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「ノアの箱舟...」

「そうだ、外からの入り口はあそこしかねえ。能力を使わないと壊せない壁を使っててな普通の攻撃じゃびくともしねーよ。他にもいろいろ仕掛けはしてあるみてーだがそこら辺は俺じゃわかんねー」


噴水のある広場で二人は説明を受ける。

遠くには時計台の見える広場でここはこの国の中心だ。

何もかもの入り口、どこへ行くにしてもここを通らなくてはならない。


「それで、ここからはどうしたらいいんですか」

「おー、まずは検査を受けてもらわなきゃいけねー」

「検査...ですか?」

「おう!案内が来てここまで来れてるっつーことは能力を持ってるっていうのは間違いねえ。だけど、詳しい能力は分かんねえだろ?だからそれを検査するんだよ」


そう言って煉は時計台の方へ向けて歩き出した。

長い道のりを歩き時計台まで着くとそこで止まった。

そしてそれと同時に時計が鳴り響く。


—ゴーン、ゴーン


時計台のレンガが動き始め入り口ができる。

中には長い長い階段が。


「これ、上るんですか?」

「なかなか骨が折れそうですね」

「大丈夫だ。一段目に二人とも早く乗れ」


そう言われ巫と悠が一段目に乗るとそこが光り始めた。

その先の段も光り始め目で追えなくなるほど先まで光った。

しばらくすると一段目が動き始めた。


「ええええ!!」

「俺はここで待ってるからなー!」


そんな煉の声が二人の後ろで聞こえ遠くなる。

どんどん上へ昇り上を見上げると床があることが分かった。


「なかなかすごい仕掛けだね天羽君」

「そうですね...あ、僕のことは名前でいいですよ、敬語もいりません。同じ時に入学するのもなにかの縁ですし」

「本当?じゃあ私のことも巫って呼んで。私も敬語はいらないし」

「はい、巫さん。敬語は、癖のようなものなので気にしないでください」


二人がそのような交流を深めているうちにもう上の階に付きそうだった。

その先にはコの字の机に座っている者たち。

その真ん中には椅子が置かれている。

ステンドグラス越しの明かりだけで少し薄暗い。

そんな空間に着いた。

右側にいる真白の髪にひげを拵えた老人が口を開く。


「着いたか。ではまず白石 巫くん。そちらの椅子に座りなさい」

「...はい」


緊張をしたように巫は返事をし、真ん中の椅子へ座る。

椅子へ座ると老人たちの中に一人少女がいた。

制服を着て幼い風貌の少女が巫をじっと見つめていた。

そして、淡々と話し始めた。


「ほう、これは懐かしいのう。似た気配を感じたことがある。ということは...姫のお帰りじゃ。美しい声を持つ姫の」

「なっ、まさか」

「そなたの進む道はなかなか平坦とはいかぬだろう。けれど諦めてはならぬ。絶望してはならぬ。其方はここへ来たことで大切なものを得ることだろう。己の進む道を信じて進め。『其方は』幸せを得ることが出来るであろう」

「薊様。喋りすぎでは?」

「おお、すまんのう。あの子には思い入れがあるゆえついつい手助けがしたくなってしもうた」


幼い見た目に似合わない古い喋り方をする少女。

そしてそれを止めた男性の声。

その後下がってよいという声があり悠と巫が場所を変わる。

悠が座ったのを合図に再び少女が喋りだす。


「...お主は。いや、やめておこう。其方はすべてを見通すものか。其方にとって良いものを持ったの」

「はい、本当に。そのためだけに僕の能力はあるんだと思っています」

「うぬ、それが其方の生きる道だと言うのなら精進せよ」


少女がそう言い手を上げた合図とともに先ほど上ってきた階段と反対側の場所に扉が出てきた。

すると先ほど少女の発言を止めた男性から紙を手渡された。

行きなさいと言う声に巫と悠は扉を開ける。

そこには入り口で待っていたはずの煉の姿が。

巫は驚き後ろを見たがそこには真っ暗な闇があるのみだった。


「おー、帰ってきたか」

「あの...あれはなんだったんでしょうか?」

「言ったろ、検査だって。お前の手に持ってるその紙に能力が書いてあるしすげえ分かりづれえがあいつも言ってただろ」


そう言われ巫は自分の持つ紙を見た。


『歌姫

 貴女の能力は歌姫です。その人の能力の強さにもよりますが人を癒すことや傷つけることが出来ます。

 能力の範囲は声が聞こえる範囲までですが遠くにいればいる程能力は薄れるでしょう。

 また、うまくコントロールができれば能力を使う相手を特定することもできるようになるでしょう』


「割と大雑把じゃないですか...?」

「そりゃあ、人によっていろいろ変わるからなー。実践あるのみ!ってやつだ。じゃ、次学校行くぞー」


その掛け声を合図に3人はまた歩き出した。

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