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無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第2章 修行後と集い
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49話 嬉しくない再会

今回は短めです。

 時はさかのぼる。メリルの鍛冶屋で大集合となった日の2日前…。


 カインのいるバルシリガ城へと訪問者がやってきた。なにやらザック・バルシリガに用があると言っているらしい。

 しかも、その相手が…。


 「はぁ…。よりによってキサラギ家か…。」


 訪問者が若いキサラギ家の者だという事を侍女に聞いたカインは溜息を吐いた。また面倒が起こる予感がするのだ。

 2年ぶりに会う幼馴染みだが現在のカインはザックとしてここにいるので、非常にややこしい事になるだろう。


 「お知り合いなんですか?キサラギ家の長男や長女は最近まで平民として暮らしていたそうですね。」


 カインの反応からキサラギ家の者と知り合いだと察するリンシアは首を傾げている。


 「ああ、幼馴染みってやつだ。だが、とりあえずザックとして対応するしかない…。」


 皇族として正式に手続きして訪問しているので、ザック・バルシリガとして対応するしかない。たぶんジェニファも同席するだろう。


 (なにも起きなければいいが…。)


 嫌な予感がしながらもカインはヒロ達が待っている客間へと向かっていった…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 カインが客間の方へ向かうとジェニファが先に来て対応をしているらしい。部屋の様子をうかがってみると扉越しに中の声が聞こえてきた。

 

 「何を言ってるのっ!!!ザックちゃんが、貴方達になんかに負けるはずないわっ!!」


 椅子から立ち上がり、大声で叫んでいるジェニファ。ヒロとスズに対して非常に怒っているみたいだ。


 「ザック・バルシリガ程度に俺が負ける事はありません。身分を盾にして弱者を痛めつける最低な奴です。」


 ヒロも真剣な表情をしながらジェニファと言い争っている。ザックについての悪い噂を聞いているようだ。


 「まぁっ!!ザックちゃんを悪く言うなんて許さないわっ!!!」


 ザックを馬鹿にされた事に顔を真っ赤にしながら部屋を出て行こうとしているジェニファ。どうやら、バルシリガ城の兵達を呼んでヒロ達を拘束しようとしているようだ。

 部屋の前で黙って聞いていたカインだったが、さすがにこのままでは不味いと判断したので仕方無く入る事にした…。


 「お待ちください、お母様。それにキサラギ家の方達も落ち着きましょう。」


 部屋の中に入ったカインは、冷静に制止を呼びかける。

 しかし、ザックの姿をしたカインが部屋の中へ入った途端…。


 「ザックちゃんっ!!!」


 ジェニファは叫びながらカインの元へ全力で走って行き…。


 ギュウウウウウッ!!!


 骨がきしむほどの馬鹿力で思いっきり抱きしめた。


 「お、お母様…。や、やめて下さい…。」


 物凄く力強い抱擁ほうように苦しみながらも何とか声を出すカイン。出会うたびに毎回この力で抱きつかれたら身が持たない…。


 「あら、ごめんなさい。」


 軽い感じで謝りながらカインから離れるジェニファ。

 しかし、今度はヒロの方を向き怒った顔で指を差し始める。


 「こんなに可愛いザックちゃんをこの男がっ!!!」

 

 しかし、指を差されたヒロはジェニファを完全に無視して物凄い勢いでカインに詰め寄っていく…。

 そして、勢いそのままでカインの胸ぐらを掴みながら…。


 「ザック・バルシリガッ!!俺はお前を絶対に許さねぇっ!!」


 物凄い剣幕で怒っているヒロが鋭い目でカインを睨み付ける…。

 しかし、胸ぐらを掴まれた方のカインは……。


 「……話が見えて来ないのですが…。」


 いきなり胸ぐらを掴まれるという状況が飲み込めないので詳しい説明をヒロに求めるが…。


 「何だとっ!!!あんな事をしたのに忘れたと言うのかっ!!ふざけんなぁあーーっ!!!」


 声を荒げながら、更に胸ぐらを掴んでいる力を強めてカインを激しく揺さぶり始める。


 (ダメだな…ヒロは完全に冷静さを失っている。こうなったらスズの方に頼むしか…。


 この様子ではヒロに話を聞いてもらえないと思い、困った顔をしながらスズの方を見たのだが…。


 「…………………。」


 黙ったまま、鋭い殺気を放ちながらカインの事をにらんでいた。今までスズにこんな目で見られた事がないカインは内心驚いている。


 (あのスズがこんな目をするなんて…。ザックは2人の恨みを買うような相当酷い事したみたいだ…。)


 2人の態度から、なにか恨みを買うような事をザックがやったのだと理解するカイン。

 本当に何を言ってるのか分からないという顔をしているカインを見てヒロの感情が爆発する。


 「この前の事を忘れたとは言わせねぇよっ!!キサラギ家の領内で好き放題しやがってっ!!

  お前のせいであの子達は自殺したんだぞっ!!人の命が失われるような最低な事をしたくせに、なに平然とした顔をしてんだよっ!!!」


 カインの胸ぐらを掴みながら怒りに震えている。


 (とにかく、今の俺はザック・バルシリガだ。この場を収める為には本人に変わって謝罪するしかない…。)


 ザックのした事なので見に覚えは無いが、この場をおさめる為に仕方無く謝罪をすることに決めたカインは…。


 「今更、謝罪したところで許される事では無いと思っていますが言わせて頂きます………本当にすみませんでした。」


 真面目な顔をしながら綺麗に頭を地面に付けて謝罪をした。いわゆる土下座である。

 

 「っ!!……何を今更…。」

 

 あんな事をして逃げたくせに、あっさりと謝罪をしたカインを見たスズは抑え切れなくなったようで……。


 「貴方が今、謝罪したところで彼女達は帰って来ないのよぉぉおおーーっ!!!」


 物凄い大声で叫びながらカインへ迫っていき…。


 ドガッ!!


 土下座していたカインを腰に差していた小太刀を鞘に収めたままで殴り付けた。しかし、鈍い音が聞こえてきたがカインは全く動かない。

 その様子を見ていたジェニファは目を見開きながら…。


 「なっ!!ザックちゃんに何てことをっ!!」


 今度はジェニファの方が叫びながらスズに迫っていく。

 しかし、殴られた方のカインが立ち上がって引き止める。


 「お母様、やめて下さい…。

  スズさん…私は何をすれば許してもらえるのですか?」


 相変わらず凄まじい殺気を放っているスズに対して問いかけたカインだったが…。


 「……………………。」

 

 睨み付けているだけでスズの返答は無かった。

 しかし、その代わりヒロがカインに詰め寄ってきて大声で叫ぶ…。


 「決闘だっ!!お前に決闘を申し込むっ!!」

次回、ヒロの実力は……。


読んで頂きありがとう御座いました┏○ペコッ

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