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精霊

「そういえば、どうしてここは精霊の憩い場って名前なの?」


 食後の飲み物を出しに来てくれた少女に聞いてみた。


「昔ね、宿屋を始めた祖父と祖母が精霊に助けられたことがあったんだって。精霊は滅多に人の前に姿を現さないって言われてるから、そんな精霊に御返しができるように、精霊を歓迎する意味を込めて名前をつけたらしいよ。」


 私は、そこに疑問を持った。


「精霊って人の前に姿を現さないの?」


 何せ私は精霊。おもいっきり人前に出てる。


「リリーちゃん、精霊には下位精霊、中位精霊、上位精霊、大精霊、そして精霊王がいるわ。精霊はどこにでもいるけど、姿を見れるのは、上位精霊より上の、魔力が大きいものだけなのよ。そして、上位精霊より上の精霊は、精霊王のもと、世界のどこかに国をつくってそこから滅多に外に出ることはないと聞くわ。だから精霊を見ることは幸運の証といわれているの。」


 ネリネが説明してくれた。初めて精霊について聞いた。自分達のことなのにあまり知らなかった。


「私もいつか精霊の国を見つけてみたいわ。」


「それなら私が連れていってあげるよ。」


「ふふ、楽しみにしているわね。」


「そ、その時は私もお願いします!」


「ママーミラもー!」


 自分が本当は精霊だって知ったらみんな驚くのかな。その時を思うと楽しくて、思わず笑ってしまった。


「それじゃあ、服を取りに行きましょうか。」


「うん!」


 ***


「マリアさん、服を取りに来たよー」


「待ってたわ~。はい、これで全部よ。」


 マリアが持ってきたのは、大きなリュックサックに一杯詰まった服だった。


「みんなかわいくて、こんなに多くなっちゃったわ。」


「これだと値段が……。」


「銅貨1枚でいいわよ。これ全部趣味で作ったものだからね。」


「いいの?」


「みんな駆け出しの冒険者でしょ? 遠慮なんてしなくていいわ。その代わり稼げるようになったらまた来てね。」


「マリアさんありがとう!」


 やっぱり人は見た目によらない。明らかに男の女でも、心はとても優しかった。


「でも、これ持てるかしら~?」


「それなら大丈夫だよ。収納。」


 目の前にあったリュックサック詰めの服を収納魔法にいれた。


「そ、その魔法は。」


「あ……。」


「リリーちゃん……。」


 マリアさんが驚いてる。プリムラも声が出てないようだった。ネリネは呆れていた。ミラの笑顔がこんなときは癒される。


「こ、この事は秘密でお願いします!」


「この子は冒険者として成功しそうね。わかった、見なかったことにするわ。じゃあ、また来てね。」


「またね、マリアさん」


「また来ます。」


「またねー!」


 私たちはいまだ固まるプリムラを引っ張って店の外に出た。

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