59話 ランキング戦第一次予選〔1〕
いよいよ始まるランキング戦…。
ギルド本部の敷地内にあるランキング戦が行われる大闘技場にて…。
「いよいよ、5年に1度開催される選ばれた冒険者達によるランキング戦の第一次予選が始まりますっ!!
この日が来るのを心待ちにしていた方も多いと思います。私もその1人ですっ!!」
魔導拡声器を使用した司会の男の声が大闘技場に響き渡る。
ウォォォオオーッ!!!
「俺も待ってたぞぉおっ!!」「やっとこの日が来たかぁあーっ!!」「応援専門ですが頑張りますよぉおおっ!!」「私も楽しみだわっ!!」「今大会も期待してるぞぉぉおおっ!!」「そこのお前邪魔なのじゃっ!!」「姉さん大人しくしましょう…。」
観客席にいる3万人以上の観戦者から歓声が上がる。
ストンブルグに住んでいる冒険者達や住民達はギルドから特別な許可を得ているので、ランキング戦の存在を知っており、観戦権も得られるのだ。
「みなさん、いい声が出ていますねぇっ!!
初めての方も居られるので先ずはランキング戦の説明をしましょう。
ランキング戦とはギルドに登録している冒険者達の中から、各ギルドの支部から推薦のあった者のみが出場する事が出来ます。
全3000以上ある支部の中から1人だけ選ばれた冒険者はもちろん強者…上位のAランク冒険者のみとなっており、ランカーと呼ばれています。
ランキング戦の名前の通り、今大会に出場した冒険者にはナンバーと呼ばれる順位付けをされて行きます。10位以上となった冒険者には世界最強の冒険者である証…Sランク冒険者となり、様々な特権を得ることも出来ます。
そこで、今回は特別ゲストとして前大会でナンバー5となり、Sランク冒険者となったジェリカ様に来て頂きましたっ!!!」
司会の男はランキング戦の説明をしていき、最後にゲストとして水色の長い髪で露出の多い服を着て妖艶な雰囲気を纏っている美女…ジェリカを紹介した。
「ふふっ、ジェリカよ。今日はよろしくね。」
魔導拡声器から艶のある声が闘技場全体に響き渡る。
そして、大闘技場の最上段に位置する場所にある解説席から手を振っていくジェリカ。
ウォォォオオーッ!!!
「ジェリカ様だぁあーーっ!!」「小さくてよく見えないが姿が眩しいぜっ!!」「ジェリカ大好きだぁぁぁーっ!!」「だ、抱きつきたいっ!!」「妾の方が凄いのじゃっ!!」「それは無いんじゃないかと…。」「俺と付き合ってくれぇぇえーーっ!!」「か、身体が見たいっ!!」
観戦に来ている男どもから歓声が飛び交う。ジェリカは非常に美人でスタイルも良いので、男達から凄い人気があるようだ。
「凄い歓声ですね…完全に男から…。
え、えーと失礼しました。では、説明を続けていきましょう。」
観戦者の男から発する下心満載の声に若干引きながらも説明を続けていく司会の男。
「ランキング戦は第一次予選と第二次予選があり、その2つで勝ち残った者だけが決勝へと進む事が出来ます。
第一次予選は8つのブロック分かれて行うバトルロイヤル。エレメントの顕現は出来ませんので、互いの身体能力のみで戦ってもらうことになるでしょう。そして、1つのブロック350人の中から勝ち残った20名が第二次予選に進む事が出来ます。
しかし、特別枠として前大会で10位以上に入りSランク冒険者となった者は決勝からの出場となります。いきなり最上位者同士の戦いとはなら無いので安心して下さい。」
司会者の男の言葉に頷く観戦者達。ある程度の情報は事前に把握しているようだ。
「まぁ、私は予選から出てもいいんだけどね。」
ジェリカが好戦的な発言をする。
「いやいや、私達からすれば高位のランカーには決勝戦からの出場してもらった方が良いですよっ!!
それに…あ、少しお待ち下さい。」
慌てて否定する司会の男だったが突然話をやめた。どうやら、その司会の男の元へギルドの職員が近づき耳打ちをしているようだ。
「おっ!!どうやら準備が整ったようですっ!!
では、そろそろ第一次予選Aブロックの出場者達に入場して頂きましょうっ!!」
準備が出来たという知らせを聞いて、司会の男が会場を盛り上げながら出場者の入場を促していく。
ウォォォオオーッ!!!
「早く始めろぉっ!!」「Aブロックは誰が出るんだぁあーっ!!」「うぉぉおっ!!頑張れよぉぉっ!!」「わしにも出させろぉおっ!!」「ちょ、おじいちゃん止めてよっ!!」「妾も出たいのじゃっ!!」「ちょ、姉さん暴れないで下さいっ!!」
ようやく始まるランキング戦に沸き立つ場内。
そして、観戦席の下にある大扉が開きAブロックのランカー達が大闘技場の舞台へと上がっていく。
「みなさん、この舞台の上にいるのは全員選ばれたAランク冒険者達ですっ!!
その実力者達がバトルロイヤルで戦うという、ランキング戦ならではの豪華な戦いとなるでしょうっ!!
さて、Aブロックのランカー達ですが……おおっ!!!!なんと、いきなり今大会の最注目ランカーが登場するようですっ!!」
司会の男が舞台にゆっくりと上がってくる赤髪に漆黒のロングコートにレザーグローブ…そして、サングラスをかけている冒険者を見ながら驚きの声を上げた。
観戦者達も司会者の言葉を聞いて舞台に注目していく。
「みなさんがご存知の通り、突如ストンブルグへとやって来てたった1ヶ月で数々の伝説を作った男。
最近冒険者や住民の間で非常に流行っている、この男のトレードマークであるアクセサリーのサングラス。そして、全ての分野において圧倒する超絶的な実力とクールで他者を寄せ付けない性格で、あっという間に人気者となった……『覇神』レインの登場ですっっ!!」
ウォォォオオーッ!!キャァァァァアーッ!!
司会者から告げられた言葉を聞いて、観戦席から今までで1番大きい歓声と黄色い悲鳴が飛び交っていく。
そして、舞台上にレインの格好をしたカインが姿を表した。
「うぉぉおっ!!『覇神』だぁっ!!」「きゃぁぁっ!!レイン様ぁあーっ!!」「いきなりナンバー1候補の登場かっ!!」「すげぇっ!!圧倒的な存在感だっ!!!」「か、かっこいい…。」「私の事見て下さいっ!!!」「レイン様、応援してますよぉっ!!!」「おおっ!カインじゃっ!!」「姉さん…今その名前で呼ぶとまた怒られますよ…。」「ひ、ひぃぃっ!!逃げろ!!」「今日もレイン様を見られて幸せ…。」
様々な反応を示す観戦者達。レインの存在感に圧倒される者や見惚れてる者、恐怖で逃げ出してしまう者などもいるようだ。
そんな紹介や反応をされたカインは……。
(おい、伝説を作っただと…。何か特別な事した覚えは無いが…。
それにミン、ちゃんと聞こえてるからな…。)
伝説を作ったと言われても全く見に覚えながないみたいだ。それに、ミンアがカインと叫んでいたのもちゃんと聞こえていた。
「あら、やっぱり凄いわね。噂以上の力を彼から感じるわ。」
ジェリカもカインを直接見て特別な力を感じているようだ。妖艶な笑みを浮かべながら楽しそうにしている。
「やっぱり、Sランク冒険者のジェリカ様から見ても『覇神』は凄いようですね。
そんな冒険者がいきなり予選から出場する事は、いくら選ばれたランカー達とはいえ厳しいのでは無いのでしょうか?」
司会の男がジェリカへ質問していく。
「一対一で戦ったら厳しいとは思うけど第一次予選はバトルロイヤルだから、他のランカー達が徒党を組んでレイン君を狙う可能性もあるわよ。」
絶対に勝つという話ではないと説明するジェリカ。
雑魚が何人徒党を組んでも揺るがないという事もあるが、今回は雑魚ではなく各ギルドから選ばれたランカーなので徒党を組んだら相当手強い事になるだろう。
「なるほど…。逆にレイン選手がヤバイという事ですか?」
ジェリカの言葉に納得しながら更に問いかける司会の男。
「ふふっ、それが普通のランカーだったらね…。」
意味ありげな事を言いながら妖艶な笑みを浮かべるジェリカ。
「な、なるほど…。『覇神』は普通では無いですよね。
…おっ!!Aブロックの350人が全員舞台の上に集まったようですっ!!」
少しジェリカの笑みに魅了されながらもなんとか耐えた司会の男。
そして、入場の扉が閉まった事でAブロックのランカー達が全員が集まったと判断したようだ。
ウォォォオオーッ!!!
更に盛り上がっていく大闘技場内。観戦者達は早く試合を開始して欲しいみたいだ。
「では、Aブロックのランカー達によるランキング戦の第一予選を開始しますっ!!」
次回、レインとしての戦い方…。
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