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守り人の独り言
ゆっくりと時間を掛けようやく閉まった扉を見上げ、男は深く被ったフードを取り大きくため息をついた。
ここから見送ったのは、彼で何人目だったか。
数えるのを諦めてしまうほどの人数を送り出して尚、男はこの時間が嫌いだった。
彼は帰ってこられるだろうか。
彼は答えを持ってきてくれるだろうか。
男は送り出す者全員に同じように問いかけている。
しかし、何十という世界に世界樹を植え、その成長を見守ってもまだ、男の待つ答えは得られていない。
「帰る場所もない私ができるのは、彼らのこの先を祈ることだけ。」
男は扉にもたれ掛かり、地べたにゆっくりと腰を下ろした。
迎え入れる準備は、もう出来ている。