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明日、目が覚めたら・・・  作者: ふじい やたく
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 幼馴染と僕



    うつらうつらと半分眠りかかった頃に、チャイムの音が聞こえた。それと同時にクラス全員が席を立つのだから、寝ぼけ半分の僕は少しキョドリながら席を立った。「やっぱうける~」などと周りの女子がヒソヒソと話している。あーいかんいかん。知らないうちによだれを垂らしてしまった。恥ずかしい!

 

「とりあえず、口拭きなよ」


 奏間がポケットからティッシュを取り出し笑顔で渡してくる。

 

「お、ありがと。相変わらず女子力高いな」


 口元を拭き、ついでに鼻をかみながら言う。そんな時でも先ほどの女子達は「やっぱ坂下君いいよねぇ」「優しいし、頭良いし、かっこいいし」「あのボサボサ頭とは人種が違うわぁ・・・」などとハッキリとした声で言っていた。ヒソヒソしろよと内心思ったが、いつもの光景だからあまり気にしない。

 

「女子力って・・・だいたいポケットティッシュくらい普通だろ?」


 苦笑いをしながら奏間が周りを見渡すと

 

 「あ、当たり前やん!紳士のたしなみぞ!?」


 「お、俺なんてポケットに箱ティッシュ入れてるモンね!!!」

 

 冴えない坊主頭の男子生徒が一生懸命ポケットに箱ティッシュを入れようとしてる。紳士がそんな必死な顔でイタイ行動するなよよ思いつつ、僕は彼らを見ていた。

 「あんたらアホだ」「ちょーうける~!」など女子達にからかわれながらも楽しそうなこの男子生徒達を少しだけ「いいなぁ」なんて思ってしまった。僕には到底出来そうにもないが。

 

「たくこそ女子力高いじゃん? それ『花柄のハンカチ』だろ?」


 僕がボーっと突っ立ていると、僕の右側のポケットから少し出ていたハンカチを指さし、奏間がニコリと笑った。

 

「あー忘れてた。つか、僕のじゃないんだけどね」

 

 キョトンとした奏間の顔がニヤケ顔になるのは早かった。「女か?」と言わんばかりに腕を突いてくる。「ばーか」と声に出さないで口だけ動かすと奏間も「だろうな」と両手をヒラリと軽くあげた。

 

 


 「うげ!」

 

 不意に背中と首と頭のてっぺんに衝撃を感じて、僕は変な声を上げてしまった。

 

 「何はなしてるの~!?」


 頭の上から良く知っている女の声がする。つか毎度の事なのだが・・・

 

 「なんでもいいだろ!つか重い!!」

 

 「な・!なんだとー!?アタシが太ってるっていうのかぁ~!?このもやしっ子!」

 

 「も、もやしは安くて沢山入ってるから主婦の味方なんだぞ!お前全国の主婦を敵にまわすぞ!?」


 それでも降りる素振りも見せず、逆に足を腹にまで絡めにきたこの女生徒は幼馴染の『伊達 まなみ』だ。


 身長は僕より少し小さい位で、肌はいつも日焼けしている。顔立ちはまぁ・・・悪くないんじゃないかな?目はくっきりとし鼻や口は小さく、「まるでお人形さんの様」なんて昔から言われていた。昔から知っている僕にはよくわからない話だ。髪はずっと伸ばしていたのだが、高校に入ってからバッサリと切った。最初その姿を見た時は「失恋したのか・・・?」なんて思ったほどだ。本人は全く意識しておらず「邪魔だから切った」と当たり前というようにそう言った。

 性格も女の子というより、ボーイッシュな感じだ。周りの目とかあまり気にしないその性格は昔のままだ。まるで小学生の頃と大差ない。そういえば今背中に押し付けられている、申し訳程度の『男のロマン』もほんと成長していない・・・

 

「あんた今、失礼な事思ったでしょ!?」

 

 そんな事ない!と言おうとしたが、まなみのチョークスリーパーが言葉をさえぎった。

 


  

 それから、休み時間もあとわずかになった頃、ずっとニコニコしながら見ていた奏間がヒョイとまなみを掴んで引き剥がしてくれた。

 

 「な~にをするぅ!奏ちゃん!はなせー!はなせー!」


 「はいはいっ!もうお時間だから教室戻りましょうねぇ!」


 ジタバタするまなみをお母さんの如く廊下に連れて行った。あんたやっぱ女子力たけーよ!いや、むしろオカン力たけーよ!!今度の宿泊研修の準備、奏間に任せようかな?などと考えながら僕は席に着いた。

 始業のチャイムが鳴る直前、廊下から走る足音がした。その音の正体は一度は教室に帰ったまなみが引き返してきた音だった。何してんだこいつ?教科書でも借りたかったのか?そう思い「なに?」と口を動かすと、「ちょっとジャマ!」と手を大袈裟に横に振り、僕は体を反らした。まなみの視線の先を辿ると、そこには転校生の姿があった。その時チャイムが鳴り、授業中からずっと寝ていた転校生は目を覚まし、大きなあくびと大きな伸びをした。ようやく僕たちの視線に気づいた彼女の顔は、まだ半分寝ぼけているのだろう。


 「っぷ」


 必死に我慢していたが限界だった。しばらく真顔の僕と寝起きの彼女の顔が見つめ合っているのだから。


 「なっ・・!」


 彼女は「何見てんのよ!!」と言いたげに、そして羞恥心からか耳まで真っ赤にして顔を背けまた机に突っ伏した。

 廊下を見るとそこにまなみの姿はなく、あいつは何しに来たんだ?と疑問しか残らなかった。

 それでもなおも隣で不機嫌そうな雰囲気をかもし出している彼女を見るとまた『寝ぼけた』あの顔がフラッシュバックされ、笑いの連鎖にのまれそうだった。『変な顔の可愛い女の子』と脳裏に焼きつけ、僕は一生懸命笑いを堪えて授業に挑むのだった。ほんと、腹がいたい……。

 

 

 

 

 

 

気になる点などあったらどんどん言ってください!なるべくオブラートにがっつり包んで酷評してください!!お待ちしてます!!がっつりね!!w

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