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無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第3章 ギルド革命
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58話 最上位者の集い

円卓に集まる者達とは…。

 カインがストンブルグへ来てから1ヶ月が経った。

 全く休み無しの鍛練や神樹の素材を使った武具製作に殆どの時間をついやして、ずっとランキング戦に備えて来た。


 今日はついにランキング戦が行われる日で、同じ宿屋に泊まっているミンアとカルベロの2人と一緒にギルド本部の敷地内にある大闘技会場に向かっていたのだが…。


 「お、おいっ!!あれはっ!」「ほ、本物だっ!!」「やっぱりカッコいいなぁ…。」「『覇神』の物はやっぱり違うな…。」「今日はレイン様を応援しますねぇーーっ!!」「きゃぁぁーっ!!カッコいいっ!!」「今日のレイン様も素敵…。」


 ランキング戦の観戦に来た冒険者達がレインの格好をしているカインの姿を見て、様々な反応を見せている。特に女の冒険者達からの黄色い声援が多いようだ。


 「おおっ!すごい人気じゃっ!しかも、”それ”は物凄く流行はやっているようじゃなっ!」


 周りを見渡して楽しそうにしているミンア。今日はランキング戦もあるので、いつもより多くの冒険者達が集まっており非常ににぎわっている。


 「ははっ、たった1ヶ月でみょうな物からカッコいい物に変わりましたからね。」


 少し苦笑しながらカインの方を見て言うカルベロ。


 「はぁ…。なんでこうなったんだ……。」

 

 カインが周りを見渡しながら溜息を吐く。


 「自業自得じゃなっ!カインが”そのサングラス”をかけてるのが悪いのじゃっ!!」


 カインのかけてるサングラスを指差しながら言うミンア。

 

 「俺のせいなのかっ!!みんな最初は変な目で見てたじゃないかっ!!」


 全く納得出来無いカインが叫ぶ。

 

 実は、ランキング戦が始まる前からレインが非常に人気者になっているのだ。この1ヶ月でストンブルグでは知らない者が居ないほど、レインの異名『覇神』とサングラスは有名なものとなった。

 初めはサングラスを奇異な目で見ていた冒険者達だったが、カインの規格外の実力が知れ渡るとカッコいい物として見られるようになった。

 今では、サングラスが人気のアクセサリーとして多くの冒険者に愛用されているのだ。


 「初めはカインさんの実力が分からなくて目立ちたがり屋の印象しかなかったようですが、今ではランキング戦の1桁ナンバー候補として有名になりましたからね。

  その『覇神』の身につけているサングラスがカッコいい物となるのは仕方無い事ですよ。」


 カルベロがサングラスが流行はやってる理由を説明していく。

 レインが冒険者達にあこがれの存在としてうやまわれるようになったので、ストンブルグ中でサングラスをかけている冒険者が増えてしまったのだ。

 ギルド近くで周りを見渡してみるとサングラスをかけている冒険者が男女を含めて6割以上をめている…。


 「そもそも、まだランキング戦は始まってないんだぞっ!こんなに早く有名なるなんて予定と違うっ!!」


 ギルドに来て鍛練をしていただけなのに、ここまで有名になってしまった事が納得出来無いカイン。

 ランキング戦に出場する事で有名となり革命の一歩とする予定が、良い意味で狂いはじめた。


 「カインがギルドで鍛練するのが悪いのじゃっ!!わらわでも目を疑うような鍛練を1日中休まずにするなど馬鹿なのじゃよっ!」 


 自業自得であるとカインを批判するミンア。


 「しかも、剣術や武術が超一流であり魔法も超一流……身体能力もパワー、スピード、スタミナ、防御など全てにおいて超一流……魔力量や闘気量も超一流……装備している武具も超一流……一部が超一流な冒険者なら居ますが、ここまで超絶万能型な冒険者は『覇神』以外居ないですからね…。」


 カインの能力を説明していき完全に呆れている様子のカルベロ。

 その他にも料理、家事、魔法工具技術、鍛冶技術も超一流……そして、なりより顔立ちが世界一といっても過言ではない程整っているので、素顔を知っているカルベロからすればカインは規格外過ぎる人物なのだ。


 「お前ら…少しはフォローしてくれよ。」


 1ヶ月ですっかり仲良くなった”革命の同士”2人に批判されて少し落ち込むカイン。

 

 そんなランキング戦前なのに全く緊張感の無い話をしながら…周りの冒険者達に尊敬の眼差しを向けられながら大闘技場へと向かって行くカインだった…。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 とある部屋の1室にて6人の男女が円卓に座って話し合いをしていた…。


 「……そのレインという男が注目されているようだが何者なんだ?」


 茶髪で長いひげえたドワーフ族の男が問いかけた。背は少し低いが周囲に只者ではない雰囲気をかもし出している。


 「どうやらナタール支部が推薦した男のようですが……詳細はありませんね。うわさでは皇族か天族が偽名を使っているのではと言われています。」


 答えたのは暗い金髪で長い髪をしているエルフ族の男。眼鏡をかけていてどこか知的な感じがしている。


 「……でも、私が把握していない天族や皇族なんありえないわよ。だから、その線は薄いと思うわ。」


 少し考えながら語る水色の髪で背の高い人族の美女。肌の露出が多い服を着ている。


 「なるほど、貴方が知らないのなら違うかもしれませんね。確かパムは一度直接話した事があると言ってましたけど、実際会ってどう感じましたか?」


 眼鏡をかけた長い髪の男がツリ目で茶髪の男…パムに問いかける。


 「ふっ、あれは化物だな…。エレメントについては全く分からなかったが、生身の身体能力が馬鹿みたいに高過ぎる……しかも、全ての分野においてだ。

 パワー、スピード、スタミナ、魔力量、闘気量、防御、闘技、魔法…全てにおいて俺達と同等の能力を発揮できるだろう。」


 不敵な笑みを浮かべながら答えるパム。一度言葉を交わした後も鍛錬場でカインをずっと見ていたので、ある程度の能力を把握していた。

 

 「はっはっはっ!!!おもしれぇ奴だなっ!!!ウチらと同等の力を全ての分野においてかっ!!『覇神』の異名は伊達じゃねぇなっ!!!」

 

 元気そうな声で笑いながら反応したのはボサボサの赤髪を後ろで束ねていて頭に短い角が2本付いている龍族の美女。


 「『覇神』ですか……。全てにおいて超越ちょうえつした覇者という意味ですよね。素顔は現在冒険者達の間で流行りゅうこうしているサングラスとかいうアクセサリーで分からないようですが…。」


 『覇神』という異名を聞いて、長い髪で眼鏡をかけたエルフの男が考え始める。


 「あら、うわさでは顔も超カッコいいと聞いてるわよ。」


 水色の髪で露出の多い服を着た背の高い女が、口に手を当てながら楽しそうに話す。


 「そ、それは一部の女性冒険者達の噂だろ?俺が聞いた話では目に深いキズを負った視力の無い男らしい。」


 女の言葉に反応したのは身体が非常に大きい人族の男だ。鉄の仮面を被っており、裸が露出している部分からは強靭きょうじんな肉体だという事がうかがえる。

 この男の体型はカインにからんでいったボルとかいうBランク冒険者に似ているようだが…。


 「おいおいっ!!ジェリカがめたからって嫉妬しっとすんなよボルゲンっ!!それとも自慢の仮面よりも『覇神』のサングラスが流行ってるからそっちが気にいらないのかっ!!」


 ボサボサの赤髪をしている龍族の女がボルゲンという男をからかう。どうやら、水色の髪で露出の多い服を着た背の高い人族の女はジェリカと言うらしい。

 

 「ははっ!!ボルは目立っているレインが気にいらなくて絡みに行ったけど、逆にランカー証を見せられてはじをかいたからな。仮面を被ってないから正体を明かせずに棒立ちとか笑えたな。」


 実際、鍛錬場でボルゲンとカインとのやり取りを直接見ていたパムが笑っている。

 

 「そういう事かよっ!!!!大恥おおはじじゃんっ!!ボルゲンも変な仮面とか被ってないで素顔でランキング戦に出ればいいのによっ!!」


 パムの話を聞いたボサボサの赤髪を後ろで束ねた龍族の女がボルゲンを更にはやし立てる。


 「こ、これは俺が俺であるあかしだっ!!」


 そう言って咄嗟に反論するボルゲンだったが…。


 「レイン君のサングラスと違ってボルの仮面は不気味だから不審者にしか見えないわ。私もサングラスを買おうかしら…。」


 ジェリカが妖艶ようえんな笑みを浮かべながら言い放つ。


 「はははっ、ジェリカは容赦ねぇなっ!!」


 手を叩いて笑いながら楽しんでいるボサボサの赤髪をしている龍族の女。


 「なんの事かしら?本当の事を言っただけよ。」


 その意味が分からずにジェリカは首を傾げているが…。


 「………………。」


 ジェリカの言葉を聞いたボルゲンは、すっかりうつむいてしまった…。


 「……その話はその辺で終わりましょう。問題はバグリーさんがおっしゃっていたようにレインという男の素性です。」


 みじめなボルゲンをあわれみながら髪の長い眼鏡をかけたエルフ族の男が話を終わらせた。


 「わしは素性というよりも実際どこまで強いのか…どんな力を秘めているのかが気になるがな。」


 茶髪で長い髭の生やしているドワーフ族の男…バグリーが自分の髭を撫でながら不気味な笑みを浮かべている。


 「バグリーさんは相変わらずですね…。」


 そんなバグリーを見て苦笑している髪の長い眼鏡をかけたエルフ族の男。


 「ははっ、ウチもその辺が一番気になるなっ!!

  さっきからずっと黙っているがナンバー1のお前はどうなんだよ、フォルスラっ!!」


 ボサボサの赤髪を後ろで束ねている龍族の女が、ずっと目を閉じて沈黙していた長い赤黒い色をしている髪で黒い翼持っている魔族の美女…フォルスラに話しかけた。

 その声に反応したフォルスラが目を開ける。その目は魔族でも珍しい綺麗な金と銀のオッドアイとなっていた。


 「……私はお先に失礼させて頂きます。皆さんランキング戦決勝の舞台で再びお会いしましょう。」


 突然、椅子から立ち上がり円卓から離れていくナタリア。

 そのまま扉をあけて部屋を出て行ってしまう。


 「おいおいっ!!何だよアレっ!!」


 少し機嫌悪そうに文句を言っているボサボサの赤髪をしている龍族の女。勝手に出て行ったフォルスラの行動が気にいらないようだ。


 「……彼女にも考えがあるのでしょう。

  そろそろランキング戦の第一予選が始まるので僕達も解散しましょうか。」


 長い髪で眼鏡をかけたエルフ族の男が解散をうながした。


 「それなら私は噂のレイン君を見に行ってくるわっ!」


 ジェリカも楽しそうに微笑みながら、椅子から立ち上がり部屋を出て行く。

 

 「今年のランキング戦は荒れそうだな。」


 パムも不敵な笑みを浮かべながら退室する。

 

 「ちっ、とりあえず『覇神』の見物に行くかっ!!」


 軽く舌打ちをしながら部屋を出て行くボサボサの赤髪を後ろで束ねている龍族の女。


 「では、僕達も行きましょうか。」


 長い髪で眼鏡をかけたエルフ族の男とバグリーも退室していく。

 

 (『覇神』レイン…許すまじ…。)

 

 そして、部屋に残ったのは身体中から闘気が溢れ出ており、カインに嫉妬するボルゲンのみとなるのだった…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 (っ!!急に寒気が……。)


 突然、強い寒気に襲われたカインが身体をビクつかせた。現在はランキング戦の第一予選が行われる為、選手の控室にて待機している。


 そのカインが身体を震わせた事に対して、様子をうかがっていた周りのランカー達がざわめき始めた…。


 「うぉっ!!『覇神』が震えたぞっ!」「武者震むしゃぶるいってやつか…。」「やっぱり今回最大の注目株は格が違うな。」「早く戦いたくてウズウズしているらしい。」「くそっ!あんな奴と同じブロックとはっ!」「レイン様…カッコいい…。」


 各地から選ばれたAランク冒険者であるランカー達も『覇神』には興味津々のようだ。


 (おい待て…ただの寒気だ…。)


 少しの動きだけで過剰に反応するランカー達の声を聞いて、頬を引きつらせるカイン。ランキング戦の第一予選の前から疲れ始めているようだ。


 コンコンッ!「失礼します。」


 そんなカイン達がいる部屋へギルド職員が入って来た。

 

 「では、Aブロックの皆様。ランキング戦の第一予選Aブロックの試合を始めますので私に付いて来て下さい。」


 いよいよ始まるランキング戦の第一予選。その舞台へとAブロックのランカー達をギルド職員が誘導していく。

 

 (さて、先ずは第一予選か…。)


 レインの格好をしたカインも、この1ヶ月ずっと備えて来たランキング戦の第一予選の舞台へと向けて、ゆっくりと歩み始めるのだった……。

次回、ランキング戦の第一予選Aブロック。


読んで頂きありがとう御座いました┏○ペコッ

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