海
私たちがしばらく歩いていると、なにやら森の木々とは違う匂いがしてきた。
「なんか変な匂いする。」
思わず鼻を押さえる。それを遊びだと思ったのかミラも真似して鼻を押さえてる。
「変な匂いって。ああ、海の匂いね。リリーちゃん嗅いだことなかったのね。プリムラは平気そうね。」
「海の匂い?」
「私は、何度か来ているので。」
私は海を初めて見る。精霊の国には湖はあったけど、海とは全然違うっておじさん精霊たちが言ってた。
「もうすぐで見えるはずよ。ほら。」
森を抜けると、そこには見渡すことができないくらいの水溜まりが広がっていた。
「わぁー! わぁー! すごい! これどこまで広がっているのかな!?」
「うーん、噂だとどこまでも広がっているという人もいるし、海を渡った先に別の大陸があるとも言われているわ。」
「リリーの反応は可愛いですね。こちらまで楽しくなってきました。」
「ママかーわいー。」
少しはしゃぎ過ぎたことを恥ずかしくなった。
ネリネが途中から無言だったけれど、そちらを見るとなぜか私に向かって拝んでいた。
「はぁはぁ。尊い。それ以上の言葉で表せない。」
「その気持ち良くわかります。」
「プリムラ。」
「ネリネ。」
二人は互いに固い握手をした。通じ合うものがあったみたい。羨ましいからミラをとことん構うことにする。
「あぁ、ミラちゃんと戯れるリリーちゃんもいいわぁ。」
「もう、至福の時です。人生で1番幸せかもしれません。」
ネリネはいつものことだけど、プリムラはそんな恍惚な表情浮かべていいのかな。王女様なのに。
「海が見えたってことは町が近いのかな。」
「そうね。あ、ほら門が見えたわ。」
目の前に、シータウンへの門が見える。門の方からも私たちが見えたのか、門番が2人近寄ってきた。
「お嬢ちゃんたち、この辺りで変な人を見なかったな。」
「変な人?」
プリムラを襲った人たち以外は見てない。
「さっき、空から人を乗せた台車が降ってきたんだけど、その人たちがガキにやられたっていうんだ。おそらく幻惑魔法かなにかで騙されたと思うんだけどね。」
変な人は私たちのことでした。
「その空から降ってきた人はどんな人たちだったの?」
「ここら辺を騒がしてる盗賊の一団だったよ。王女を殺そうとしたって自白していたから少し調べてるんだ。」
王女ならここにいると言おうとするとプリムラが先に口を開いた。
「ここまでの道のりでは変な人は見ませんでした。王女らしき人影もありませんでしたよ。」
「それならいいんだ。それじゃあ、身分証を出してくれ。」
プリムラもどうやら偽名で冒険者ギルドに登録していたみたい。何事もなく、シータウンに入ることができた。
「それじゃあ、女の子4人じゃ危ないから気を付けてね。」
「ありがと、門番さん!」
どうやら近づいてきたのは心配してくれたかららしい。優しい人たちでよかった。




