始める。
もうすでに、ミラの姿が見えないくらいの動物に囲まれていた。
「こ、これミラは、大丈夫だよね……?」
「ま、魔物ではないから平気……と思いたいわ。」
「こんなに動物が周りにいたのですね。」
しかし、なかなかミラが姿を見せてくれることはなかった。
「こうなったら突撃するしかない。」
「ええ、ミラちゃんを助けるためですもの。」
「傷つけないように魔法の威力を弱めないといけません。」
「ママ、なにしてるの?」
「なにってミラを助けるために……ってミラ!?」
いつの間にかミラが隣に座っていた。あんなに無秩序に集まっていた動物たちも、整列してミラの後ろに並んでいる。
「あのね、みんなミラのこと姫様って言うの。」
「姫!?」
「でもね、みんなのことを知らないって言うと悲しそうな顔してた。」
どうやらここの動物たちはミラの過去を知っているようだった。
「ねえ、ミラ。ここの動物たちのなかで私たちでもお話しできるのっていないかな?」
「聞いてみるね。……一匹いるみたい。でももうお年寄りで動けないみたいだよ。」
「そこに案内してもらえないかな。」
「お姫様のお知り合いならいいよ、だって!」
今まで気にしないようにしていたけれど、幼いのに人型にもなれて、動物ともお話しできる魔物。そんなの普通の魔物のはずはない。
これでやっとミラの正体と記憶をなくす前のことがわかりそうだった。
早速森の動物たちの大群の案内で、話せるという動物のもとに向かう。
***
「ミラってほんとうに何者なんでしょう。あんなにも多くの動物に姫様なんて呼ばれているなんて。」
そういえば、プリムラにはミラが魔物ってことを教えてなかった。もう仲間なんだし、教えることにする。
「えぇー!! ミラは魔物なんですか!?」
「うん。黙っててごめんね。」
案の定プリムラは驚いていた。
「ミラが魔物。確かにただの獣人ではないと思っていましたが……。」
今まで秘密にしてたことを申し訳なくなってきた。
プリムラも衝撃を受けて、固まって……
「魔物の姿のミラと戯れるリリー。それはそれでいいですわね!」
あ、別に大丈夫そうだった。むしろなんか楽しそう。
「かわいいわよ。ミラちゃんの魔物姿は狐だから、戯れてる姿は微笑ましいわ。」
「是非とも今度見せてください!」
「う、うん。機会があったらね。」
ネリネとプリムラが盛り上がり始めてしまった。怯えさせないようにと思ってたけど、これならもっと早くミラのことを教えてもよかったかも。
別に教えるのを忘れてたわけではない。忘れてたわけではない。
***




