奇画「二人の少女」
掲載日:2018/05/30
奇画「二人の少女」
額縁の内に 二人の少女あり
一人は 丈高き少女
その肌の白きこと 死人の如し
一人は 小柄の少女
蒼き衣を纏て 丈高き少女の胸に縋る
死人の如き少女 微笑みて繰るは 一冊の書
真白き頁に描かるは 一羽の小鳥 青い鳥
ひがんのしあわせ 歌う小鳥は 今まさに飛び立たんとす
少女の眼差し ただ書中の鳥へと向けられ
胸中のともがら 眺むることなし
影に滲みたる 蒼き衣の少女
ともがらの胸に縋るも その顔に笑みなし
唇は固く結ばれ その眼差しは
嗚呼 その眼差しは 此方へと向けられん
絵画と現の枠を越え 此方へと向けられん
君 何故 愛しきともがらを見ず 此方を見るか
少女 何故 胸中の鳥を見ず 書中の鳥に 想い馳せるか
我 奇画の前に立ちて問うも 答えなし
引き結ばれた唇より 語られる言葉なし
されども 確たる予感あり
二人は 静かな破局を迎え
蒼き小鳥は 彼岸へ飛び去る
その哀れなる終わりを想えば
溢る涙を 止める術なし




