ミラ
「それで、ミラは魔物でいいんだよね?」
「うん! ほら!」
ミラがその場で跳び跳ねると、瞬く間にミラージュフォックスへと変わる。
「何で人の姿になれるんだろう?」
「あのねリリーちゃん。魔物のなかには高位な存在になるほど人の姿をとれるようになるの。」
「それって、ミラは高位な魔物ってこと?」
「ええ。もしかしたらミラージュフォックスではないのかもしれないわね。」
「ミラすごい!?」
「そうだね。ミラはすごい魔物みたいだね。」
「わぁーい!」
まあなんの魔物でも、こんなに可愛いんだからいいかな。
「ミラはなにか覚えてることある?」
「うーんとね。気づいたらなんか男の人たちに捕まってた。怖かったから幻火で驚かして逃げてきたけど、その時に魔法の攻撃されて、雨に紛れてこの洞窟に隠れて気を失って後ママたちに出会えたの。」
「そんなひどいっ。よく逃げてきたね……。」
ネリネが悲痛な顔でミラを抱き締めている。
私は怒りで魔力の暴走しないように唇を噛む。心の底から黒い何かが出てきそうな感じがする。気を抜くと辺り一面を吹き飛ばしてしまいそうになる。
「それより前の記憶はないけど、今はママとパパと一緒だから幸せだよ!」
「私たちもミラちゃんと一緒にいられて幸せだよ!」
私は守りたい。私とネリネの娘ミラの笑顔を。
そのためにも力がほしい。魔法だけじゃなくて、悪人を見分けられる力を。
そんな私の決意がネリネに伝わったのか、こちらを振り向いき、ミラと一緒に私にも抱きつく。
「リリーちゃんだけで背負わなくていいんだからね。私もミラちゃんのパパなんだから。一緒に守るよ。」
「うん……。」
「それに、ミラちゃんもだけもリリーちゃんにも笑顔でいてほしいからね。」
ネリネはそういって微笑む。
思わず私もネリネの胸に顔を埋める。
「もうちょっとこのままでいさせて。」
ネリネは頭を優しく撫でてくれる。
外の世界を冒険することに私自身も緊張してたみたい。
私は1人じゃない。仲間がいるから頼ることができる。
この冒険は始まったばかりなのに、すでに私に大切なものを教えてくれたみたい。初めてできた。何よりも大切で守りたいものが。
***
しばらくネリネの胸に顔を埋めて、落ち着いた。少し、照れ臭くてネリネの顔がみれない。
「そ、それにしてもネリネの方がママって気がする。母性を感じるよ!」
「リリーちゃんのママ!? そ、それもいいかも。いや、でもどうせなら夫婦に……。」
あ、急に母性を感じなくなった。でもこの感じがなぜか落ち着く。
少し残念なネリネの表情が落ち着くというのもなんとも言えないものがあるけど。
「でも、ミラにはママの方がママって感じがするよ?」
「うーん。どうしてなんだろう。」
「あら、そんなの簡単よ。」
いつの間にかネリネが元に戻っている。
「ミラちゃんを見つけて、1番優しくしてたのはリリーちゃんだからよ。魔物だからって偏見を持たずにね。私にはそこまでできないかな。」
「そういうものなのかな。」
「そういうものよ。私も初めて助けられたときそうだったからね。」
ネリネにここまで言われると照れてくる。
「ママ照れてる!」
顔が赤くなってたのかミラにも言われた。
「き、気のせいだよ! ほら晴れてるうちに進も!」
「そうね、早くミラちゃんにも服を買わなきゃ。いつまでもリリーちゃんの服っというわけにもいかないし。」
「ミラはいいよ? ママに包まれてるみたいで幸せだから!」
「ダメよ。私が羨ましくなってしまうわ。早急に買いましょ。」
ネリネが変なことを言っている。羨ましいのはミラに服を着てもらうことなのか、私の服を着ることなのかどっちなんだろう。前者だと思いたい。
「ほら、変なこといってないで行くよー。」
「「はーい。」」
ミラを間に挟んみ、みんなで手を繋いで洞窟を出た。それは家族のようだった。




