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無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第1章 覚醒と覚悟
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3話 新たなる出会い

デート回?

 本日の予定は決まっている。エルミナとの買い物、もとい、デートの日である。

 しかし、カインは現在一人で、オボルにある【転移門】の前に佇んでいた…。


 この世界で主な主要都市には、転移門と呼ばれる各場所を一瞬で移動できる手段がある。

 しかし、誰でも気軽に使える物ではなく、魔石を使用して発動させる為、それなりに高い料金を払う必要がある。ちなみに料金は一人銀貨5枚である。


 レートは鉄貨10枚で10コル、

     銅貨10枚で100コル、

    大銅貨10枚で1000コル、

     銀貨10枚で1万コル

     金貨10枚で10万コル、

    大金貨10枚で100万コル、

    白金貨10枚で1000万コルだ。

 

 ごく普通の一般家庭の月収がおよそ金貨1枚なので、2人が転移門を使うのには、その月収まるごと使用する。なので、一般の人はあまり使わない。

 

 カインは、ランクCの冒険者として、それなりに稼いでいる。なので、特に気にしていないが…。


 (うーん。どうして同じ場所で暮らしているのに、ここでの待ち合わせが必要なんだろう?)


 孤児院を出る前に、エルミナから先に転移門で待つように言われていたカイン。しかし、その意味は全く理解していない…。

 まぁようするにこれはお約束である。


 特にすることが無いので、カインは辺りを見渡していた。すると先ほどからこちらの方へ視線を向けていた女の子の集団と目線が重なった…。


 (((っ!!!)))


 その途端、女の子達からあからさまに視線を外されてしまった…。


 (……そ、そんなに変な顔をしているのかなぁ…。まぁ昔からあまり視線を合わしてくれる女の子がいないし、余程この顔がキモいのかな…。

  慣れているけど、ちょっとショックだ…。)


 これはカインの勘違いだ。

 まだ子供とはいえ、カインは服装のセンスも良く顔もとても整っているので、向こうは気になって仕方がないのである。

 カインの考えている事とは逆の意味で…。


 昔から孤児院にいる女の子達にも、そのような態度を取られ続けた事により、カインは自分の容姿に対する自身がない…。

 カインは、普段から纏っているオーラからして違うので、ごく普通の女の子からは憧れの目で見られることが多い。

 その事で、自分に対するマイナスがこの生粋の朴念仁を造ったとも言われている…。《エルミナ説、諸説有り》


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そんなこんなで、待つこと10分…。


 「カインくんおはようっ!待たせちゃったかな?」


 ようやく、エルミナがやって来た。

 

 「ん?おはようって、朝も会ったし、先に行かせたのはエルだからね。そりゃあ待たせてたよ?」


 「…………。」


 何故かジト目を向けられているカイン…。

 やはりお約束とはいかなかったようだ。


 「ど、どうしたの?何か忘れ物?」


 「……知りません。さっさと行きましょう。」


 「ちょ、ちょっと待ってよ!エルミナさんどうしたの?」


 「……………。」


 そそくさと、一人で転移門の受付へと向かってしまった。

 カインには何がいけなかったのかが、全くわからない…。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 転移門を使って辿り着いたのは、オボルと同じく天族オニキス家の圏内でもあり、その城が存在している都市だ。人口15万人以上の人が暮らしている【フォルティナ】である。

 大体は天族の圏内に多数の国が存在しており、その国が統治している。この都市は天族自ら統治しているただ1つの都市である。

 他の天族も、だいたい圏内でも国が統治しているのがほとんどだ。統治しているのも同じく1つの都市であるが、やはり規模と人口が全く異なってくる。


 ここフォルティナには人族の天族で『空』の属性を持つ、オニキス家の現当主レティアナ・オニキスが統治している。彼女は40歳であるのだが、見た目はとても美人で、外見20歳後半くらいだ。なので、この都市でもとても人気が高い。

 その一人娘でもあるクレハ・オニキスもまだ12歳と若い。明るい茶髪のロングと清楚な雰囲気のオーラを持つ、とても人気の高い美少女である。という噂だ…。


 この都市は、魔法道具〈マジックアイテム〉がとても発展しており、魔導撮影機や魔導四輪、魔導飛行船など、様々な最新の物を発明している。最先端の都市として有名でもある。


 「わぁ、初めてフォルティナに来たけどやっぱり凄いね。ザッ大都会って感じかな?1回来てみたかったんだよね!」


 「ふふっ、確かに凄いね。マジックアイテムか…。今度是非自分でも1度は作ってみたいと思ってたから、語学のために通うのも有りかな…。」


 「カイくんは何でもしてみたくなるんだよね…。もはや、病気と言ってもいいと思うよ。」


 「ちょっ!それは酷くないかな?まぁ確かに自分に出来る事を見つけるのは楽しいけど…。

  てか、そんなに来てみたかったなら、いつでも一緒に行ってあげたのに。」


 「うーん。でも転移門の料金もバカにならないし、本当はもっと大きくなってからにしようと思っていたんだよ。でも、せっかくのお願いだからコレだって思ったんだよね。」


 「なるほどね。まぁ最近は稼ぎも安定してきたし、来たくなったらいつでも言ってよ。俺もこの都市には興味があるし。」


 「ふふっ、ありがとうね。その時はよろしくお願いします!」


 「はーい。じゃあとりあえず買い物に来たんだし、欲しいものがあったら言ってね。

  …ただし予算は大金貨5枚以内でよろしくお願いします…。」


 「いやいや、十分だから…。一体何を買うと思われているんだか…。」


 「とりあえず、アイテムバックがあるしあまり、大きな物じゃない限り予算内でいくらでも言ってよ。」


 アイテムバックとはアイテムボックスの簡易版で、およそ200kgのものまで楽々入るマジックアイテムの1つである。


 「だから、魔道四輪レベルの物は買わないってっ!!」


 そんなこんなで、カインとエルミナの二人は中央区にある商店街へと向かうのであった…。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 現在二人は、商店街の中のアクセサリーショップにて、物色中である。朴念仁だが気の利くカインによる発案だ。


 「わぁ、これ綺麗だねぇ。カイくんこれなんて似合うかなぁ?」


 「うん。エルの白い肌とよく合っていて、ネックレスが輝いてとても似合っているよ。」


 「あ、ありがとう…。これもマジックアイテムなのかなぁ?」


 「うーん…。どうやら魔力増幅の効果を持つみたいだね。エルにはぴったりじゃないかな?

  しかし、どんな術式が刻まれているんだろう…。」


 カインは、注意深くアクセサリーを見て回っている。他店を偵察に来ているアクセサリー職人のようにも見える。

 

 (……カイくん今度はアクセサリーでも作るのかなぁ…。手作りのプレゼントして貰えたら嬉しいけどね。)


 結局、ランクBのマジックアイテムである【慈愛の首飾り】を購入することに決めた。値段は金貨3枚だ。


 「カイくん、ありがとうね!」


 「まぁ、せっかくのデート[仮]なんだから、このくらいしないとね。たまにはカッコつけさせて。」


 「か、仮じゃないのに…。」


 「ん?なにか言ったかな?」


 「…な、なんでもありませんっ!」


 エルミナはカインはをおいて、出口の方へ向かっていってしまった…。


 (うーん。なんで買ったのに怒られるだ…。)


 まだまだ良くわからないカインである…。


 「「きゃっ!」」


 エルミナと他の女の子の声が聞こえた。

 どうやら入口の方でぶつかってしまったらしい。

 カインは、直ぐに出口へと向かった。


 「おーい、エル大丈夫かい?

  ……あなたも大丈夫ですか?何処か怪我とかしていませんか?」


 と、言いながら二人の手を持って立たせてあげる。

 そしてカインの両手が光りだした…。


 「[エリアヒール]、[クリーン《清潔》]」


 二人に治癒魔法の中級の[エリアヒール]と、生活魔法の上級魔法の[クリーン《清潔》]を使った。

 [クリーン《清潔》]は身体の汚れを取る魔法だ。


 「っ!!!」


 「ありがとう、カイくんっ!…あのぉ大丈夫ですか?私の不注意ですみませんでした…。」


 「……っ!!い、いえ。こちらこそ気を付けていませんでした。ごめんなさい…。」


 二人ともどうやら大丈夫のようだ。

 一瞬、明るい茶髪の女の子が呆けていたようにも見えたが…。


 「……あ、あの?今のは二重詠唱でしょうか?しかも片方は上級魔法。しかも無詠唱でしたよね?」


 「はい、よく知っていますね。俺は最近魔法の鍛錬にハマってまして、かなり頑張って出来るようになったんですよ。」


 「頑張ったからと言っても、最近ハマったならそんなに直ぐ出来るような事ではないような…。

  と、とにかく凄いです。私も二重詠唱について練習していますが、まだまだ出来ないんですよね…。」


 「宜しければ、後日一緒に魔法の鍛錬を行いませんか?俺とエルもよく鍛錬していますし、3人で競い合ったり、教え合ったりすれば、何かいい結果に結び付くかもしれません。」


 「いいんですか?よろしくお願いします!」


 「はい、分かりました!…あっ、まだ自己紹介していませんでしたね。俺の名前はカインといいます。そしてこっちが…。」


 「私はエルミナといいます。よろしくお願いしますね。」


 「あっ!わ、私はク…いえ、ティアと申します。こちらこそよろしくお願いしますカインさん、エルミナさん。」


 「ティアさんですね。……俺の事は気軽に読んで下さい。それに同年代みたいなので敬語も無しで良いですよ。エルもその方がいいと思いますし。」


 「はいっ!えーと…。うん、わかった。私の事も敬語なしでティアと呼んでね。」


 「わかったよ、ティア。……立ち話もなんだし、とりあえず何処かの喫茶店でも行こうか。」


 「うん、そうだねっ!ティアも行こっ!」


 「う、うん、エルミナちゃん、カインくん…。」


 3人は店を出て行くのであった…。

 ふと、カインは気が付いた。

 

 (あれ?ティアはこの店に用事があったんじゃ…。まぁいっか。)


 3人が出て行ったあと、アクセサリーショップの店員は…。

 

 (あ、あのお方は…。注文していた物をすっかり忘れておられるようだ…。まぁいっか。)


 いいんかい…。

 カインはともかく店員は駄目だろ…。

もしかしてあの子は…。

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