7話 目には目を○○には○○を
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盗賊との戦闘から4時間後…。ようやく、もう少しでサラナ山の麓の村へ辿り着く。
ここまで来れば、かなり気温が下がっている。防寒具のマジックアイテムが無ければ、かなりの拷問だ…。
「お、おお、おいっ!」
「…………。」
「おお、お、おい、お、おいっ!!!!」
「なんだよ、うるさいなぁ…。」
「さ、さっきから、ら、ず、ずっと、よ、よんでんじゃ、ね、ねぇかっ!!」
さっきから文句を言っているのは、カイン達を襲った盗賊である。いくら盗賊といえども、武器を放棄して降参してきたので、仕方なく村の警備所まで連れて行っているのだ。
しかし、10人いた盗賊は、今では頭領を合わせても3人しかいないが。
「命拾いしたんだから文句は言うなっ!!ティアが怖がっているじゃないかっ!!」
「だ、だが、こ、ここ、これは、な、ないんじゃ、な、ないか?…。」
何故、盗賊共が文句を言っているのかというと、カインが盗賊の防寒具を取り上げたからである。さっきから盗賊共の顔は真っ青だ。
いくら殺さなかったとしても、1度殺し合いをした相手にこれ以上の慈悲はない。
「少しは反省したか?ティアがどうしてもって言うから、仕方なく生かしたんだからなっ!」
「わ、わ、わかっ、た、たよ…。」
盗賊達は、あそこで死んだ方が楽はできた。どちらにしても、警備所に連れて行かれた後で、犯罪奴隷として一生働くことになる。
カインは、身内には優しいが、敵対したら徹底する。今回はティアの提案により仕方なく生かしておいたのだ。
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盗賊3人を縛って連行してるカインとは少し離れた場所で…。
「流石に、ちょっと可哀想だよね…。」
「だめだよティアちゃん。向こうは、私達に死ぬより酷いことしようとしてたんだからね。あまり情けをかけたら、逆に私達が殺られるよ。」
「まぁ、一応報酬も貰えるから良かったんじゃないかな。カイは敵対した、特に、命を賭けた相手はいつも皆殺しにしてるからな。」
「カイ兄は私達の為に、少しでも危険を避けようとしているんだよ。手間もかかるしね。」
「う、うん…。普段ならやらない事だし、私もこういう経験を大事にするよ…。」
最近、冒険者の登録をしたばかりのティアには、少しきつい出来事みたいだ。
そんな話をしていると、村の門が見えて来た。
カイン達は、ギルドカードを見せて、門の警備隊に盗賊を引渡し、事情を説明した。見た目は子供あるが、カインはランクCなので問題なかった。ギルドのランクにはそれ程の重みがある。
ちなみに報酬は金貨3枚である。
そしてカイン達は、村の宿へと向かうのであった…。
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カインは、宿の受付のおばちゃんに話しかけた。
「すみません。5人なんですけど、部屋空いていますか?」
「あぁ、空いてるよ。でも、1番広い部屋が4人部屋だからねぇ。部屋割りはどうするんだい?」
「そうですねぇ…。少し相談して来ます。」
カインは、みんなの元へ行き状況を説明した。
「なるほど!さすがの俺でも、女の子達と一緒に寝るとは言えないな。カイと俺で2人部屋、女の子達は3人部屋っ感じかな?」
「「「えっ!!!あのヒロくんっ(バカ兄貴)が!!!!」」」
女の子達3人は、とても驚愕の表情である。まさに青天の霹靂…。
「ちょっ!!!俺の印象マジ最悪じゃねぇかっ!!!!流石にそこら辺の事は弁えているさっ!」
カインは、ヒロの肩に手を乗せながら。
「ヒロ…。お前も我慢って事を覚えたんだな…。俺は嬉しいっ!」
「うぉぉーーいっ!!俺は子供かっ!!!!」
「「「「子供だろ(でしょ)。」」」」
「………………。まぁ確かに子供だな。」
うん、カイン達はまだ12歳くらいなので子供である。
無かったことにして、カインは話を切り出す。
「それはどうでもいいんだけど、結局部屋割りはどうする?」
「え、えーとね…。私はいつも通りカイくんと一緒に寝たいなぁ…。」
エルミナが、おずおずといった感じで手を上げた。顔はほんのり赤い…。
銀髪の美少女が、恥じらいながら手を上げる姿は非常に可愛い。可愛いのだが…。
「「「えっ!!!」」」 「うん、いいよ。」
カインと他の3人の反応は違う。
「あ、ありがとう、カイくん…。」
「……………。て、ちょっと待てぇぇーーーーーいっ!!!!お前ら一緒に寝てんのかっ!!!!」
「あぁ、物心ついた時からずっと一緒だけど。それがどうかしたのかな?」
「どうかしたのかな?…じゃねーーよっ!!!!まじかよお前らっ!!!しっ、知らなかった…。」
カインは平然と答えるが、エルミナ以外はそうは行かない…。
「カ、カイ兄とエルミナちゃんが…。ず、ずるい…。」
「…………。いいなぁ…。」
スズとティアは羨ましいそうに2人を見ている。
「きょ、今日からお前らも2人で寝るの禁止なっ!!その歳になってそう言う事はダメだっ!!!これは、一般常識だからなっ!!羨ま…けっ、けしからんっ!!」
「ん?そうなのか。じゃ仕方ないなぁ。俺とヒロで2人部屋にするか。」
カインは受付のおばちゃんの元へと向かった。
カインはよく分かってなかったが、そう言う事もあるんだなぁ的な考えなので、あっさりと改めたようである。
「ふぅ…。なんて奴らだ…。」
ヒロは一安心したが…。
「そ、そんなぁ…。」
エルミナは、今にも泣きそうな顔である。
「エルミナちゃんよしよし。」「そのうち良いことあるよ。」
スズとティアは、エルミナを慰めているが、カインと1人でのそれは許容出来ないみたいだ…。
そんなこんなで、部屋割りが決まり、各々部屋でゆっくりした後に食堂へ行く事にした。
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「ふぅ、この肉旨いなぁっ!!カイっ、これ食ってみろよっ!!」
「ん?これは雪山に生息する【ホワイトファング】の肉か。へぇ、流石に地元の食材はおいしいね。」
ホワイトファングは雪山に多く生息するEランクのモンスターである。ファング系統のモンスターの中でも、雪山で育ったホワイトファングは、脂が甘くてとても人気のある食材だ。
「だろっ!!俺らもサラナ山に入ったら、ホワイトファングも狩って少し持って帰ろうぜ。魔法で凍らせてアイテムバックに入れたら日持ちもするし。」
「そうだな。でも、やっぱりこういう時はアイテムボックスが欲しくなるなぁ。アイテムバックと違って中の時間も止まるし、容量も大違いだからなぁ…。」
アイテムボックスは、とても貴重品だ。いくらお金を持っていても、作られる人と材料が限られているので、コネが無いと手に入らない。それで、少し高いが簡易であるアイテムバックが多く出回っている。
てな感じで、談笑しながら食事をしていた5人だったが、こっちに向かって来る10代後半の男達に気が付いた。嫌な予感がしていたカイン達だったが…。
「やぁ、美しいお嬢様達っ!!そんな汚い顔の……、っ!!。ちょ、ちょっとマシな顔の男共は放っておいて、僕達と一緒に行かないかい?」
結局、こっちに向かっていた3人組の男が、エルミナ達に話しかけて来た。カイン達は美男美女であり、年の割に背も高く、特に女の子達は10代後半と言ってもいいくらいである。カインとヒロは160cm後半で、女の子達は160cm前後の身長だ。
エルミナ達が目当てで来た男達だったが、彼女達しか見ていなかったので、カインとヒロを馬鹿にしようとしていた。が、自分達よりも容姿が整っていた為、少し慌てて言い直している。
うん、これはアレだ!ナンパだっ!!
「……。おい、ヒロ出番だ。行けっ。」
「な、なんでだよ…。どうせ相手にする気もないんだから、カイでもいいだろうが…。」
「いや、あれナンパだろ?だったらヒロだろ?」
「いや、意味わかんねぇしっ!!!!」
「だって、類は友を呼ぶとか、ナンパにはナンパ師をとか…。言うだろ?『ナンパ=ヒロ』…。ほら、適任だろ?」
「言わねぇーーよっ!!!!てか勝手に『ナンパ=俺』にするなっ!!!あんなん友でも何でもねぇっ!!」
カインとヒロはナンパ野郎どもを無視して、2人でヒソヒソと話している…。
エルミナ達は完全に、初めからいない者として扱っている。
「………。お、おーい!君達聞いているのかい?…。てか、男共はさっきから何をコソコソしているんだっ!!!」
ナンパ共は痺れを切らし始めている。
「ヒロ呼ばれてるぞ。チャンスだっ!!」
「呼ばれてねぇしっ!!!てか、チャンスてなんだよ…。はぁ…、仕方ない相手するか。」
「よっ!流石世界一のナンパ師だっ!!」
「やかましいわっ!!!!!ちっ、行って来るぜ!」
ヒロはナンパ野郎どもの目の前に立ち塞がった。
「何だてめぇはっ!!すっこんでろっ!!」
「ふぅ、お前らはナンパ師失格だなぁ。そんなんだからダメなんだよっ!」
「な、なんだと…。どういう事だよっ!!」
ナンパ野郎どもは少したじろいだ。
すると、ヒロは突然熱く語りだした。
「ナンパってのはなぁ、絶対に成功させきゃならないんだよ。成功確率を上げるために、最大まで高めてから挑戦するもんなんだよ。色々な材料を集めてな。それに、失格する確率が高いのなら絶対に手は出さねぇ。…もう分かってるだろ?自分達じゃもう無理だって。ナンパってのはな、引き際が肝心なんだ。わかったか?」
ヒロが今まで、1番輝いている!
そんなヒロからの見えないオーラに圧倒されるナンパ野郎ども。
「す、すみませんでした。こ、これからはもっと精進します。」
「おうっ!頑張れよっ!!」
ナンパ野郎どもはそそくさと退場して言った…。
ヒロはドヤ顔でカイン達の方へと向かったが。
「「「………………。」」」
「じょ、冗談だったのに通用するとは…。なんか、まともな事言ってるようにも見えたけど、内容が悪すぎてな…。リアルに引くわ…。」
「待て待て待てぇぇーーーーーいっ!!!!なんで1番頑張った俺が損してんだよっ!!!ふざけんなぁーーーー!!!」
「よし、そんな君にはキングオブナンパの称号を与えよう。感謝したまえ!」
こうして、彼はこう呼ばれるようになった…。
キングオブナンパ、そう、『ナンパマスターヒロ』と!!
「全然いらねぇーーよっ!!!!くそっぉおおおおおおおおっ!!」
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そして、翌日5人はサラナ山へと向かうのであった…。
ようやくアイアンリザード戦、好ご期待っ!!
読んで頂きありがとうございました(`・ω・´)b