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宿屋『精霊の憩い場』

「ここら辺のはずなんだけど……」


「宿の名前は何て言うの?」


「精霊の憩い場って名前のはずよ」


 精霊って聞いて私は少しドキッとした。お母様にあまり精霊だということを周りに教えちゃいけないと言われたから。


「あ、あれじゃないかな!」


 私が指差した先には

『精霊の憩い場』

 と書かれた看板がある、2階建ての宿屋があった。


「すみません、1泊したいんですけど」


 1階は食堂になっているのか、食事をしてる人がちらほらいる。


「はい! 何部屋ですか?」


 対応してくれたのは、髪を三つ編みにした少女。地味に思われがちだけど、可愛いらしい少女だった。


「1部屋でいいんじゃない?(リリーちゃんとミラちゃんの願お!)」


「そうですね、その方がお金もかからなさそうですし。(一晩中リリーちゃんとミラちゃんを拝める!)」


 ネリネとプリムラは一部屋でいいみたい。なんか別の理由もある気がするけど。


「一部屋でお願いします!」


「それなら銅貨2枚だよ。これが部屋の鍵で、鍵に部屋の番号がついているから、明日になったら鍵を返しに来てね。あと、食事は1階でとれるからね。」


「ありがとう!」


「ちゃんとお礼を言えて偉いね。」


 そういって私の頭を撫でるけど、私ってそんなに子どもっぽく見えるのかな。


「じゃあ早速、荷物をおいたらお昼ご飯にしましょ。」


 部屋に入ると、そこは綺麗にされていてベッドが2つあった。


「ベッドどう使う?」


「「私がリリー(ちゃん)を抱いて寝る」」


 ネリネとプリムラが同時に口を開く。


「ネリネはこれからもリリーと一緒に寝られるでしょうし、今回は私に譲りませんか?」


「こればかりはお姫様でも譲るわけにはいかないわ。リリーちゃんの寝顔はその日にしかみれないのよ。」


 ネリネとプリムラの間に火花が見えた。どうしようかと私がオロオロしていると、


「二人とも喧嘩するなら、私がママと寝る!」


 ミラの成長を感じる。あって間もないけど。もう喧嘩の仲裁ができるなんて。


 しかし、それを言われたふたりはしゅんとしてしまった。

 全く、ここは私の出番かな。


「ベッドを2つ繋げてみんなで寝よ?」


 我ながらいい案を思い付いたと思った。


「得意気になってるリリーちゃん可愛いわ。その案にしましょう。」


「得意気になってるリリー可愛いです。その案にしましょう。」


 本当はふたりともすっごく仲がいいんじゃないかと感じるときがある。本当に初対面だよね?


「それじゃあお昼ご飯だね!」


「何が出るんだろー。」


 私とミラはは思わず口からよだれが垂れてきそうになる。


 1階に降りると、先程の少女が食事を並べてくれていた。


「今日のお昼はパンに野菜とラピッドラビットの肉を挟んだサンドイッチよ。」


「美味しそう!」


「ごゆっくりー。」


「じゃあさっそく」


「「「「いただきます!」」」」


 サンドイッチを噛むと、野菜の瑞々しい食感に思わず口の中のよだれが増す。そこに、ラビットの肉のあっさりとそれでいてしっかりした味が口一杯に広がる。特製のソースなのか、しょっぱ過ぎず、かといって薄いわけではない旨味が味をまとめている。


「「おいしい!」」


 私とミラの声が被る。


「ほら、リリーちゃん口にソースがついてるわよ。」


「ミラちゃんもついてますよ。」


 ネリネとプリムラが私たちの口についたソースを拭いてくれる。

 他の食事客の微笑ましい視線を感じる。


 はっ!これだと私も小さい子なのでは!?

 と思っても、この美味しいサンドイッチを食べるのをやめることはできなかった。

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